ココロコネクト プレシャスタイム (ファミ通文庫)

【ココロコネクト プレシャスタイム】 庵田定夏/白身魚 ファミ通文庫

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ありったけの気持ちを込めて言いたい。本当に、本当に本当に――

「新たな化学反応を起こすのよ! 」三年に進級した藤島麻衣子が開催したのは、学校全体を巻き込んだ一大イベントだった!
文研部員同士をも激突させた熱き闘いと、藤島の隠された思惑が錯綜する波乱のカップルバトルロイヤルから、
部長に千尋が、副部長に紫乃が就任した新文研部が巻き起こす悪戦苦闘の新入生勧誘活動、
さらには莉奈の『お兄ちゃんの友達チェック』に、卒業を目前に永瀬伊織が振り返る高校生活まで。
シリーズラストを飾る愛と青春の五角形コメディ、美味しいところだけを凝縮したココロコレクト第3弾!
いやあ、伊織さん。貴方、お母さんと同じくわりと旦那さん何人も作りそうな気がするなあ。あんまり誰かとバカップルになる、というイメージが湧かないや。とはいえ、結婚に失敗、という感じじゃなくて、別れても良い関係が続く元ダンナが何人かいるシングルマザー、みたいな?
なんだかんだと、卒業間際には周りはカップルだらけになってしまったせいか、独り身の上に推薦でさっさと進路が決まってしまった伊織が、共有すべき時間から、独りだけ先に足を踏み出してしまった為に、一番身近に卒業、別れというものを実感する流れになってしまっていたんだなあ。お陰で、太一じゃなくて伊織が物語の締め役として主人公みたいな立ち位置になっていた気がする。いや、それ以前から彼女は五角形の中でも特別な位置から他の四人、そして学校のみんなのことを見守るポディションに移行していたので、彼女が幕引き役を引き受けるのは必然だったのだろう。彼女の視点以外に、卒業をまじかに控えたみんなの様子を見て回り、その上で自分を顧みて、続く未来を遠望することの出来る子はいなかったから。当事者と傍観者を併存出来るのはこの中では伊織だけだったからなあ。彼女の視点だったからこそ沸き上がってくる、卒業への感慨である。寂しさと期待が入り混じった、あの時期特有の特別な時間。懐かしくて遠い、もう帰ってこない時間だ。
そんな時間を、伊織を含めてこの子たちは本当に大事にしてくれていたのが、なんだか無性に嬉しかった。
藤島だけは最後までキャラが掴めない、自由に右往左往しまくる困ったキャラだったなあ。妹の莉奈は、本気で姫子と仲悪そう、というかライバルで角を突き合わせる関係になりそうで、いやはやどうするんだろうこれ、太一は。
あー、これで本当に終わりか。心の芯から揺さぶられる、本気の叫びに打たれることの出来る、素晴らしい青春活劇でした。おつかれさま、こんな素敵な作品をありがとう。次回作も、とても期待しています。
じゃあね、ばいばい。

シリーズ感想