俺の教室にハルヒはいない2 (角川スニーカー文庫)

【俺の教室にハルヒはいない 2】 新井輝/こじこじ 角川スニーカー文庫

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教室の一番後ろの席は『涼宮ハルヒ』の席。登校して来ないマナミさんの件で、俺は生徒指導室に呼び出され、その帰り、生徒会長のカグヤ先輩に突然、呼び止められる「君には心当たりがあるだろう?」―先輩は『涼宮ハルヒ』のことを聞きたがっていた!一方、声優を目指すカスガはオーディションに。でも、そこにはマナミさんも参加していて、二人の対決は避けられないことだった…。話題の青春ストーリー、胸に迫る第2弾!
【カンチ、セックスしよっ♪】、という名台詞が真っ先に頭に浮かんだロートルさ加減については察してください。でも、あの頃自分ドラマとかあんまり見てなかったんだよなあ。東京ラブストーリーも見てなかったし。
さて、いきなり校内で初対面の相手にとんでもないお誘いを仕掛けてきた生徒会長さんの登場である。いやいや、不器用にもホドがあるでしょう。人間関係の距離感の取り方、無茶苦茶じゃないか。ところが、あながち突拍子もない事もないのが肝である。ってか、あり得ないとわかっていても【ROOM NO.1301】の主人公みたいに張り切っちゃうのかとドキドキしちゃったじゃないか。さすがにユウくんはあちらの健一くんのように「セックス」がコミュニケーションツールというわけではないので、そこまではっちゃけるとは思わないのですけれど、凡俗のウブな主人公と違ってわりと女の子に触れることに緊張しない子なので、時折ギョッとするくらい大胆な事するから油断は出来ない。
そもそもこの作者の描くキャラって、微妙に生々しくて距離感の埋め方にライトノベル的な手順を必要としてないんですよね。全体として、作品としてルールが決まっているのではなく、各々の価値観と判断に委ねられているので、傍から見ていると「え?」と思うほど踏み込みに躊躇いがないケースが散見されるわけです。もっとも、各々の中にあるルールはそれぞれ確固としたものがあるので、見ていれば段々わかってくるんですけどね。でも、慣れている人ほどギョッとなるかもしれない。
しかし、あんまりにも無造作に踏み込むもんだから、抜き差しならないところまで至っちゃってるのは間違いないものだと思う。引き金の軽さと銃弾の威力は別に関係があるわけじゃないものね。ユウくんにどれだけ自覚があるかわからないけれど、マナミにしてもカスガにしても、彼の存在を拠り所にしているという意味では、正直換えがきかないところまで来ちゃっているように見える。ユウくんは、あまりにも十全に二人の期待に応えちゃったんだろうなあ。決してユウくんが軽い気持ちで二人を応援してるわけではなかったということは、カスガとマナミのオーディションがバッティングしていた事を知った際の動揺からもうかがい知れる。彼は彼としてとても真摯で真剣に二人の支えになろうとしていたのは間違いない。ただ、そのことが二人にとってどれほど大きいものだったかを、この若者は果たしてどこまで理解できているのか。こればっかりは人生経験がモノを言う段階の出来事な気もするけれど、マナミにしてもカスガにしてもこれ、結構重い女だぜ。ふたりとも、この世代としては抜きん出て自立していて、誰かに寄り掛からないと立っていられないような弱い女じゃござんせん。でも、だからこそいざ拠り所を求めた時の気持ちたるや、とても軽々としたものでは居られない。それでも、二人は慎重にユウくんという支えに対して適切で理性的な対応を心がけていたように見えました。が、今回の一件でそれは瓦解の様相を垣間見せ、さらにはカスガの方はあのさり気なく物凄い発言をしていたのを鑑みると、もしかしてそうした配慮を放棄してしまった可能性すら浮かび上がってくる。
未だ対面していないカスガとマナミですけれど、二人が顔を合わせるシーンを想像すると背筋がゾクゾクしてくるような段階に、この三人は踏み入ってしまったんだろうか。まだどういう方向に持っていくのか、今はわからないのだけれど、ヤバいなあ、修羅場あるかなあw

1巻感想