東京皇帝☆北条恋歌12 (角川スニーカー文庫)

【東京皇帝☆北条恋歌 12】 竹井10日/高階聖人  角川スニーカー文庫

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「ようこそ、進化の塔の最深部へ」莫大な犠牲を払い辿り着いた先にいたのは、「東の門番」を名乗る東雲十狼佐だった。彼女に導かれ帝国暦1年の京都へ向かった一斗と恋歌は、世界を取り戻すための試練に挑む。しかし最後の門で2人を待ち構えていたのは、一斗を名乗る人物で!?本編はシリアスモードだけど、短編は今回もゆるゆる!雑誌「ザ・スニーカー」掲載時に話題沸騰となった、東雲のあの短編がついに文庫版に収録。
この人の作品は「シリアスってどういう意味だったっけ」と深刻に首をひねってしまうこと度々なのだけれど、今回に至っては本当に概ねシリアスだったんじゃないだろうか、概ね、ね。
いやしかし……今回ってば怒涛の伏線回収だったですよ、でしたよ。これまで謎だったり意味不明だったりした事柄が、あらかた明示され解体され解明されあからさまにぶちまけられて説明されてしまったんじゃないだろうか。時系列と世界線が入り組みすぎてわけがわからなくなっていた人物相関についても、かなりスッキリと分かりやすく提示された気がする……気がするだけで気のせいかもしれないけれど、実は分かった気になっただけで本当はそんなにわかってなかったんだぜ、という可能性もあるんだが、そんな気分になれたんだから良かったじゃないか、良かった良かっためでたしめでたし。
で、終わってしまったらいけないんだけれど。なにしろ、本編終わってないし。終わってないよね? そもそも、これって何を最終目標にしていた話だったのかをついつい忘れがちの忘却の彼方にうっちゃってしまってるんだが、なんだったっけ?
一応あれですか? みんな死なずに世界も滅びずにハッピーエンドを迎えればいい、ということなんですよね? 言葉にしてみると平易な最終目標だけれど、何しろ登場人物が片っ端からあさっての方向を向きながら明々後日の方向に突っ走って本道を逸れっぱなしなものだから、ついついどんな話だったのか意識の上から飛ばしてしまうのである。そもそも主人公の一斗少年からして、精神的に枯死していてまともに動きも思考を働かせもしない人物だったからなあ。最近になってようやく自発的行動を開始してようやく主人公らしくなってきたけれど、最初の頃は精神的に死んでいるのが売りみたいな主人公でしたから……って、どんな主人公だよ。

ともあれ、平行世界が軒並みアウトを喰らい、どの世界の一斗も数百、数千歴史を繰り返しても失敗し続けた中で、ようやく今回最終局面に辿りつけた、その要因こそが東京皇帝北条恋歌の存在であった……恋歌さま、マジヒロイン! というには、いささかこの娘だけシリアス成分が圧倒的に足りないどころか必然的にマイナスを保っているのだけれど、このマイナスこそがクリア要因だった、ということなんだろうなあ。こればっかりは、他の娘さんでは無理だったのか。そりゃ、ここまでアーパーすぎるアーパーは、いくらアーパー揃いのヒロインの中でもいなかったし、恋歌さま図抜けてたし。
ヒロイン度としては、雪絵がある意味圧倒的だし、十郎佐さんなんか短編含めてクリティカル決めてたし、ユカリ子さんは常に侮れない位置を不動で占めてましたし、恋歌さんマジコメディ枠。
……あれ? 婚約者の来珠さんは? ご不在ですか? ……不憫!!

ともあれ、怒涛の勢いで広げまくっていた大風呂敷を畳みに掛かったクライマックス12巻。え? 次で完結なの?? なるほど、その御蔭でそのせいか。ぶっちゃけ、風呂敷広げすぎててたたむつもりなんかさらさら無いとすら思っていたので、ここまであれこれ事細かに謎だった部分を明らかにしてくるとは思わなかっただけに、次々と明らかになっていく真相はなかなかに痛快でありました。面白さに勢いはつきものだよね♪ 
というわけで、このままの勢いで最終回だ!!

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