ミスマルカ興国物語 (11) (角川スニーカー文庫)

【ミスマルカ興国物語 11】 林トモアキ/ともぞ 角川スニーカー文庫

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軍令本部長であるシャルロッテの命令でゼムン行きの準備を進めていたマヒロ。しかし、帝国のヘリオト家がヴェロニカ商工同盟へ宣戦布告したことで新たな命令が下される。それは、「ヴェロニカ七領を全て陥としてくること」だった!一方同じころリーゼル、シーナ、パリエルの3人はそれぞれの目指すもののためにヴェロニカで集結していた。再び相まみえるかつての旅の仲間たち。命令を遂行するためにマヒロのとった手段とは!?
今度は本当の戦争だ!!
約一年ぶりの新作となったミスマルカ。書けなかった理由が微妙に生々しいというかガチというか、有り体にあとがきしすぎと言いたいけれど、そういえばあとがきはそういう作風でしたっけ。
そして、久々のミスマルカ興国物語は、これまでありそうであんまりなかった、戦場で兵士たちが血みどろになって殺しあうガチの戦争である。こういう場面になって、これまでで一番輝いているパリエルさんは、ほんと近衛時代から一皮剥けたというか、覚醒しすぎというか、ハッチャケたもんだよなあ。昔はもっと物事を割り切れなくて、グズグズばかりしていたのをマヒロ王子にイジられていたのにさ、随分と吹っ切るようになっちゃって。
完全に戦場の鬼じゃないか。一応、亡国のお姫様という立場にも関わらず、むしろ戦姫、どころか戦鬼と言わんばかりの屈託ないフリースタイルである。
いろんな意味でルナスと芸風が似てきた気がする。お互い、バカだし。バカだし。ただこのバカたちは、理屈抜きに一足飛びに物事の本質を掴んでいるタイプのバカなので、バカに出来ないんですよね。
ああ、そう言えばパリエルの家系って、億千万の刃の系譜なんだよなあ。業の伝承であって血統ではないみたいだけれど、ちょっちVZに似てきたか。むしろ、正気の軍曹、という感じかもしれないけれど。
いずれにしろ、振り切れたパリエルは、近衛としてマヒロに仕えていた頃よりも今のほうが彼を理解出来てる気がするねえ。理解者だからといって、恋愛感情はさっぱりみたいだけれど。理解出来てるからこそ、あれを男として見るのは無理っぽいのかもしれない。ルナスがゲテモノ食いすぎるのかもしれないけれど。シャルロッテも相変わらずお気に入りだしなあ。
今回の一件で、シャルロッテが本当の本気でマヒロに全幅の信頼を置いている、と確信出来た。マヒロもシャルロッテも、どこまでが本気か腹の中を見せないから、どれだけ本音で喋ってるように見えても信じ切れない部分があったんですよね。でも、とりあえずマヒロは置いておいて、シャルロッテはその目的からもマヒロの味方として動いてくれるんじゃないでしょうか。逆にルナスの方が立場に拘るかもしれない、と危惧するくらい。

しかし、今回の一連の事件はついに本丸に近づいてきた証明になるんだろうか。黒幕(?)が派手に動き出したことはともかく、まさかマヒロがここまで具体的にキラについて掴んでいたとは、相変わらずコイツは想像の上を行ってくれる。シャルロッテ様も、ちゃんとキラの怪しさについては掴んでたみたいだし。この二人の謀略戦の手際はほんとに信頼感があるわ。それでも、この二人の包囲網を食い破ってみせたキラたちは侮れないんだけれど。キラの語る時間切れを、マヒロたちもさすがに把握していなかったことが原因か。或いは、エーデルワイスが裏切りすぎなのか。なんか、一番裏切らさなそうなのが彼女だったのに、その彼女に二度も裏切らせるとか、作者先生も悪よのう。
ついに魔物の全面侵攻がはじまり、聖魔杯の鍵も揃い、と怒涛の展開を迎えた物語は、ついにクライマックスに突入するのか。次はあんまり待たせないで欲しいなあ。

シリーズ感想