問題児たちが異世界から来るそうですよ?そして、兎は煉獄へ (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? そして、兎は煉獄へ】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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「お前が魔王か、アジ=ダカーハ―!!!」
最後の力を振り絞り“人類最終試練”の魔王アジ=ダカーハに挑む十六夜。しかし死力を尽くして放った拳は、思わぬ出来事に阻まれてしまい!?一方、耀とウィラは魔王マクスウェルの卑劣な手段によって追いつめられ、助けに駆けつけた飛鳥までもが戦い力を失ってしまう。ノーネームの仲間たちが絶体絶命の状況に陥る中、残された黒ウサギは仲間を庇うため煉獄にその身を投じて―!?
ふおーーっ、本編再開までだいぶ感覚があいたので、その間に熱も冷めてしまったんじゃないかと若干不安だったのですが、そんな懸念を吹き飛ばす、引き続きの爆盛り上がり!! クライマックス継続中!!
いやさ、この大ピンチに上層に行ってしまったとはいえ、白夜叉は何シてんだー!? とやきもきしてたら、ちゃんと白夜叉も上の方で帰ってこようとしてくれてたことが嬉しかった。ところが、救援にやってくるどころか、箱庭の上層では今回の危機を踏まえてえらいことになりかけてて、ただでさえお怒りの白夜叉様が大噴火。いや、ちょっと舐めてたわ、白夜王。その正体が「天動説」ということで時代遅れの存在かと思っていたけれど、ここでの説明が確かなら同じ太陽神格の中でも桁違いじゃないか。ってか、太陽主権の過半数を握ってるってだけで、その格も知れようってなもんだけれど。よくもこんなのが下層に、フロアマスターとはいえ存在してたもんだわ。
しかし、ほんとに話しのスケール感がパない、パないよ。時間軸が偏在しているせいか、もう過去も未来もある意味一括りで「人類史」として扱われているんだ。思ってた、箱庭と外界と天界の関係よりももっと複雑高次なんですよね、この作品の世界観……というか宇宙観。
そして満を持してか、まさかこっちにか、という斉天大聖孫悟空の登場である。あかん、惚れるわ。この姐さん、かっこ良すぎるわ。そりゃ、兄弟たちが仏門にとられたと今なお根に持ってるのがよく分かる。なんちゅう人誑し。ああいうセリフ、さらっと言えるとか、どんだけ格好いいんだよ。これは期待していた以上に良いキャラだわ。あまりに良すぎて、だからこそ下層じゃなくて白夜叉のサイドに出てきたんだろうけれど。

ラストエンブリオ。真悪アジ・ダカーハの強攻に十六夜はついに敗退。黒ウサギは耳を失い眷属としての力を失い、明日香や耀もまたマクスウェルの悪魔たちによって次々と倒されてしまう。ノーネーム壊滅!!
でも、それでも、膝屈するな、心を折るな、それでもなお、立ち上がれ。
逆襲編、である。
ちゃんとこのタイミングで助けが来るのは、やっぱり燃えるよ。もうね、なんでこの圧倒的なビジュアルをアニメで描けなかったのか。映像で魅せられなかったのか。この作品のどこまで目を凝らしても果てが見えそうにない、広くでかく大きく壮大で荘厳なビジュアル感を、どうしてアニメでは出せなかったのか今なお悔しい。
この第二章のスタートの光景は、ぜひ映像で見たかったよ。
そして、救援に訪れた人たちがまたほぼ現状におけるオールキャスト。混天大聖まで連れてくるとは、蛟の兄貴、ナイスナイス。
それでもなお、現状かき集められるだけの最強パーティーを集めてなお、アジ=ダカーハの強さたるは圧倒的で、さすがは魔王の中の魔王というべきか。やっぱり格が違いすぎる。この相手から一時でも逃れることが出来ただけでも御の字なのか。

さて、このタイミングで、と思う所なんだけれど、いやこのタイミングだからこそ、か。外界からクロアが戻るのに合わせて、かつてノーネームから旗と名前を奪った魔王、そしてかつてノーネームが名乗っていた名前が明らかになる。その誕生の由来も。
凄いわ。もうね、シリーズ始まった当初に思い描いた「魔王」とは、まったく発想が違っていて、同時にノーネームの原型も発足の端緒から目的の置き場所が普通のコミュニティと違っていたのね。ある意味、この魔王は絶対悪であり、倒されるべき悪であり、力によって君臨し対向するべき魔王アジ=ダカーハとは、根底から在り方が違うんですよね。ある意味、アジ=ダカーハは魔王と聴いて思い描く存在の在リようの極点そのものであり、こういう存在が黒うさのコミュニティをノーネームにしたんだと思っていたんだけれど、これって力でどうこう出来る相手じゃないですよね。凄いなあ、人類最終試練とか、白夜叉の正体である天動説なんかもそうだけれど、発想の立脚点が、どうしても物理で殴る系のそっちに流れてしまう一般的なそれと違っていて、ものすごいワクワクさせられる。
旧・ノーネームメンバーの幾人かの帰還に合わせて、これまで謎だった事実が明らかにされてきたのだけれど、今いるメンバーもまた本人たちのいざ知らぬところで謎だらけなんですよね。その中で、耀の素性についてはやや確信に迫ってきた感がある。
いずれにしても、仕切り直しで最難関の最終試練に再び挑む、箱庭の住人たち。フルメンバーのフルスロットルで送り届けられるであろう第一部の最終局面。今度は待たないでいいんですよね、今から滾って仕方ないんですけど!?

シリーズ感想