俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 7 (GA文庫)

【俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 7】 裕時悠示/るろお GA文庫

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鋭太に別れを告げた真涼。それを知った千和たちの行動は?

【件名】契約解消
【本文】今まで本当にありがとう

ヒメに偽恋人の件がバレて以降、「自演乙」に様々な変化があった。学年トップの座を奪われ、復活を期す鋭太。
そんな鋭太のため料理を覚える千和。中2病の暴走も収まり、一皮向けたヒメ。恋愛脳が絶好調、ひとり大勝利する愛衣。そして鋭太に別れを告げた真涼は、学校を欠席して――。

真涼不在のまま学園祭の季節がやってきた。どうなる「自演乙」!
「真涼、本当にそれでいいのか!?」
「去り際は潔く、よ」

裕時悠示×るろおが贈る、甘修羅らぶ×らぶコメディ第7弾!
この娘は、夏川真涼はいったいなにをやってるんだ!?
 彼女の想像の斜め上を行く行動に、正直あっけにとられてしまった。いやでも、それだけに真涼の必死さを痛感させられる。たとえ自分のものにならなくても、真涼は愛の実在を証明したいのか? 千和と鋭太の間にある絆が真実の愛だからこそ、それを自らの手で成就させることで愛を実感したいのか。それとも、報われなくても与え捧げ尽くす事で自分の中に愛という情が存在することを示したいのか。いずれにしても、真涼には明確な意図はなく、ひたすら衝動に従い、理屈は無意識の底に沈んでいるのだろう。
千和と鋭太が真涼の尽力で結ばれたとして、じゃあ真涼の中には何が残るのだろう。偽物ではない本物の愛を自分の手で守り叶えたという満足を得て、それだけを宝物にして、夏川家に「モノ」として消費され尽くす残りの人生に向かうつもりなのだろうか。
真涼自身は、自分を恋敗れてのちも、恋敵の為に色々と手を差し伸べて困難に見舞われる主人公とメインヒロインのカップルを助けてあげる親友キャラ、みたいなのをイメージしているのかもしれない。だが、傍から見ていて彼女の姿は、ただただ痛ましい。哀しいまでに道化じみている。馬鹿じゃないのか? バカなのだ、そうこの娘は本当にバカなのだ。頭がいいくせに、それを思い切り間違った方向に働かせることしか出来ないバカなのだ。まだヤンデレの方が行動原理がシンプルで明々白々でわかりやすい。
あまりにも、この娘は自分の扱い方が下手くそだ。自分で自分を救う事が、どうしても出来ない娘なのだろう。だからこそ、真涼を救ってやれるのは、彼女を愛してあげる事の出来る人しか居ないのに、その対象者である鋭太は、愛の欺瞞と脆さをトラウマのように抱え込み、信じることが出来ない。
事は多分、本当にシンプルな解答でぜんぶスッキリと収まるものだろうに、鋭太も真涼もその境遇から絶対にその答えの実在を認めることが出来なかったのだ。それでも、真涼は今、自分以外の外側ではあってもそれを認め叶えることに身を粉にし、鋭太もまた絆という別の衣で覆い隠しながらも、その答えを握りしめたまま決して離さず、手元へと手繰り寄せようとしている。
千和は、果たしてそれをどんな想いで見つめているのだろう。
未だに、この変貌した幼馴染の真意だけは読み取れない。
現実を受け入れ、地に足をつけて自分で歩き出したヒメ。現実から必死に目を逸らして幻想にしがみつく愛。この二人、そして諦めたと言い聞かせている真涼とくらべても、千和が何を考えているのかがわからない。変わらず、鋭太への愛情を示し続けながら、どこか鋭太から離れていっているような彼女。結局のところ、すべては千和の動向が握っているのかもしれない。

いずれにしても、早晩愛ちゃんは引導を渡されてしまいそうだ。道化といえば、彼女が一番道化なのだろう。薄々、それを実感しながらも必死に見ないふりをして耳をふさぎ、幸せいっぱいのふりをしている愛ちゃんの姿は、どこかもうボロボロだ。自業自得なんだけれど、本物の鋭太を無視して自分の創りだした鋭太の幻想と踊っている彼女は、痛々しく痛ましい。千和の、眼中にない宣言が胸を詰まらせる。
もう彼女については、むしろはやくトドメを刺してあげて欲しいよ。

さて、巻末収録の短編では、真涼の妹である中学生、マナと性別不詳の謎の存在であるカオルとの出会いと交流が描かれている。カオルの正体については、この短編を通じてむしろ謎が深まる、というかかなりややこしい事になっていることが伺えるのだけれど、とりあえずマナとカオルの間にフラグらしきものが立ったのは、良かったと思うべきなんだろうか。鋭太の方がいっぱいいっぱいな以上、苦悩するカオルに道を拓いてあげるのはマナでもいいと思うんだ。

シリーズ感想