踊る星降るレネシクル 5 (GA文庫)

【踊る星降るレネシクル 5】 裕時悠示/たかやKi GA文庫

Amazon

ばーか
別にあんたのためじゃないんだからね?


「俺の大っ好きなミカホシを守れえッ! バカ弟子ぃぃぃっっっ!!」

絶叫を残してレンヤは石となった。ミカホシ市、そして日本をも巻き込む戦争の行方は、
今やレンヤの愛弟子・すまるの手に託された。
覚醒する最強の力、しかし支払った代償はあまりに大きすぎて――。

一方、レンヤの幼馴染み・瑞貴はこの覚醒の裏にある陰謀を感じ取り、学園を離れることに。

そしてレンヤのケンカ友達・なななは、何故か留置所の中にいた……。
「もんちっち♪って踊ってる場合!?」

レンヤと絆を結んだ三人の少女が今こそ彼のために動き出す!!
少女を最強へと導く“王道"ノベル再始動!


七曜なななは死んだ!! なぜ死んだ!!

……ツンデレだからさ。

うおおおっ、うおおおおっ(号泣

これほど、これほどまでに切なく、哀しく、尊く、神々しいツンデレがかつてあっただろうか。
彼女にとって、ツンデレとは自覚なき性質であり、指摘され理解し自覚してなお消し去れない呪いであった。愛する人に素直に想いを伝えられないことの、何と辛くもどかしく遣る瀬無いことか。惨めで虚しく、道化じみたありようか。七曜なななは泣いた、苦しんだ、苦悶し、溺れ、悩み、藻掻いた。
そのツンデレという自分を縛るサガを、七曜なななにまとわりつくキャラクター性という呪詛を、振り払わんとして足掻いて、抗って、闘った、戦ったのだ。さながら、自分の中に灯った恋する想いを必死に掲げるかのように。消えてしまわないように、無くしてしまわないように。
彼女はただ、幸せになりたかったのだ。好きになった男の子と、恋をしたかったのだ。
しかし、その恋した相手は、今や石の像と化し、ミカホシの街は混沌とした戦火へと埋もれていく。
愛する彼を救い、自らの正義を貫いて、このミカホシを守るには、自分のすべてを捨て去らなければならなかった。生贄のように、供物のように、自らを投げ打ち、捧げれば、自分以外の全てを助けられる。
その事実を知った時、彼女は当然のように悩んだ。なぜ自分が犠牲にならなければならない。大好きなあの人を助けられたとしても、自分はその時彼の思い出にすぎなくなる。彼は自分の上を通り過ぎて行き、永遠に過去になってしまう。彼を救えば、彼女の恋は実らない。彼女は絶対に幸せになれない。
それでも、彼女は選んだのだ。七曜なななは征く。彼女は恋のために戦った。大好きなあの人の為に戦った。それは言うほどきれいな話じゃない。美談なんてものじゃない。自分を犠牲にして、なんて殊勝な想いというほどでもない。ただ、一生懸命だっただけだ。考える前に突っ走る。考えてしまっても、それを置き去りにして突っ走る。思うままに、あるがままに。それが彼女の愛だった。それが彼女の正義だった。それが彼女の幸せだった。ただそれだけの話。
そして、その時、彼女に科せられたツンデレという呪いは、ツンデレという生き様へと昇華したのだ。
普通に、好きな人に愛して欲しかっただけなのだ。自分の気持を素直に伝えて、自分の想いを知って欲しかっただけなのだ。レンヤという少年に、七曜なななの恋を魂に刻んで欲しかっただけなのだ。
しかし、嗚呼見るがいい。彼女の女としての挟持を。刮目して見よ、七曜なななという少女の、優しくも誇り高き選択を!
ツンデレなりし、死に様を!!




止まらず、止まらず、走って走って、燃え落ちるほどに走り抜けて、流星のように消えていく。
一人の男の子に恋をして、一途に抱いた想いを糧に、エネルギーにして走り抜けた少女たちは、そうして輝き、星となって通りすぎていったのでした。
すまる、ななな、瑞貴。さらば、愛しきメインヒロインたちよ。そして思い出の中で、永遠に……眠れ。



……あとは、もうふちゃんにもう全部任せろ!!
いやもうほんとに任せろ!

時代は、新にして真・メインヒロイン 更科もうふのものなのだ。ヒャッハーー!!


三年ぶりの新刊は、冒頭からクライマックス。最後までクライマックス。三人のヒロインたちが、それぞれの想いを胸に、恋のため、愛のために、叫び、振り払い、我武者羅に闘って戦って、自分の中の魂の一欠片まで削り尽くして、確かな何かを打ちたて、貫いてみせた、凄まじく熱い決戦でした。
そして、衝撃のラスト。まさかの、メインヒロイン全滅。そして驚愕の、新ヒロイン誕生。
これでほんとに、もうふちゃんエンドになったら、レジェンドとして語り継いでもいいんですが、それはさすがにちょっと無理かなあ。
しかし、すまる、瑞貴、なななの死闘は、本当に魂の震えるものでした。個人的にはやっぱり、すまるはちょっとアレなんですけれど、特になななについては、もはや伝説的と言って過言ではないツンデレキャラとしての金字塔を打ち立ててくれた気がします。
もはや、七曜なななを知らずして、ツンデレを語る事なかれ。