男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (2) ―Time to Play― (下) (電撃文庫)

【男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 2. ―Time to Play― (下) 】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫

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僕は、東京へ向かう特急列車の車内にいる。いつもの、窓側の席に座っている。五月晴れの空の下、まさに今、列車は動き出した。ホームの景色が、後ろに流れていく。隣の席は、あいている。似鳥は来るか?来る。僕には分かる。高校生にして電撃文庫で作家デビューを果たした“僕”と、クラスメイトで声優の似鳥絵里が、週一回、アニメのアフレコに向かう特急列車で交わす作家業についての会話。―それは、二度と引き返せない終着点へと進んでいく…。これは、僕が、やがて意識を失うまでの、走馬燈のような、お話。
首を絞められる原因については、概ね予想通り、というかそれ以外に理由らしい理由が考えられなかったんだけれど、しかし何故首を絞めるまでに逆上することになるのかが想像つかなかったんですよね。いや、そこまですることか? と。声優として役をあてられたミークが死んでしまい、作品から途中退場してしまうことが何か致命的な問題があるのか、とも思いましたけれど、原作者が死んじゃったらそもそも犯人がバレなくてもそこでアニメも停止してしまうわけで、やっぱり理由がわからなくて、さてどういうことなんだろうと手ぐすね引いて待っていたのですが、なるほど声優としての似鳥、クラスメイトとしての似鳥、という方に意識を持っていかれていてそれ以外の可能性、側面については想像だにしていなかったな……って、そんなん想像つきませんて。
そもそも、表紙で似鳥と並んでるやけに色彩豊かな娘は誰なんだろう、と彼女の正体すらわかんなかったですしね。むしろ、これは作中の彼女の役であるミークか、と思ってたくらいで……あれ? ミークなんかしら? 衣装的にファンタジーっぽいしなあ。

まあ件の問題はさておいても、話の中軸はやはりライトノベル作家としての実存的なあれこれ、ハウトゥーであります。印税の問題はかなりぶっちゃけていて、小説でそこまで実録的に書いちゃっていいのだろうか、ほんまにハウトゥー本だな、という内容で……でも、作家というものになりたいと思っている人にとっては、小説をどう書くか、なんてのはぶっちゃけ人それぞれ自分次第、他人に聞くようなもんじゃないもので、何が知りたいかというと、まさにここで描かれているような作家になるにあたって、またなってから実際に何が起こり、何をしなくちゃならなくて、どのように対処しているか、という話だと思うんですよね。こういう話は、それこそ経験者に聞くしかどうしようもないわけですから。
でも、打ち合わせで毎回東京まで遠出しないといけないというのは、大変そうだなあ。まあ、色んな作家のあとがき見ていると、地元から動かない人も結構居るようですけれど。
あの感想に対してのスタンスは、かなりわかる気がします。あれって、自分でもうすうす思っているような事を図星突かれなければ、わりと割り切るというか気にしないようにするのは出来るんですよね。無視するんじゃなくて、否定するんでもなくて、別の棚に置いておく、みたいな感じで。ムキになるのは、なかなか不毛です。

「ヴァイスヴァーサ」アニメ化が2巻で1クール、というのはやっぱり作家側からしても、このくらいが理想なんだろうなあ、という気持ちが伝わってきて、思わず微苦笑。そりゃそうだよなあ。

話は戻るけれど、印税というか発行部数……電撃文庫は初版からスゴイよね。電撃文庫の新人賞投稿数が図抜けているのも納得できる。ぶっちゃけ、この話からするとよっぽど沢山書くか、よっぽど沢山売れるかしないとこれだけで食ってくのはしんどいもんね。じゃあ兼業、と気楽にいかないのも確かな話で、仕事しながら書くのって普通に死ぬるよ? ぶっちゃけ、仕事するのと執筆するの以外何も出来なくなるし。年を経るごとに本業は責任増えて忙しくなるのが常で、体力的にも時間的にも執筆の方に力を注ぐ余裕は刻々と削られていく。
まあ大変な仕事だわなあ。それこそ、よっぽど好きでないと長くは続かないよ。どこかで、息切れしてしまう。アイデア、構想、ストーリーなんてのは、湧く人はなんぼでも湧いてくるもんだけれど、それを文字として起こすのは全く別の話ですからね。

作中作の「ヴァイスヴァーサ」、これはあんまり興味なかったんだけれど、プルートゥの本音がかいま見えるあのシーンを見てしまってから、ちょいと気になってきてしまった。ってか、大まかなあらすじが語られるだけで、興味が湧くほどの内容は描かれていないし、キャラも描写されてないんだけれど……ああいう風にシーンが描かれてしまうと、やっぱり面白そうと思ってしまうよなあ。

ストーリー的には、これで終わり? かと思ったんだけれど、また続くのかしら。続くにしても、タイトル変えないとあかんのでしょうけれど。首、〆終わっちゃったし。〆終わったというのも変な表現だけれど。
あとがきは、通常運行でした。これで通常なのはこの人だけだけどな!!

1巻感想