ネームレス・リベリオンI 神聖魔剣は砕けない (HJ文庫)

【ネームレス・リベリオン 1.神聖魔剣は砕けない】 草木うしみつ/鉄豚 HJ文庫

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第7回HJ文庫大賞・銀賞受賞作
魔剣の騎士姫と禁呪の魔典使いが紡ぐ、アンブレイカブル・バトルファンタジー!

炎の魔剣を操る騎士の少女フェリマ。
とある事件の調査で北の町を訪れた彼女は、そこで天才魔典使いルナの罠にはまり、禁呪たる隷属魔法を掛けられてしまう。
寂しがりでどこか憎めないルナとのおかしな主従関係に頭を抱えつつ、フェリマは酒場を営む青年ナハトの助力を得て、町に隠された真実に近づいていくが――。
魔剣の騎士姫が綴る英雄譚、開幕!!
甘え上戸!!(爆笑
いやいや、当初はこのフェリマを見誤ってましたよ。堅物で面白味のない真面目が取り柄の少女騎士でしかないのかと。相当ハッチャケたところあるじゃないか。自分の酒癖の悪さを自覚しているのも面白いけれど、その有り様を理解していながら自爆覚悟で武器として使えるあたり、何だかんだと図太い性格じゃないですか。いやさ、この甘え上戸ってホントに自殺モノなんだが、ここまでキャラ変わっちゃってる自分を許容出来るのって結構スゴイぞ。
これ、面白いのが主人公としての役割をフェリマに預けつつも、ルナやナハトも脇ではなく主軸となるスタンスで動いてるところなんですよね。実質的に、三人で主人公をやってると言ってもイイ。これは、焦点がブレて嫌だという人もあるかもしれませんけれど、個人的にはバランスも崩壊していないしそれぞれしっかりと性格や背景、それに基づく考え方が描かれてるんで、三人共主人公格というのは面白いと思うし、結構好きだなあ。それに、一人ひとりがバラバラじゃなくて、ちゃんと三人がそれぞれに複雑に絡んだ人間関係を構築していて、お互いに影響しあうことで支えあう絆を芽生えさせていくわけですよ。それは偶然の産物でもあり、運命のような出会いでもあり、ロマンチックでありつつもコメディタッチでノリもテンポもよく、グイグイと牽引していくパワーもある。
読み始めた時の感触から大きく予想を上回る惹きの強さがあって、意外なほどツボに嵌りました。
敵役となる相手は完全に狂っているんですけれど、同時に悲哀に塗れたいい意味でも悪い意味でも陰を引きずるキャラクターで、ルナとの因縁もあってかかなり良い悪役ですね、インパクトもありますし。やってることは無茶苦茶もいい所なんですが……実のところ、この人惨劇によって狂う以前から相当のMAD系だったみたいで、ただでさえ危ない人が壊れると手が付けられなくなる、という典型だったのかもしれません。
最悪の出会いから、隷属魔法で事実上の奴隷にされながら、そこから一歩踏み込んで女同士の友情を育んでいくルナとフェリマの関係も美味しかったですし、運命のイタズラから顔を合わせることになったフェリマとナハトというこれまた美味しい仄かな男と女の気持ちの絡み合いといい、うん、これは育つと相当イイところまで上りそうな素材ですよっと。
HJ文庫の新人作では久々に当たりが来たかもしれません。今後にも大いに期待したいです。楽しみ楽しみ。