デート・ア・ライブ10 鳶一エンジェル (富士見ファンタジア文庫)

【デート・ア・ライブ 10.鳶一エンジェル】 橘公司/つなこ  富士見ファンタジア文庫

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五年前、目の前で精霊に両親を殺された少女―鳶一折紙。あの日から、少女の存在意義は両親の仇を討ち、この世界から精霊を滅ぼすことに変わった。数年後、魔術師となり精霊と戦う力を得た少女は、自らの無力さを呪う。精霊を殺すためには、さらなる力を。その想いは叶えられ―。
「あなたを巻き込まないためには、これがもっとも確実性の高い方法」
「一体何にだよ!」
「―私と、精霊の戦いに」
彼女にとって唯一特別な存在、五河士道を監禁し、精霊たちを殺す悲願を叶えるため、戦場へと向かう折紙。戦争を止めるため、精霊を憎む少女をデートして、デレさせろ!?

折紙の精霊化フラグで、折紙にキスするなんて罰ゲームを通り越してデスゲームだよね〜、なんて無責任にせせら笑っていたらこれだよっ!
うわぁ、マジかぁ、マジなのか? 幾ら折紙だからって、幾らなんでもこの仕打はあんまりにも救いがなさすぎる。恐ろしいことのこの一連の事実、発端から結末に至るまで完全に円環状になってて、ループしていて、折紙の絶望を産んだのが、折紙の絶望そのものだった、というもう触れようがないくらい救いのない輪っかになっているのです。
これ、キスした程度でどうにかなるもんじゃないよ。愛は絶望を救わないよ。精霊に両親を無残に殺されて、精霊を憎悪し、精霊を滅ぼすために力を欲し、信義を売り渡し、人であることすら捨て、挙句憎んでいた精霊に成り果ててなお精霊を滅ぼそうとして……何が起こったかは言葉にするのも重たすぎる。
すべてを理解した折紙の姿は、あまりにも酷すぎてゾッと寒気がするほどでした。

四糸乃と七罪というでこぼこコンビの純真無垢なやりとりを見て癒やされよう。心慰めよう。……ふぅ。
いやあ、四糸乃はともかく、七罪がこんなに癒し系になってくれるとは。あの性格ひん曲がった様子からは想像できんかったわ。七罪って、視点が低いせいか精霊とはいってもかなり普通の女の子寄りの感性の持ち主なんですよね。浮世離れした他の精霊たちと比べると。琴里や美九という元人間組だってかなり特別ですし、折紙は斯くのごとし。普通の女の子いないなあ、この作品。一番それらしいのは、三十路近しのタマちゃん先生という阿鼻。まあそれはそれとして、七罪の普通の女の子っぽさというのが、これがまた十香をはじめとした精霊たちのこれまで見られなかった女の子らしさを引き出す要因になっているのです。その意味では、今まで登場した精霊の中でも七罪の存在というのはかなり大きなものだと思うんだよなあ。

ストーリー的にも狂三の真の目的らしきものがついに垣間見えたり、これまで封印されて限定解除がせいぜいだった十香のそれが、ついに全開放されて、精霊諸氏の全力戦闘への筋道がついたり、人間を精霊化させる謎の存在がついに現在進行形で現れたり、と物語が大きく動いた回でありました。
そして、もしかすると五河士道という少年の持つ特質の正体、何故彼にそんな力が付与されたのか、という謎についても、このラストの展開は一つの答えを導いてくれるかも。いずれにしても、士道の存在が状況を打開する鍵となるのは間違いないようで。今回ばかりは士道には何とかシてほしいよ、これ。いくら折紙がキモくても、ヒロインとしてはアレすぎたとしても、こればっかりは可哀想過ぎるもの。

シリーズ感想