聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 6 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 6】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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亜鐘学園実戦部隊VSフランス魔術軍団!!

熾烈なる『組織』対『組織』の総火力戦、勃発!
そして完全覚醒サラティガの真価とは――!?

「貴様が百億なら安いものだ」

ヨーロッパ経済界の大物、ランクSの黒魔――二つの顔をもつ男シャルルから突如スカウトされた諸葉。もちろん諸葉はすぐに辞退。だが、シャルルは不可解な執着をみせる。
古えより連なりし本物の魔術結社《太陽の揺籠》のゴーレム使いたちを動員、諸葉本人ではなく実戦部隊を襲わせたのだ。追い詰められる少年少女たち。しかし、限界を超えた死闘は彼らを新たな段階へと導く――。

組織対組織の総火力戦! 謎めくシャルルの真意。そして完全覚醒サラティガを手にした、諸葉の剣聖技とは?

永遠の絆を刃に変えて、百鬼夜行の魔術師集団に挑む学園ソード&ソーサリィ第6弾!!
やれやれ、困ったもんだ。この作品、読んでるこっちに「カッコイイーーッ!!」と拳握って身悶えさせりゃあイイと思ってるんだぜ? ふん、そんな安々と思惑に乗ると思ってもらっちゃ困りますなぁ……。

かっくえーーっ!!

石動隊長、かっけーーっ!!
丈弦先輩、かっけーーっ!!
そんでもって、シャルルが飛び切りかっくえーーーっ!!

参った、前回の雷帝さんがランクSという割に人間的に非常に残念な人物で、敵としては気持ちよくぶっ飛ばされて蹂躙されてスカッとするタイプだったので、同じく人間的に破綻してそうだったシャルルに対しても、あらすじから予想される自分本位なやり方も相俟って、敬するべき敵としては殆ど期待していなかったのですが、これがどうして。これこそが世界に6人しか居なかったランクSの一人、と呼ぶに相応しいデタラメな力量を見せてくれて、これが格好いいのなんの。戦闘中のセリフがイカしてるんですよね。あれはヴァシリーサみたいなのには絶対言えないセリフだよなあ。生まれ持っての才能や出力に頼りきったものではない、自らの技量を研鑽し研鑽し、その技を業とまで磨き上げ、前人未到の領域へと到達した者だけに許された揺るぎない自負に支えられた最強宣言。
相対している諸葉のテンションが上がりまくるのも、これは仕方ない。諸葉って人間そのものが大好きなだけに、努力を惜しまず自分を高めようとする人はさらに大好きだし、そんな中で生まれる人の可能性の限界を突破したような神業とかには感動しちゃうタイプだもんなあ。それが自分が見たこともない領域の、想像したことすら無い遥か高みの超絶技巧ならば尚更に。その意味では、シャルルのスタイルってもろに諸葉の好みドストライクなんですよね。
シャルルの人品の方も、初対面こそあれだったんで……というかあの性格は難儀すぎるだろう、この人。どれだけ偉そうな俺様なんだ、と思ったら本人悪気はないし、あの様子だと自分では謙虚で控えめだと思い込んでるんじゃないだろうか、あれ。誤解されやすい性格、というよりも誤解しかされない性格だよね、あれ。いやまあ、じゃあどんな人物なんだよ、と言われるともう死ぬほど面倒くさいですが。面倒くさすぎて、色々抉らせてしまった挙句に思い詰め果てて行き着くところまで行き着いてしまった、みたいな。ある意味、超絶真面目なんだよなあ。でも、その面倒臭さが、放っておけなさこそが、周りの人達に慕われ、付き従わせている要因でもあるのでしょう。ただ、その面倒臭さ、頑固さ、愚直さ故の脆さが周囲の側近たちに彼を支え守ろうと思わせた分、諸共道をハズしてしまった、とも言えるんですよね。一緒になって泥をかぶり、悪成す道を往こうとする方へと走ってしまった。この手の面倒くさい人は、真正面から叱り飛ばしてその思い詰めて余裕をなくしてしまっている所に冷静になって考えるだけの余地を生み出させる事が必要なのに、それを怠って、共依存になってしまったのが問題だったのか。多分、それを成すべき役割だったのが、シャルルのパートナーだったフラヴィだったのでしょうけれど、まさにその要を失ってしまったことが拍車をかけてしまったんだろうなあ。その役割を担える可能性を持っていたクロエは、優しくて情が深く良識的だった分、どうもこの人甘やかし体質だったみたいだしw

しかし、思っていた以上にランクS=規格外とランクAの間には大きな断絶がある。あくまでランクAって常識の範疇内なんですよね。諸葉を含めてこれまで出た六頭領の力量を見ると、果たして同じ「救世主(セイバー)」なのかと疑いたくなるくらい。その中で、シャルルのそれが常識の延長線上にある常識外であったことは、決してランクAの人間がランクSへと至るのは、可能性として絶無ではないのだ、という事を示してくれたわけで、その意味でもシャルルって希望の星なんですよね。それを踏まえて、というわけじゃないんだけれど、石動隊長が現状に満足せずに英雄に焦がれる少年のようにひたすらに諸葉の背中を追い続けている姿は胸を打つ。事実として、唯一殆ど彼だけがランクAからSへと至る階段に這い上がろうとしているわけだし。他には静乃が居るくらいか。人喰いの彼女は、力としては突き抜けているけれど、ある意味能力的には至っちゃっている気もするし。その意味では遥か後方にあるとはいえ、サツキもあの急成長っぷりをみると……。
尤も、分かりやすく規格外として存在する七頭領とは違う領域で、規格の外に逸脱している人たちも居るようで。丈弦先輩がまさにそれであり、また田中先生もどうやら思ってた以上に裏が深いご様子で。
ともあれ、石動隊長のカッコよさはぶち抜けてます。あまりに上を見る事に一途すぎて、どうもあの弟に足引っ張られそうなフラグも立ってるんですけれど。弟の方は改心も克己もせずに腐りっぱなしかぁ。

これまである意味、内輪同士での諍いだったのが、ついに単なる怪獣扱いだった<異端者>のもとてつもないのが現れて、しかも……という、次回に繋げるには盛り上がり十分のラストシーン。最後にドーンをイラスト持ってくるのは、気合入ってるのが透けて見えるなあ。
ここからが実は本番だった、というのなら美味しすぎます。アニメ化も相まって、今一番旬なシリーズになってきましたよっと。

シリーズ感想