落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国V (MF文庫J)

【落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 5】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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旅団長ジュエルジュード率いる旧教会の最新鋭部隊“八八旅団”の圧倒的な力を前に初の敗北を喫し、エインの砦へと逃げ帰ったナーガ一同。しかしナーガは「旅団攻略の突破口は見えた」と断言する。一方、敵を奇襲するために結成された別働隊のレラ一行は、ハリガンが信頼を寄せる魔女、ランジュに別働隊への参加を要請するため、黒い森へと足を運んでいた。更にライバッハが連れ帰った奴隷も加わり、魔女の戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。果たしてナーガの企てた奇襲とは。そして、最強の討伐軍を打ち倒すための突破口とは―。魔女の全てを賭けた総力戦の幕が、再び切って落とされる―。大ヒット戦乱無双ファンタジー、疾風怒涛の第5弾!
ライバッハがじみ〜〜に有能だよね、これ。ナーガは指揮官としてあれこれ方針や指示を打ち出すとして、それを実行して実現するのは当たり前の事でも相応の能力が必要なんだけれど、彼は卒なくこなしてるもんなあ。言われた通りのことをちゃんとやってくれるって、地味にありがたいものよ。魔女連中は、一芸に特化している分、細かい統率とか手配りとか苦手そうだし。単なる男の部下という以上に、ライバッハは拾い物だったんじゃないだろうか。
さて、一敗地に塗れたものの、幸いにして大した被害らしい被害も受けずに撤退できたナーガたち。戦闘に負けても戦争には負けなかった、と言われるナーガさんですが、そのせいか戦闘指揮官としてはあんまり評価されてない気もします。戦歴見ると、決して悪くないのにね。まあそれ以上に戦場に至るまでの手腕が傑出しているが故に、評価が偏ってしまっているのかもしれませんが。軍団を率いる戦いは元より、一向宗との戦いなどでは率先して大暴れしているところなど見ても、少数率いて最前線近くを駆けまわる類の戦闘指揮にも適正があったのかもしれません。その意味では、この作品におけるナーガの立ち回りにもなかなかしっくりくるものはあるんですよね。まあ、戦場で小細工巡らせるタイプとは思わないのですけれど。
でも、実際のやり方は全然異なっていますけれど、今回の敵の動き、敵の規模、到来のタイミング、戦場となる場所を完全に思惑通りにコントロールして見せたところなど、長篠合戦に相通じるところがありましたし、こういうところが大戦略家としての彼の手腕の萌芽なのでしょう。ここで旧教会の突然の介入から旅団の壊滅、そこから波及していく各国の動きや影響までシナリオどおりだった、というレベルになると謀神・毛利元就級になるのですが、さすがに異世界に迷い込んで国際情勢についても詳しくないナーガにそこまで求めるのは「今の段階」では酷というものでしょうけれど、もう少しちゃんと人間界の情勢について詳しい情報が入るようになれば、さてどうなるか。仕掛けは幾らでも出来そうだけれど。今回の戦果は、人間界側の混乱だけではなく未だ静観している魔女界にも影響は大きいはず。素直に味方してくれればいいけれど、話を聞く限りスレイマーヤ一族と違って他の魔女族とは対立している部分も少なからずあるようだから、さてそう簡単には行かないはず。ナーガが人間と魔女の融和した国を目指している以上は尚更に。
しかし、魔女は基本裸族だよなあ。なのに、全裸は恥ずかしいのか。

舞阪洸作品感想