クロス×レガリア女王の領域 (角川スニーカー文庫)

【クロス×レガリア女王の領域】 三田誠/ゆーげん 角川スニーカー文庫

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リコが姿を消してから間もなく、ナタと馳郎は白鳳六家の重鎮集う「六家総会」に列席していた。馳郎が白翁と認められるための会議は、かつての白翁後継者の乱入により戦況を大きく歪められる。「君は、世界のすべてを敵に回してでも、その少女を守るつもりがあるのかな?」先手を打つは月白弦摩。鬼仙と戦を起こすか否かを切り出す―鬼仙、白鳳六家、白翁候補、底の見えない駆け引きに馳郎は!?役者集いし「六家総会」―始まる。

なんという圧倒的、蓮花の巻き返し!! 今までどうやったってナタ一択だったメインヒロイン枠。蓮花は、すごく良いキャラにも関わらず、ナタと馳郎の関係がどうやったって横槍の入れようがないほど密接なものだから、報われないヒロイン臭を垂れ流しにするほかないままだったのですが、ここに来てその「報われない」を逆手に取って、これでもかと報われなさを強調した上で、それでも構わないという健気さを爆押しすることで、ストーリー的にもナタや馳郎の心情的にも無視できない存在感を立脚させてきたってなもんだ。
蓮花自身が、最初の立ち位置からしてもう挽回しようのないところから始まってしまっている、と認めている上に、半ばその立ち位置に納得していることが、尚更蓮花の健気さを後押しする効果になってるんですよね。見返りを求めること無く、自分の持っているもの、立場なんかを全部投げ捨てて、初めての恋に殉じようという少女の姿に心打たれないはずがなかろうて。
思いの外、蓮花の存在を馳郎もナタも気にしていたのにはちょっと驚いたけれど。異性に対する意識としては、馳郎はナタ以外に眼中にない、とは言わないまでも蓮花の事まで意識するような余裕はなかったと思ってたし、ナタはナタでそこまで蓮花をライバル視、というか恋敵として慮っていたとは思っていなかっただけに。ナタは、件の女子会が大きかったんだろうか。馳郎は、お前さん意外と気が多いのな、と思う所だけれどw
さて、今回の話のキモは、白鳳六家の「六家総会」ということで、改めて白凰内でゴタゴタがはじまるのかと思ったら、自体は輪をかけて大きくなり、オニと鬼仙の戦争待ったなし、という開戦前夜の様相を呈し始めて俄に緊張が膨らむことに。いや、オニと鬼仙の関係ってあくまで休戦期というだけで戦争状態は継続しているという認識だったのね、両者とも。特に、鬼仙側は長命なだけに殆どが戦争の当事者でもあるわけで、過去の出来事とは行かないわけだ。しかも、その戦争の原因がまた予想外のもので、馳郎は目論見を外してしまうことに。個人的にも、馳郎の交渉力があったら、オニと鬼仙の対立って致命的なことにはならないと踏んでいたので、こっちとしてもこの事態は予想外だった。しかし、ここで語られている「土地」の問題っていわゆる「魔法使い」たちのお話でも度々取り沙汰されていたアレと同じ種類のものだよね。今のところあっちサイドとは不可侵の関係を保っているみたいだけれど、オニと鬼仙でこれ取り合って戦争まで辞さない状況になっているとなると、いつまでも無関係では居られないんじゃないだろうか。そのうち、そっちサイドとも関わってきそうだなあ、これ。
ともあれ、目下の敵はかの有名な女仙の長。この名前のついたキャラって、概ねどの作品でも温厚で抑え役に回ってる場合の方が多かったんだけれど、この西王母さまはまたアグレッシブにヤバげじゃないですか。ってか、蓮花が思っていた以上に良い所のお嬢さんだったのね。文句なしにお姫様だったんじゃないか。
白凰六家側も鬼仙側もやる気まんまん。しかも、今の白凰にはジンたちの一派も独自に動いている。馳郎は、後手後手に回った挙句にガードのお仕事も果たせず完敗を喫してしまう。いわばここがどん底か。となると、あとはもう挽回していくばかり、という前向きな気持ちになれればいいんだが。ここからこそ、馳郎の主人公としての面目躍如を期待したい。

シリーズ感想