百錬の覇王と聖約の戦乙女3 (HJ文庫)

【百錬の覇王と聖約の戦乙女 3】 鷹山誠一/ゆきさん HJ文庫

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最弱から最強へ。落ちこぼれが王へと駆け上がる!

今や《狼》の宗主として押すに押されぬ存在となった勇斗。だが二年前、この世界に迷い込んだ頃の勇斗は未熟な一人の"少年"に過ぎなかった。そんな勇斗を成長させたのはフェリシア、イングリットら麗しき戦乙女達、そして頼れる兄貴分の存在……。

弱肉強食の世界で勇斗はいかにして王に成り上がったのか?
今語られる覇王降臨編《エピソード・ゼロ》!
というわけで、1巻よりも時系列は遡って、勇斗がこの世界に迷い込み、狼の宗主になるまでのお話。
この時期の事については常々勇斗が忸怩たる想いを抱えながら、後悔とともに思い返していて、彼が巨大な権力を手に入れながらも、謙虚さを失わずに自分を省みることを忘れない、その起点となっているようなので、よっぽど自分の知ってる知識を振りかざして無茶苦茶やった挙句に、暴走して大失敗をやらかしてしまい、その為彼の失敗を挽回するためにフェリシアの兄、という勇斗が尊敬していた人が死んでしまった、という展開を連想していたんだけれど……。
いや待って、過去の出来事ってこんなだったの? これ、勇斗責められんでしょ。別に図に乗って横暴な振る舞いをしてたり、皆が止めるのを無視してやらかしてしまった、というわけじゃないんだし、彼が自分の出来る範囲で全力を尽くしていただけじゃないですか。それも、身の程をわきまえず、という程ではなく、自分の立場を逸脱して動いていたわけじゃないですし。傍目にはかなり謙虚に、むしろ献身を心に宿して働いてたのに。
確かに、事が起こってしまった原因は勇斗にあるんでしょうけれど、この時の彼にそこまで気を使え、というのは酷ですよ。彼自身まだ幼いと言っていいくらいの子供ですし、狼の氏族が滅亡の危機にあった瀬戸際でしたし、自分の目には勇斗はちゃんと兄貴のこと尊重して、ちゃんと立ててるように見えましたよ。
もし、誰に責任があるかというなら、これは間違いなく先代宗主でしょう。配下や後継の感情の行きどころを慮り、調整し、コントロールすべきは宗主であり大人であり親である彼の責任以外の何物でもなかったでしょうし。いやでも、先代にも同情するよな。幾らなんでもあそこまで兄貴が中身拗らせてるとは、わかんないっすよ。それまでの彼の在リようは理性的で寛容で視野も広く、後継者としては心身ともに申し分ないものだったんだから。メンタル弱かったとか、思わんよなあ。結局、勇斗も先代も妹であるフェリシアも、ロプトの器を見誤っていたのが原因、としか言い様がない。本当に言い様がない。でも、アレはだれでも見誤るよなあ。
これまでなんでかフェリシアの立場が狼の氏族の中でも変な立ち位置なのは気になっていたのです。能力的にも立場的にも幹部クラスのはずなのに、勇斗個人に侍っていて氏族の運営そのものには殆ど関わっていない様子でしたし。本来なら、武のジークリンデに対してフェリシアは文治の方から両輪として支えてそうなキャラ配置なのに。なるほど、こういう理由があったとすれば、フェリシアの立場が微妙だったのも無理ないなあ。まあ、宰相というか内政家としては後から加わったリネーアが突出しているので、フェリシアの秘書官待遇はこれはこれでベストフィットだったのかもしれませんが。
それから、スカーウィルさんがちゃんとこの頃から狼氏族最強として存在感放ってたのがわかってよかった。初期からちゃんとこの人が底支えしてくれてたというのは大きいですよ。

どうやら当面の最大の敵が見えてきたけれど……何しろこうなった原因が勇斗じゃなくてむしろあっちにあったのが見えちゃってるので、大敵としては器はどうなるのかなあ。優秀なのは認めるところだけれど、「知っている」だけで勇斗が成功した、と見ているようじゃなあ。やはり、ステインソールの方が怖いぞ。

2巻感想