絶対城先輩の妖怪学講座 三 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 3】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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東勢大学文学部四号館四階四十四番資料室。そこに収められた妖怪学に関する膨大な文献は、絶対城が師匠であるクラウス教授から引き継いだものだった。ある日、四十四番資料室に、独逸語の手紙と謎のスケッチが届けられる。そこに描かれた妖怪の正体とは何なのか。見事スケッチの謎を解いた絶対城の前に、クラウス教授が現れる。久し振りの再会に話が弾む師弟。しかしクラウス教授は突如、資料室を文献ごと返し、妖怪学をやめるよう絶対城に迫り―!?
あれれ? 小さな山小屋で冷えた身体を温めあいながら一晩すごしたり、同じ屋根の下で同棲生活とか、甘酸っぱくもちょっとビターでアダルトなラブシチュエーションが満載だったはずなのに、色っぽさが欠片もないのは何故なんだ!? 疑問を抱く余地もなく、女子力皆無の礼音のせいなんですけどね!! あんた、もうちょっと女の子らしくトキメキなさいよ、ほんとにも〜〜こいつは女らしさというか女っ気が全然ないんだから。大学生にもなってそんな健康的なわんぱく小学生みたいなキャラクターでいるの、なんとかしなさいよ。化粧どころか、女らしい服を買うにも四苦八苦してるとか。ってか、10月になってまでなんちゅう薄着でいるんだ、こいつは。小学生か!!
私生活ではまともに自炊もしてないみたいだし。もう、絶対城先輩を嫁に貰うしかないじゃないか。意外と主夫が似合うことが発覚してしまったわけですし。意外とマメなんだよなあ、この人。律儀なところあるし。行くところがなくて礼音が自分の部屋に連れて帰って住まわせていた、というとヒモみたいに見えるんだけれど、礼音に甲斐性がさっぱりなかったせいか、全然そんな風に見えなかったのはなんともはや。先輩、後で色々と言い訳していたけれど、あの時点で意気消沈していたのは間違いないだろうし、本気で凹んでいただろうから、礼音がちゃんと世話しておけば躾けられたかもしれないのに、むしろ餌付けされてたもんなあ、この娘は。だから、いい年した男女が狭い部屋に同居しながら、なんでここまで色っぽい話にならないんだか。この娘はもう……(苦笑
不遜に見えて、絶対城先輩って無茶苦茶可愛らしいところもあって、むしろ女子力がない少年のような礼音とはお似合いのところもあるのかもしれませんが。こういう男のタイプは、同じく大人っぽい女性とのカップルも絵になるんですが、礼音みたいなタイプと噛みあうと妙に微笑ましくなるんだよなあ、それがいいんですが。

しかし、何がに作者、古代種好きですよねえ。前回の怪物の正体にも度肝を抜かれましたけれど、今回のはそれにある意味輪をかける怪で……いや、これならまだ真怪の方が理解できるんですけれど。クライス教授の秘密、コッチのほうが怖いわ!! 羽根の種類からして、クラウス教授が自称していたモノとは違うんだろうなあ、とは想像ついてましたけれど、妖精さんを期待したワクワク感を返せ!!w いや、実際にはマシンの類なんじゃないかと疑っていただけに、これには度肝を抜かれました。
驚いたといえば、鵺の正体についても、絶対城先輩の出した答えはびっくりしましたけどね。マジでそんな説あるの? 言われてみると、鵺の姿ってその動物に当てはまる気もしないでもないですが。これは面白い話だなあ。

絶対城先輩の妖怪学の師でありながら、再び現れた今、妖怪学の危険性を訴え手を引くように強引な手に打って出たクラウス教授。彼の言うとおり、実際にこれまでも妖怪に纏わる話で危険な目にあってきたのも確か。しかも、それは妖怪によるものではなくて、歴史の影から妖怪という存在に関わってきた人間たちの手によるものなんですよね。クラウス教授の残した警告は、絶対城先輩の過去も相まって不穏な空気を漂わせていくのだけれど、礼音の根っからの明るさが暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるので、随分と楽である。女子力ないけれど、場を明るくすることについては信頼がおけるもんなあ、礼音は。これでもう少し女子力が……というのはどうやら絶対城先輩も同意見のようで、そのうちいい加減我慢できなくなって自らコーディネートはじめるんじゃないか、この人。
怪しいと言えば、なんか回を重ねるごとに杵松さんが怪しく思えてきてしまう不思議。いい人で信頼できる人であることは疑いないのになあ。

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