魔法少女地獄外道祭文 (講談社ラノベ文庫)

【魔法少女地獄外道祭文】 安藤白悧/kyo 講談社ラノベ文庫

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魔女・長南雨衣佳と僕・三田村黒犬によって作られた魔女と魔法少女の混成秘密結社『永遠の満月団』。それまで個別に行動していた魔法少女たちが、一つの旗印のもと結束を強めていた。ただ、結びつきが強まったことで逆に反目する部分もまた発生するもの。具体的には、武器組―ヒミコを中心とした武器で戦う魔法少女たちと素手組―マミを中心とした素手で戦う魔法少女たちが、互いのよって立つ信念の違いから反目しているらしい。しかしそれぞれの中心であるヒミコとマミは“戦友”として認め合っている。困った二人が先輩に相談しにきた結果、「武道大会大会」を開催することに。って、いったい何するの!?血みどろアクションファンタジー!
あかん、アホや、これこそ頭のおかしい真骨頂!!(爆笑
作中やあとがきでも書かれているように、盛大に山田風太郎大先生リスペクト、というのはわかっているのですけれど、それを魔法少女でやってしまう、というのを抜きにしても、もう内容がはっちゃけすぎていて無茶苦茶楽しかったです。無茶苦茶すぎて楽しかったですw
格闘系魔法少女に武器系魔法少女って、もはや魔法少女の原型ないやん! というのは、昨今の魔法少女の多様性を前にしては古臭い文言になってしまうのでしょうし、本作はそうした魔法少女が奇形というほど多様性を持つようになったこの時代を踏まえて、或いは則ってお馬鹿をやる目的で創りだされた物語である以上、もはや根幹に「あれもこれもなんでもかんでも魔法少女」というのが刻み込まれているだけに、いまさら格闘系魔法少女とか武器系魔法少女の武闘大会が行われたからといって、なんじゃこりゃ、なんて感想も生まれないはずなんですけれど、それでも敢えて言おう。
なんじゃこりゃ!!

『第一回魔法少女武道大会大会 魔法少女地獄外道祭!!』

こういうイベントを行う際、もっとも必要にして重要な役どころは、いわゆる司会解説役なんだけれど、これに関してはシリーズ一作目から、魔法少女研究家である黒犬くんが際立った才覚を煌めかせているので全く問題なし。というか、解説をするために生まれたような主人公なので、その解説の腕は瞠目スべき的確さと切り口に満ちあふれていて、今大会でもその才を遺憾なく発揮してくれます。もはや、彼のために用意されたイベントなんじゃないか、というくらいに。
表紙絵だって、彼の一人舞台だもんな! 最初、新たな忍者系魔法少女かと思ってたら、まさかの司会主人公だったよ!! この忍者風デザインは、やっぱり山田風太郎を意識した結果なんだろうか。どう見ても仮面ライダーとかあっちじゃなくて、ちょっとアレなニンジャ風だもんなあ。

さて、肝心の武道大会の試合内容というと……繰り返しになりますが山田風太郎リスペクトでありますけれど、それを踏まえても……頭がおかしい!! 発想がおかしい!! 常識を盛大に蹴り飛ばした自由っぷりにひっくり返れ。
クソ面白かった!!
まず、ルールからして、シンプルに「相手を殺した方が勝ち」というところからいい具合に狂ってる。死んでも生き返る儀式魔法が敷かれているとはいえ、全力全開で魔法少女が肉弾戦で殺し合い、血肉に臓物が飛び散り、骨が粉微塵になり、グロくてエグくて筆舌しがたい死に様をさらしながら、試合が終われば爽やかにいやあいい試合だった、と健闘を讃え合う清々しい光景の狂いぷりに、思わずケタケタと笑ってしまう。おかしい、何かがおかしい。でもそれが素敵に可笑しい、面白い。
個人的に一番爆笑させられたのが、スターゲイザー・ヒミコVSジャクリーン・ハンマーの試合。ジャクリーンのある意味アラレちゃんの地球割に匹敵する無茶苦茶さに、さらにそれを上回るヒミコの突き抜けきった対応にもう笑った笑った。凄い、凄いよヒミコさんw

あまりにも面白かったので、二回戦、決勝戦がページの都合上か単に飽きたかで大胆に省略されてしまったのがもったいないやら口惜しいやら。完全版は出さないんですか?

そして、こんな狂った大会にもかかわらず、終わってみると元から厚かった友情がさらに厚くなり、魔法少女全体の結束も高まる、というまるで王道のような終わり方。結果に辿り着くまでの過程の暴走っぷりが凄すぎる。それを演出してしまう魔女先輩のはっちゃけっぷりを、それを受け入れてしまう魔法少女たちの素敵っぷりを讃えるべきか。
シリーズもこれで幕引き、みたいな話も聞くけれど、このいい具合に煮立った魔法少女ワールド、もっと堪能したいですわぁ。

シリーズ感想