スカイ・ワールド7 (富士見ファンタジア文庫)

【スカイ・ワールド 7】 瀬尾つかさ/武藤此史 富士見ファンタジア文庫

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スカイワールド―それは魔法と科学技術が同居する世界で、無数に浮かぶ島から島へと飛空艇で旅をするオンラインRPG。第三軌道への鍵を手に入れたジュンたち『覇者の御旗』は、その扉の在処を知る『銀翼騎士団』との共闘を求めて、バクラヴェン島奥地にある遺跡を目指し、行軍を続けていた。そんな中、突如現れた『銀翼騎士団』のギルドリーダー・クァンタム。急な決闘を申し込まれるも、ジュンは見事勝利し、共闘は約束されたのだが…『銀翼騎士団』メンバーの異様な雰囲気に、ある残酷な過去があることを知り―。この世界の真理を暴く、熱きオンライン冒険ファンタジー!!
ユーカリアがエロの代名詞になってる! ユーカリア化、ユーカリアナイズなどなど、その汚染の単位で10ユーカリア、25ユーカリアとか名付けられるかもしれない。まあ小学生のリュカやスズランにいらん言葉を教えこんでいる時点で有罪確定なのですけれど。なんだ、あのエロ淑女は。いったい何をコントロールしようとしてるんだ、あの制御役は。
大規模レイドを生き甲斐として、ある意味ジュンと違った形でこのスカイワールドを「楽しんでいる」銀翼騎士団。このゲーム廃人たちは、人としても朗らかで裏表がなく楽しい連中なのだけれど、同時に大規模レイドの為に平気でドラゴニュートたちを虐殺した前科の持ち主たちでもあるわけです。その為に、一時期サクヤたちのパーティーと敵対していたこともあり、彼らとの同盟は必要とはいえ一悶着あるのかとも思ったのですが、銀翼騎士団側も、或いはジュンやサクヤの側も全くと言っていいくらい屈託なくお互いを受け入れ、和やかに親交を深めていくのである。それは、ジュン側たちの意図した「彼らに身内と認識されるくらい親しくなる」という目的があったのは間違いないんですけれど、もしジュンたちの側にも隔意が潜んでいたら、早々根っから仲良くはなれんのですよね。そして、ジュンたちは銀翼騎士団の面々の在り方を狂っていると断じながらも、それを悪いとも拒絶するでもなく、受け入れいている。それは、少なからず自分たちも彼らと同類という認識があるからだ、としているのだけれど、実際最前線に出ている連中っていうのは、多かれ少なかれどのギルドも狂気を内包することを受容しているのだろう。それどころか、カスミたちなどはむしろ積極的に、ジュンやサクヤたちに近づくために、同類となるために、狂気を招き入れようとしている。
それを受けて、ジュンもまた、かつて自分が憤怒したサクヤのカスミへの扱い方を、今自分が全く同じように繰り返そうとしていることを自覚して、しかしそれを諾として受け入れている。
さて、どこを見てもいい具合に狂ってきているようにも見えるのだけれど、むしろ狂気を受け入れることですべてが安定してきているようにみえるのはまた皮肉な話ではないだろうか。常識にこだわることで、倫理にしがみつくことで、余計に無理を重ねて負担を背負い、人として壊れていくこともあるのだろう。逆に狂気に身を委ねることによって、あるがままに人らしく、心豊かにのびのびと生きることが出来る、なんてこともあるのだろう。
ここは、スカイワールドは今はそういう世界なのだ。
実際、軛から解き放たれたジュンとサクヤは、自由に空を羽ばたく鳥のように、比翼の鳥のように何物にも束縛されずに実に楽しそうに飛び回っている。フルメンバーでも太刀打ちできなかったレイドボスを、たった二人で踊るように倒してのけた姿など、まさにここが彼らのために用意された世界のように感じられた。
世界の謎が紐解かれていく、タイムリミットは迫っている。しかし、重苦しい雰囲気はない。今、彼らは果てしなく自由だ。

しかし、いい加減どの子もまともさを逸脱しているけれど、その中でダントツというか破格にイッちゃってるのって、どう見てもリュカだよね。幾らなんでも小学生であの商業センスは突き抜けすぎてるわー。小学生って、まだ数学の前の算数をえんやこれと、ドリルで宿題やってるような年齢だろうに、ただの商売を通りすぎて、商社クラスの商品の取扱を経営して、その上流通まで握りつつあるってんだから。このまま行くと、コングロマリットまで形成シそうな勢いなんですけれど。スカイワールドの経済そのものを掌握しかねないその手管、サクヤやヒカルの天才性すらカスミかねないチートなんですけどw
ラブコメパートは、サクヤが貫禄のリードで。まあ、ジュンからすると、サクヤはほんとに別枠だもんなあ。あそこで積極的に打って出るとは、なかなかやるのう。でも、もう十把一絡げじゃなく、エリ、カスミ、ユーカリア、ヒカルとそれぞれに余人とは比べられない特別な関係を築いているので、誰彼がリードとか、ひとまとめで、という安っぽいハーレムからはもう脱却しているので、安心して進捗を楽しむことが出来ますわ。瀬戸さんも、このあたりのハーレム形成力は特筆に値するものになってきたなあ。


瀬尾つかさ作品感想