聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 7 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 7】 あわむら赤光/refeia  GA文庫

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囚われの諸葉を救う、少女の覚悟!!
諸葉、拘禁……そして行方が途絶えて――脅威の使い手、ヂーシンが守る難攻不落の館へ挑め!

史上初・魔神級《異端者》との戦いの最中、突如として現れた“中国支部長代理"ルー=ヂーシン。
彼は諸葉こそが《異端者》を生み、操りさえする元凶だとの疑惑を唱える。諸葉は己の潔白を示すべく拘禁処分に敢えて甘んじるのだが――

「臭い物には蓋をすればよいのです」
ヂーシンらの卑劣な企みにより、外界から隔絶された異次元空間『牢獄の魔女の館』に幽閉されてしまう。静乃たちは諸葉を救い出すため、持てる手段を尽くし、難攻不落の館を破る決死の戦いに挑む――!!

綴れ、王佐の魔女の精髄! 不屈の想いが重なりあう、絶対最強の学園ソード&ソーサリィ第7弾!!

「あなたを佐けるのが、私の定めよ」

しょうがないといえばしょうがないのだけれど、石動隊長にはもう少し花を持たせてあげて欲しい。この人が容易に折れる事はないと思うのだけれど、弟という爆弾を抱えているだけにちょっと心配なんですよね。現状において、何の後ろ盾もなく純然たる努力と向上心だけでS級に到達しそうな気配があるのは石動隊長くらいなものだからなおさらに。いやでも、前回はフランス支部のA級を一方的に叩きのめしているので、不憫枠ではないのか。むしろ、現状がちょうどA級のトップクラスよりも上で、しかしS級には届かないくらい、という目安にはなったわけで、ここで挫けず敗北を糧にさらにパワーアップして欲しい。
とはいえ、この等級基準、どうやら単純な戦闘スペックじゃなく、対<異端者>戦にどれだけ有益か、というところにあるそうなので、その意味ではわりと健全な評価基準として機能してるんだなあ。【人喰い】レーシャが以外なほど等級低いままなのは、裏方仕事を負わされていたから正当な評価が伏せられていたと思ってたのだけれど、単純に対人戦特化型だから、だったのね。
ソフト面での運用特化型の能力についても非常に評価が高く設定してある、というのは対<異端者>組織として相応に整備され機能していることがよく分かる。ちゃらんぽらんに見えるエドワードだけど、あれで有能なんだよなあ。
でも、幾ら組織の基本構造がしっかりしていても、中の人間たちがそれに相応しい働きをしなければ、組織なんて機能しないわけで、現状の対<異端者>戦をそっちのけで内輪もめばかりしている状況は、お世辞にも健全とは言いがたい。諸葉が怒ってたように、異端者と戦うよりもS級同士、支部間で争ってばかりだし、権力争いに汲々として、本分を忘れてしまっている連中にも事欠かない。大層に何が救世主(セイヴァー)だ、恥ずかしいと思うのも無理はない。
でも、悪いところばかりに目をやらずに、イイ方に目を向ければ、各国にもちゃんと心ある人たちは居て、決して現状を良しとしているわけでもない。シャルル率いるフランス支部のように、勝手ばかりしている過激派、と見做されていたところだって、前巻の諸葉たちとの対立を通じて、彼らがひたすらがむしゃらに突き進むしかなかった状況に、ひとつのきっかけが訪れたケースもある。さらには、今回の諸葉に対して理不尽な扱いが強いられた件に関しては、組織の膿が目に見える形で湧きだした、という観点で見たら、大きな前進だったと捉えることも出来るだろう。
この作品のいいところは、能力の如何を問わず性格的に小物な輩は、相応の報いを受ける、わりと速攻で、という点ですね。端的にいうと、ムカつく野郎は気持ちよくぶっ飛ばされる、ひどい目にあう、虐げられた方が黙ってやられてない、というところなんでしょう。静乃の悪党な兄ちゃんのように、金と権力持った小悪党として味方サイドで活躍しまくってる稀有な例もありますけれど。あの兄ちゃん、わりと底の浅そうな狡っ辛い権力主義者なのに、上手く手綱握ってる静乃が巧妙なのか、異様に味方として頼もしいんですよね。一方で、底が浅い分万が一ふらふらと敵に回ってもあんまり怖くなさそうだし。面白い。

さて、ひと通り各支部のクラスSと渡り合ったところで、ようやく<異端者>という謎の存在に近づくファクターとなりそうな、或いは真の黒幕と思しき一団と、諸葉は知らず行き会うことになるのですが……、黒幕と行ってもどうやらこっちも悪役ではあっても悪人ではなさそうなのか、それとも良識が通じない相手なのか。シャルルの恋人のありさまを見ると、あれをやらかした相手は絶対悪っぽいんだけれど、今回登場した連中は決して話が通じない相手ではなさそうだったからなあ。とは言え、話が通じても交渉ができるかどうかは怪しいけれど。しかし、田中先生については、信頼していただけに、あの展開はちょっとショックだった。いやまだ、あの連中が敵だと決まったわけじゃないんだけれど、明らかに敵っぽい流れだもんなあ。
一方で、こっちこそ話が全然通じなさそうで、敵対しまくったフランス支部のシャルルは、というと……デレた、デレた、すごいデレたー! なに、シャルルさん、あなたAJをはるかに上回る勢いでこの物語最強のツンデレとして君臨するおつもりか!! クロエの解説が入るようになったことで、あの難儀なシャルルの傍若無人さが異様に可愛らしいツンデレにしか見えなくなったじゃないか!! どんだけ素直になれないんだよ!
でも、これからもそのままのシャルルさんで居てください。

シリーズ感想