機巧少女は傷つかない13 Facing

【機巧少女は傷つかない 13.Facing "Elder Empress"】 海冬レイジ/るろお  MF文庫J

Amazon

機巧魔術―それは魔術回路を内蔵する自動人形と、人形使いにより用いられる魔術。硝子奪還から五日。夜々を労りながらも夜会の再開を待つ雷真に、神性機巧に関わる秘宝“要石”を奪還せよ、との学院長の密命がくだる。急ぎ捜索を始める雷真だが、硝子、さらには夜会を競う相手“女帝”ソーネチカまでもが襲撃され、状況は錯綜。一方、夜会は最終幕に突入。ロキを含めた残りの手袋持ちは薔薇の陰謀に巻き込まれ、戦いは観客の予想しなかった方向へ…!?シンフォニック学園バトルアクション!
なるほど、ここで雷真に魔王になるための明確な動機が与えられたわけか。これまでは、どうしても復讐の為夜会を利用している、という建前に終始していましたからね。ロキの言うように、夜会とはまた別の場でマグナスに襲撃を掛けてもぶっちゃけ何の問題もないんだから。だから、夜会も終盤に来て仲間と相争う事となった時に、雷真には戦うための動機がなくなっちゃう所ではあったんですね。それを、夜々を助けるために魔王の座を勝ち取らなくてはならなくなった以上、引き下がる理由もなくなったわけだ。
しかし、ロキってば場外戦でマグナスと戦うなら、自分たちも協力出来るって、自分も雷真の事助ける気満々じゃないか(笑
ともあれ、夜々は前回なんとか助けられたものの、結局これは一時的な復活に過ぎず、このままなら生命を消耗して早晩力尽きてしまう。勿論、戦闘など行ってしまえば消耗は加速度的に早くなる。と言うことなので、必然的に雷真は夜々を戦闘に参加させることを極力避けるようになってきてしまったわけで、夜々自身が憤っているように雷真がどうも何をするにしても消極的になってるんですね。仲間と戦わなければならない、という事もあるんだけれど、とにかく夜々を戦闘に巻き込むまいとする為に、せっかく雪月花揃って運用出来るようになったのに、それを活かす事が出来ないまま状況は推移してしまう。仕方ないといえば仕方ないのですが。
しかも、薔薇たちの介入によって、これまで助けあってきた仲間同士で問答無用で争うことに。お陰で、何故か雷真、ソーネチカと組むはめに。正直、このお姫様はこの段階で本格的に絡むには遅すぎると痛感させられる勿体ないキャラなんだよなあ。まあ、これだけの魅力的なキャラをこの段階まで引っ張れる、というのはそれだけキャラの豊富さを証明しているのかもしれないけれど。彼女とフレイのタイマンは、この巻でも見所の一戦でした。ってか、ロキがついにお姉ちゃんにデレましたよ!? いや、最初からデレてたけれどさ、あれだけハッキリとフレイを褒めたの初めてだったからなあ。思わずウルウルっとなってしまった。
ある意味、全力を尽くして満足して退場したフレイですけれど、一方で日輪の方はそうすんなりと行かない模様で。正直、人形繰りという観点を抜きにして純粋に魔術の力量としてみると、日輪ってガチンコで人外魔境の領域なんですよね。今回の夜会でも、一人だけ別次元で戦っていたような。それでも、ソーネチカの機転と秘密によって虚を突かれて負けてしまったのですけれど。これは夜会ならではの敗北であって、抜け道みたいなものでしたし……彼女、それ以上に問題抱えてたみたいだし。これ、紫薔薇って日本人である以上、絶対あの人だよね。
結局、この段階まで勝ち残ったのは、雷真、ロキ、シャルと三人に絞られたわけだ。シャル、ちゃんと残れたんなあ。一番成長したのは、というと雷真を除くとこのシャルロットだったように思う。魔術の腕前もさることながら、何よりメンタル面が一本筋が通ったと言う感じで。彼女だけは、ヒロインの枠を越えて雷真と同じステージ、主人公のように生き、主人公のように戦うという主役としての舞台に立ち始めたんじゃないだろうか。その意味でも、シャルには大いに期待してる。
逆に、圧倒的にヒロイン的な空気をまといはじめたのが、前回見事に雷真に陥落させられた硝子さんである。雷真だけにデレたんじゃなくて、今まで頑なに鎧ってきたものから解き放たれて、誰に対しても柔らかく接するようになったんですよね、彼女。凄く素直に、率直に話すようになったし、なんか見てて今までと違う意味でドキドキしてしまう美人さんになったような気がする。さすがは雪月花の生みの親だけあってか、この人って尽くすタイプだよね。
そして、今回本当に出番少なかったのに、その少ない出番でものすごいインパクトを残して、色々持っていったのがグリゼルダ師匠。
師匠、ちょっとぶっ放しすぎだ、あんたw マジで結婚するつもりだぞ、この人。ある意味、夜々より突き抜けてないか。個人的にはグリゼルダ師匠ほんと好きなので、雷真、おまえ貰われろw
で、今回アリスどこ行った!? こういう時に一番頼りになる彼女が全然音信不通だったことが、混乱に拍車をかけた要因の一つだった気がする。またぞろ、何か下ごしらえしている、と思っていいんだろうか。彼女が居ると居ないとでは、安心感が違うんですよね。敵がどれほど狡猾であっても、彼女さえ手配りしてくれていれば何とかなる気がするんだけれど、逆に今回みたいにアリスがいないと全く良いように敵に翻弄されている気にさせられてしまう。それだけ、アリスの存在感が大きくなってしまっている、とも言えるんだけれど。
ともあれ、夜会もついに本当のクライマックス。まだ日輪編など残していそうだけれど、最終局面に近づいてきたという感触にビリビリと痺れるものがありますなあ。

シリーズ感想