盟約のリヴァイアサンIV (MF文庫J)

【盟約のリヴァイアサン 4】 丈月城/仁村有志 MF文庫J

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突然の領有宣言により、雪風の姫の領土となった「東京新都」。これまでにも幾多のドラゴンからの襲撃を受け続けていた東京は移住民が多発し、徐々に人口が減っていた。一方のハルは、ルナに今まで以上の猛プッシュを受けながらも穏やかな日々を過ごしていた。そんななか、いずれ訪れる雪風の姫との対決に備えた戦力強化のため、皆を引き連れて伊豆へと向かうことに。海水浴に露天風呂と普通の旅行を満喫するハルたちだったが、そこへ謎の触手が現れて…。戦いの場は海へ、激突する竜と蛇!至高のドラゴン・エンタテイメント、熱量が加速する第4弾!
<宝くじ 買わなきゃ絶対 当たらない>。
まあ、ラッキースケベは別に当選券を買っていなくても当たってしまう事が多い、というか勝手に向こうから放り込まれてくるのが普通なのですが、しかし起こるかどうかわからないものを漠然と待っているよりも、少しでも準備していた方が可能性が増すのも確かな話。
すなわち、人事を尽くして天命を待つ、である。
ハルの、いつ起こるかも分からない、起こらない可能性のほうが高い「チャンス」に備えて地道な努力を欠かさないその不断の努力には、尊崇の念すら浮かんでくる。そう、濡れ手に粟のように努力もせずにラッキースケベの恩恵に預かり、まるで不幸のように嘆く輩は「幸運」の価値というものを全く理解していない。
もちろん、ラッキースケベを社会的に許容してもらえる環境にない場合は、真剣にヤバい事になってしまうので、幸運を不幸とのたまう輩の言い分も理がないわけではないのだが。
その点、ラッキースケベに「備える」という事は同時に許してもらえる言い訳と領分をも準備しているという意味でもあり、ハルの周到さには頭がさがる思いである。それでも、起こるかどうかわからない事案に対して、あれほど執拗に構えられる、というのは並みの精神では折れてしまうだろう。その意味でも、彼の「ムッツリスケベ」さ加減はまさに筋金入り、と言っていい。ある意味、【カンピオーネ!】の護堂さんよりもベクトルは違うが肉食系と言っていいんじゃないだろうか。少なくともヘタレとは程遠い。ただ、自分から積極的に恋愛を楽しむことを求めるような前向きさはないんですよね。枯れているというか、怠惰というか。エロスに対しては勤勉なのに、ある一定のラインより向こうは面倒くさがって怠けてしまうというか。
肉食は肉食でも、雄ライオンみたいなところあるなあ、こいつ。
その意味では、ルナは性格的にも凄く波長が合って楽しくはあるんだけれど、マトモに相手をするのって面倒くさいんですよね。常に相手に対して頭をつかうことを求めてくるし、その要求の度合が非常に高い。楽しいけれど疲れる相手、なのでしょう。その点、織姫は完全に癒し系なんですよね、それも包容力があって甘えさせてくれるタイプ。今回はルナの積極果敢な攻勢もあって彼女の担当回であるのは間違いないんですけれど、それ以上にやはり織姫のヒロインとしての格の高さをひしひしと感じさせてくれる回でもありました。この子って、ホントに面倒くさい部分が皆無なんですよね。個性的ではあっても、それは相手に対して負担を感じさせるものでは全然ないわけですよ。天然で自分のポディションに対して迂闊なところがあるのもチャームポイントだし。
ちょっと脇が甘くて無防備で、素でえっちいところなんか最高ですし。
羽純も年下ポジをふんだんに活かす邪気のない、でも品のある甘えっぷりがホント可愛い、凄く可愛い。この娘の魅力は献身性にもあるんだろうなあ。
この献身性というのは結構な味噌で、このルナってカンピのエリカに例えられるけれど、自分はベクトルは似てても姿勢は全然違うと思うんですよね。ルナの方はあくまで自分が中心なのに対して、エリカは自己主張強いように見えて身も心も捧げ尽くしきってる尋常でない献身の主ですからね、かなり筋が違ってると思います。

……え? アーシャ? ……ぷ。

いや、もうあかんでしょう、これ(苦笑
お風呂に乱入した際にさえ、あれほど華麗にスルーされたとなると、よっぽど頑張らないと。頑張っても無駄、という気が確信レベルでしますが。無駄な努力乙。
いやだって、もう無理ですよ。これで他のヒロインが並みレベルならともかく、織姫がすごすぎますよ。これほどレベルの高いヒロインは他でもそうそう見ませんて。そんな彼女に対して、もはやネタキャラに首までずっぽりハマってるアーシャがどう抗うというのか。もう同じ舞台にも立ててませんし。
ルルイエ(仮)に引きずり込まれた時にルナと一緒に巻き込まれたのがアーシャじゃなくて織姫だったという時点で色々としれてしまってます。ルナの目にも、織姫が映るばかりでアーシャは眼中にもありませんしねえ……ご愁傷様でした。あとは、どの段階でアーシャ終了のお知らせ、がテロップで流れるかの時間の問題。

さて、雪風に目をつけられたハルは、しかしあんまり堪えた様子もなく戦力の増強を画策するあたり、やっぱり肝が据わっているというか、色んな意味でプロフェッショナルなんですよね。グダグダ迷走しないで、目的を達成するために、次々と算段を立てていく。この辺り、同じ年頃の男子とは一線を画していて、精神的に自立している姿は頼りがいあるんでしょうなあ、織姫や羽純がグラっと来るのも当然で、ルナが惚れ込んでしまうのもよく分かる。彼の強かさは身も蓋もない部分が多々あるので、ついつい自分がついてやらないと、と思ってしまうところもあって、織姫の立場からシてみても、彼はドストライクなんじゃないかなあ。
ともあれ、新たな力も手に入れて、とりあえず対抗できる余地は整ったものの、ハルの体調面はあんまり触れられてないけれど、何気に深刻な問題なんじゃないか、という素振りも見せていて予断を許さない。
次は再び雪風との激突と相成るのだろうか。

丈月城作品感想