コップクラフト 4 (ガガガ文庫)

【コップクラフト 4 DRAGNET MIRAGE RELOADED】 賀東招二/村田蓮爾  ガガガ文庫

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突如発生した異空間ゲートにより、異世界とつながってしまった都市・サンテレサ。そこで日夜特殊な犯罪を捜査する敏腕刑事・マトバと異世界からやってきた美少女剣士・ティラナ。
ある日2人はゲートの向こうにある世界・セマーニから密輸品が持ち込まれるというタレコミを受け、密輸業者を待ち伏せることに。銃撃戦の末、密輸品の回収に成功する。しかし密輸業者を取り逃がしてしまったことで、2人はケンカを始める。そのうちマトバは明日も続く捜査のため早々に寝てしまい、ティラナは押収品の仕分け作業を続ける。翌朝、マトバが目覚めると半裸のティラナがベッドの中に潜り込んできて、猫のように、いきなり彼の体をなめながらまとわりついてきた。あまりのことに慌てたマトバは「なんかの病気か? 寝てろ」と言い残しさっさと出勤してしまう。いったいティラナの身に何が起こったのか? そしてそんなティラナを目の当たりにしたマトバは!? そこには昨日の事件が大きく絡んでいた……。
硝煙と魔法が入り乱れる「夢の街」を舞台に、敏腕刑事と美少女剣士コンビが奔走する、全ライトノベルファン必読のポリスアクションシリーズ、3年ぶりの第4弾!


最近はどの本もそれなりに厚さがあるので、逆に薄いと思わずおおっ、となってしまいます。本作も200ページ超。短篇集の書き下ろしに含まれているような中編が一本と、掌編が二本という構成でした。いやあ、本音からいうと、このくらいならせめて半年ペースで出してほしいよなあ。三年ぶり! とか強調されても、それに見合うような大作じゃありませんから、拍子抜けとまではいかないまでも肩透かしは食らったかも。
まあでも、作者はこういう肩に力を入れずに済む気軽なコメディはやっぱり上手いですよ。ほんっと、くだらない話でシリアスの欠片もないのですけれど。いや、欠片くらいはあるのか。微妙に女のエゴというか、友情を天秤にのせたこのモヤモヤとした感情を苦味としてまぶすのは、この人の特徴なのかもしれない。セシルなんて、マッド入っているようで中身は凄く真っ当でいい人なんだけれど、一抹の嫌な女としての要素がどうしても備わっちゃってるのである。こればっかりは、女であるならば必ず持っているもの、と言わんばかりで、それも無自覚ならば愛嬌の一つになるのかもしれないけれど、聡明で良い人であるからこそ、自分の中の悪意に対して自覚的であり敏感であり、嫌悪しつつも消しきれず、すっきりしないものを抱えている、というキャラクターなわけだ。賢い女性ほど、面倒くさいキャラとして描かれてるよね。その点、ティラナの方は若干馬鹿じゃないのか、というくらい単純で竹を割ったような潔いキャラなので、迷走するにしても猫みたいな愛嬌がある。これはいささかセシルの方に同情を覚えてしまうけれど。ってか、今回セシルて完全にとばっちりだよね。単に巻き込まれただけで何の関係もなかったのに、一番ひどい目にあったのって結局彼女だったんじゃないか?
ケイはというと、何だかんだで役得が多かったし、ティラナはというと恥ずかしい目には合いまくったわけだけれど、実はそれなりにリターンというか、モニョモニョしてしまうものはケイからちゃっかり得ているわけで、セシルが一人で貧乏くじ引いてたような。ご愁傷さまです。
しかし、ティラナって自覚的にケイのこと好きなんだろうか。ラストの掌編での彼女の男の好みについての告白を聞いていると、明らかに指向してたもんなあ。それを、ケイに聞かれそうになって慌てているあたりなんぞ、自覚がなければ現れない反応だし。
個人的には、セシルの見立てと違ってかなり相性良い気はするけれど。喧嘩は山ほどするだろうけれど、縁が切れずにいつまでもズルズルと続いていけるタイプのコンビだわな、この二人。
次回は、もう少し二人の関係に踏み込んだ話を読みたいもんです。別に長編でなくてもいいから。