セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常】 長谷川也/皆村春樹 このライトノベルがすごい!文庫

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地味で弱そうで友達の少ない少年・カキタニは、自分を変えるべく、進学を機に演劇部に入部する。だが、彼が入部した演劇部は、人間関係を有利に支配し、世の中をうまく渡っていくために『演技』を活用しようとする女生徒たちの集まりだった!
第4回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作は、演劇部の部室で日々展開される無軌道かつハイテンションなハイパー日常系コメディ。美少女だけど、どこか変わっている5人の先輩たちと一緒に、人生の勝ち組を目指せ!
大賞受賞というとちと大仰にも思えるけれど、部活で駄弁りモノとしてはすこぶる面白い!! 最初の頃こそ、掛け合いにぎこちなさが介在していたけれど、二章あたりからリズムに違和感がなくなってまさに隙のない掛け合いになっていく。楽しい、なんか気楽に楽しい。
柿谷くんなのですが、地味で意志薄弱な内向的な少年に見せかけて、此奴、据え膳に対しては一切躊躇せずむしゃぶりつくかなり強者のムッツリスケベじゃないか。いや、普通はどれだけ美味しそうなシチュエーションを前にしても一拍の躊躇いや迷い、これって食いついていいのだろうか、という警戒や怖気が生まれるものであり、また周りの目を気にしてしまったり、恥ずかしさや照れによって踏みとどまってしまうのが普通であり、彼のような内向的に見える少年ならば尚更に、目の前の壁を乗り越えるのに躊躇を覚えるはずなのに、この柿谷ときたら、柿谷ときたら。
無拍子かっ!! と思わず突っ込むほどの即答! 或いは即座の行動に打って出る躊躇いのなさ! まさに野生! 本能のなすがママ! 理性を放り捨てた野生のワンコ!! あかん、こいつ中学1年生だからまだこの程度で収まってるけれど、成長したらどれだけ女好きになるか知れたもんじゃないぞ。性格的に自分からお膳立てして食いついていくほど積極的でも肉食系でもないのだけれど、誘われたり促されたりした時の本能に身を任せる理性の外し方は、プロレベル。自爆系弄られ属性のツバキとの一幕は、唖然とさせられるほど両者とも全く人の目も気にせずブレーキを踏む様子がない有り様で、これ舞台が高校じゃなくてよかったですね、というレベル。あれ? 意外とこの二人、相性がいいのか? 相性が良さ過ぎて軽々と破滅しそうな気もしますけれど。実際、周りに止められなかったらアウトなところまで行き着きそうな勢いでしたし。わははは、やってしまえ。
まあ、それ以外にも大人しい人畜無害な顔をしていて、内心はかなり黒いことを口走っているので、結構イイ性格しています、この主人公。彼から無垢な天使扱いされているモモ先輩も、実際はかなり腹黒そうで口も悪くて笑顔で人の心を折るような事を平然と口走ってますけれど、主人公もヒロインも黒いってなんかヤダなあ(笑
でも、実は本性は黒い、という人よりもオモテウラ無く天然な人の方が質が悪い、というのがニーナさん。あれは本気でたちが悪いよ!! カキタニはかなりチョロい方だけれど、あんなベタベタとした接触のされ方されたら男だったら誰だって勘違いするよ!! 悪魔だ、傾国だ。本気の美人局テロだ!! こうなったら、理性を蕩かされたカキタニを正気に戻すために、カウンターで他の娘が色仕掛しないと収まらないな! おのれ、いずれにしても勝ち組じゃないか。まあ、面白いくらいに誰ともフラグ全然立ってませんけれど。マジでツバキ先輩は相性良さそうだけどなあ。破滅しそうだけれど。

ともあれ、この手のくだらない駄弁り系では相当に面白かったです。肩の力抜いてケラケラ笑えてスッキリ出来る楽しい作品でした。グッドジョブ。