Landreaall 23巻 限定版 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 23 限定版】 おがきちか ZERO-SUMコミックス

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まさか、あの夫婦が。特に戦鬼がごとき無双の、作中最強なんじゃというファレル母さんがどうやったらやられるんだ、というかどうやったらやっつけられるんだ、とありえないシチュエーションに、これ本気でヤバいんじゃないのか、と危惧していたんですが、そうか、そういうことだったのか。これは相手が上だった、としか言い様がない。そうか、ファレル母さんってそんな弱点あったっけ。そんな弱点ついても余計に酷いことになりそうで、全然予想していなかった。そもそも、彼女の弱点ってこういうシーンで利用されるようなものじゃなかったはずだもんなあ。これは偶然なのか、それともファレル母さんの弱点を把握した上での事だったのか、と疑問するなら、仕掛け人が明らかになった時点で後者とかんがえるべきなんだろうなあ。
案の定黒幕は誰もが予想した通りの人物だったわけですけれど、ここまであからさまなのに底知れないあのクェンティンの怪しさはやっぱり並外れている。一体何を考えているのか、未だにさっぱりわからないし。こいつが面倒くさいというか難しいというか怖いのは、安易に「敵」認定出来ないところなんですよね。まず敵味方がはっきりしないと対処のしようがないものなんだけれど、そもそも彼に関しては何に対して敵味方の判断を下していいのか、から分からない。白黒はっきりするのって簡単なように見えて、これだけ判断の土台となる部分が混迷しているとひどく難しいんだよなあ。果たして、クェンティンがここまでやらかした今の段階に至っても、判断してしまっていいものか恐ろしくある。DXは白黒ハッキリさえしたら、電撃的に事態を解決できるだけの様々なものを備えているけれど、同時に思慮深く慎重で判断基準も独特なので、クェンティンについてはかなり困ってそうなんだよなあ、扱いを。前はアンちゃんことアニューラスについても随分困ってた節がありますけれど、彼女(彼)についてはDXに対してほぼ全幅で自由を尊重してくれたので、まるっと大方のものを預けて解決してしまったのですが、クェンティンは目的が定かではないのはいいとしても、その目的を達成するために他者の自由意志を尊重しない、というか誘導する節があるので、DXが打ち解ける余地は殆どないんだけれど、それでもまだ敵認定するようなものでもなかったんですよね。それが、今回これだけハッキリと強引な手に打って出てきたとなると、それだけ大きく事を動かす段階に至ったのは間違いないんだろうけれど……うーん。
それでも今回は六甲が本当に危なかったんで、身内を危機にさらされたDXがどう判断するのか。彼については後になってみるとその行動原理は明快にしてわかりやすいものの、その時その時には動きが瞬発過ぎて理解が追っつかない事が多々あるので、今回もどこまで動くのか見通しが立たないのがワクワクを通り越したドキドキ感がある。とんでもないことをやらかしてくれそうで、それがある一定のラインをちょうどまたぎ越していそうで。ティティの気持ちはよくわかるよ、これw
とはいえ、六甲が無事だったことでほんとに危ない展開は免れているのは多分、間違いないと思うんだけれど。
一方で、イオンもまたこれ、何気に道を一つ選んじゃったんだよなあ。イオンちゃんはどうやったってイオンちゃんであることを選んだか。あの寮監さん、ケリー夫人ならイオンがどう言おうと最後まで止めると思ったんだけれど、イオンの決意の謝罪に対して何も言わなかった、言えなかったのか、のが結構意外だったし、それだけこのシーンは重要だったのかもしれない。
しかし、DXがイオンに気付かなかったのはなんでなんだろう。他の親しい人はみんなほぼひと目で気づいてたのに。六甲も驚いてたもんなあ、気づいてないことに。
六甲ーイオンのラインは正直もうないのかな、と思ってたんだけれど、あのシーンを見せられるとまたぞろムクムクっと盛り上がってきましたよ。家族は家族でもやっぱりDX相手とは違うもんなあ。DXとしても、カイルよりも六甲の方がオススメみたいだし、個人的にもこの一件で六甲がニンジャでありながら人間として生きることに対してより真剣に向き合うことになったことで、よりイオンとラインが繋がる芽が芽生えてきた気がするので、ぜひ推してあげたい。
巻末の短編も毎度ながら面白かった。一つの些細な事件と認識されていたものが、解体しその影響を辿って行くと様々な面に波及して繋がっていっているという面白さ。歴史にしても現代の政治にしても、単発の出来事を抜き出して表層だけをさらって、これ、と見せてもその本質は全く伝わらないんですよね。繋がっていっているものを見出して、その多くを俯瞰して理解しないと物事というのは見えてこない。新聞記事やイオンの話、自分が見聞きした出来事から、グランドデザインを描き出して見えたチルダは、ほんと賢いなあ。そして、それを安易に口に出さないことも含めて。
そして、フィルのナイフ投げの凄さ、伝わりましたよ。DXが語りたくてウズウズしているのが、可愛いというかなんというか。しかし、本気でスゴイんだ、フィルのナイフ投げ。

シリーズ感想