スクールライブ・オンライン3 (このライトノベルがすごい!文庫)

【スクールライブ・オンライン 3】 木野裕喜/hatsuko このライトノベルがすごい! 文庫

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夏休み直前の攻城戦。激しい戦いの末に、城主ギルドとなった零央たち“心の欠片(フラグメンツ)”。しかし周囲の人々は、零央の実力、ギルドマスターとしての価値を認めず、微妙な雰囲気に…。様々なトラブルを通して、城主ギルドの責任、ギルドマスターとしての在り方を学んでいく零央だが、大型アップデートに隠された真実を知り―。大人気の新感覚・近未来学園×オンラインゲーム小説、第3巻。
いやあ面白い、面白さが留まる所を知らない。このラノ文庫の最大のヒット作というと【魔法少女育成計画】になるんだろうけれど、このスクラブもそれに比肩するほどの良作になってきたんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ、頭1つ2つ抜けてきた感すらある。
一章でのプールサイドのドタバタ水泳大会に、二章の非情なる大食い対決、とコメディタッチに他の城主ギルドとのリアルでの対決というか交流が描かれてるんだけれど、これがまたボリュームたっぷりで楽しくてねえ。他の城主ギルド含めて結構な人数が登場するんですが、もう完全にキャラの立て方を確立したのか、新キャラも既存のキャラクターもみんな冒頭からはっちゃけるはっちゃける。基本、暴走する瀧先輩にマイペースに翻弄する沙耶、彼女らにイジられる零央という構図だったのが、決まったパターンに留まらなくなって、迷子天使の面々やユア、そして他の城主ギルドのメンバーが自由に自己主張をはじめて我も我もと騒ぎ始めたお陰で、とにかく色んな側面からコメディが加速して盛り上がっていくものだから、楽しいのなんの。
始まった当初は面白みのない退屈な反応しか示さない真面目系のつまんないタイプの主人公だった零央も、今となっては読者サイドにツッコまれるのも珍しくない、イイ反応を縦横無尽に繰り広げる、ツッコミとボケの両方を使いこなすイイ主人公になっちゃってまあ。一方で、シリアスサイドの、理想を掲げその為に根性見せる熱い言動も、スカした雰囲気もなくいい意味で中身が詰まり、同時に肩の力の抜けた余裕も見えるようになったからか、気持よく耳に入るようになったんですよね。
ギャグ、コメディからシリアス、熱血まで充足した良い主人公になりましたよ。それに鈍感ネタ。もう、このネタは飽き飽きして、普通なら面白いどころかイライラさせられてしまうものなんですけれど、彼の鈍感ボケは絶妙な間と、相手の女の子たちのズッコケ反応が素晴らしくて、ついつい笑ってしまう良いネタになっていました。鈍感ネタで笑ったのってもう随分と記憶にないことだったからなあ、逆に感心すらしてしまいましたよ。
でも、ラブコメに関してはほぼ沙耶で固まってるのかな、これ。ユアは、もうギルドのマスコットというか愛娘キャラに安定してきちゃいましたし。剛田先輩に対する天使すぎる無垢な弄びっぷりには、泣けるやら笑えるやら。あかん、剛田先輩、それは修羅の道や。ああ、でも仕方ない。ユアの可愛さを思うならその業は仕方ないw
そして杏奈先輩ときたら、いつの間にかエロ担当、オチ担当になっちゃって。そんなだから瀧先輩のおもちゃにされるのよ。この空回りっぷりが可愛いんですけれど。
んで、外道極悪享楽主義が留まる所を知らない瀧先輩の暴虐の数々(笑
ほんともうこの人は自重しろ、してください。大食い対決での剛田先輩のギルドの蹂躙は、もうやめてあげてよ、と言いたくなるくらい。まあ、零央や杏奈先輩もほぼ同じレベルで煽りを喰らい続けてたので、もう敵味方見境なしである、この女。

とまあ、ゆるく楽しく他のギルドとも交流を深め、ゲームはもっと楽しもうよ、という零央の思想というか理想を徐々に学園全体に広げていっていて、このまま学生同士、真剣に激突しながらもそうやって分かり合っていく流れなのかな、と思ってたら……衝撃の第三章である。
いや、これはほんとに驚天動地の展開ですよ。この物語が描いていたと思っていた図柄が、ガラッと様相を異にしてしまった。話のスケールがまったく別次元にステージアップしましたよ、これ。学校の雰囲気を変える、なんて話どころじゃなくなった。
思えば、淑女の社交場や無敵艦隊といった城主ギルドとの今回の対決は、先を見越した人脈の確保と、剛田先輩や美作先輩ら外のギルドのメンバーの戦力紹介を密かに仕込んでたとも考えられる。いきなり味方となって戦ってくれるにしても、突然の登場じゃあキャラも、その力量や特徴もわかんないですもんね。それが、今回のコメディでさり気なく彼らの紹介が詳らかにされているので、怒涛の展開に突入してもすんなりと彼らの存在を滑りこませることが叶うでしょうし。
しかし、これはかなりハードな展開になってきたぞ。瑞穂ちゃんと相方の最後のやりとりも、今後の展開に拳に力が入るよいエッセンスになってるし。熱い、熱いよ瑞穂ちゃん。そして瑞穂ちゃんという名前はやっぱり性別アレなのねw
零央も実は当事者ど真ん中で他人ごとじゃないことが発覚したわけだし、これは盛り上がりますよ。「心の欠片」という零央の立ち上げたギルドの名前が、ここまで核心となるとはなあ。緩んだ空気も引き締まり、緊張感もマックスに。次回が楽しみで仕方ありません。

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