ひきこもりパンデモニウム2 (MF文庫J)

【ひきこもりパンデモニウム 2】 壱日千次/うすめ四郎 MF文庫J

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サタンの正体が日高見家の亡くなった長女・聖歌だと判明し、再び家族3人での生活を始めた春太たち。そんな中、ひきこもりを脱し学校に通い始めた義妹・久遠がクラスで孤立していないか心配する春太のもとに、久遠からSOSの“空メール”が送られてくる。慌てて一年の教室に駆けつけた春太は、クラスのイケメン・雷火が久遠に告白するため彼女を屋上に連れ出したことを知る。“×××されそうです(><)”。的外れな久遠のSOSにツッコミを入れつつも、気持ちが逸る春太。そんな彼に対して、雷火は久遠をかけて決闘を申し込んできた。そこに聖歌たち悪魔も絡めば、事態が明後日の方向へ向かうこと必至で―抱腹ハートフルギャグラブコメ待望の第2弾!
抱腹絶倒、という慣用句がそのままバッチリ当てはまるような、キレキレに切れまくったギャグラブコメディでした。比喩じゃなく笑いどころしかない、というか、間断なく襲ってくるギャグネタに落ち着く暇がないというか。突然予期せぬ方向からポンとネタを放り込んでくるんで、どうしても笑っちゃうんですよ。そこ、感動的シーンだったんじゃないのか、という流れで突然ネタ振りしはじめるし。恐るべきは、そのネタの放り込み方が全然無理してなくて、突然ギャグに舵を切るのも含めて自然にリズムに乗っているのですね。お陰で作品全体、立ち止まる所無く凄まじくテンポよく最後まで読み切ってしまえます。しかも、一本調子じゃなくてちゃんと緩急がついているので急き立てられて息も詰まるようなこともありませんし。ただ、一息入れているといきなりデカイネタが振り込まれたりするので油断はさっぱり出来ませんでしたが。
感心するのは、これだけ圧倒的なギャグ進行でありながら、しっかりとハートフルで思わず胸が温かくなるような家族の愛の物語になっているところでしょうか。前作でもそうだったんですけれど、主人公周辺が置かれた環境、状況ってなかなか笑えないくらい酷いもので、シリアスに振るとどこまでも陰鬱になれるバックグラウンドだったりするんですよね。それをこれだけすっとぼけた雰囲気に染め上げながら、しかし茶化してしまわずに真摯に切ない雰囲気を同居させられるのは、ただのギャグセンスだけじゃないセンスを感じさせられます。客観的に見るとギャグ展開以外の何者でもないんですけどね、今回なぞ特に。でも、当事者の日高見家の人たちはとても一生懸命で一途でひたむきなんで、凄く清々しいんですよ。見ていてホント、応援してあげたくなる。
変態だけどな!!
悪魔王のおねえちゃんが一番の常識人という限りなくアウトに近いアウトな一家である。
お姉ちゃんが不在の時期、このダメ兄妹がどうやって生活出来てきたのか、深刻に謎である。沙枝さんのサポートが結構あったんだろうか。沙枝さんといえば、彼女もちゃんと報われてくれてよかったなあ。家族間だけではなく、彼女が家族の外側からも手を差し伸べて抱きしめてくれたからこそ広がったものがあったわけですし。1.2倍相当だけど!! 
最後はかなりまきが入ってて畳み掛けるように終わってしまいましたが、最後の最後まで気持ちよく笑わせてくれる素敵なハッピーエンドでした。二巻で終わるのが勿体ないくらいみんなキャラ立ってたんで、ちと勿体ないですけどね。
ほんと、これだけお腹を抱えて笑わせてくれる作品は滅多ないので、次回も大いに期待したいです。

1巻感想