Only Sense Online―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫)

【Only Sense Online オンリーセンス・オンライン】 アロハ座長/ゆきさん 富士見ファンタジア文庫

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“センス”と呼ばれる能力を組み合わせ“唯一”の強さを目指すVRMMORPG―「オンリーセンス・オンライン」親友タクや妹のミュウたち廃ゲーマーが攻略に突き進む中、「ゴミ」「使えない」と名高い不遇センスばかりを装備してしまったゲーム初心者のユン。できることといったら、ひたすらポーションを生産することだけ…。そんな日々の中、ユンは“トップ生産職”として活躍するお姉さん・マギと出会う!誰も知ることのなかった、アイテム生産や補助魔法の可能性に気づいたとき、サポートスタイルに革命をもたらす“最強”の初心者プレイヤーが誕生する―!?
てっきり、表紙絵の一番奥の目立たない所に立ってる特徴なさそうな男の子が主人公なのかと思ってたら、その手前の女の子が主人公だった! しかし、女の子なのに中身は男の子だった!! ネカマプレイかよッ!!
まあ本人が意図してネカマプレイしているわけではないのでいいんだけれど、最近の話に多いTSモノって微妙に困るんですよね。これで女性か男性かにくっきり性向が寄っていたらいいんだけれど、どちらかというと無性的になってしまって、ラブコメ方面に一切発展性がなくなってしまってるケースが目立ちますし、本作もどちらかというとそんな感じなんだよなあ。これで、周りだけ盛り上がって本人に脈なし、という形だと痛々しいというか空気感が耐えがたいものになってしまうのですけれど、本作は今のところ周りの特に親しい人たちは元々身内でユンの性別を知っているからか、そういう形にはなってないので大丈夫なんですけれど。
さて、ゲーム初心者であるが故に定番のスタイルを知らず、思うがままスキルを習得した為にオーソドックスなプレイでは絶対に辿りつけない、プレイの死角に足を踏み込んでしまう主人公。このパターンもわりと見受けられるんですけれど、このユンはホントに好きなことを好きなようにやっているだけで、効率とか損得とかは全然考慮せずにのんびりマイペースにプレイしているので、見ているこっちも肩の力を抜いて眺めていられますねえ。あんまりガツガツ貪欲にやられてしまうと、それはそれでドン引きしちゃいますし。
でも、こういう敢えてクズスキルばっかり取って、いやクズスキルに限らずとも、存在するスキルすべての追求と、組み合わせの探求って、それこそ初心者じゃなくて廃プレイヤーが望んでやりそうなプレイスタイルな気もするんですよね。最前線でどんどん前に進んでいくプレイだけじゃなくて、あらゆるスタイルを網羅せんべく、探求・検証を繰り返していく変態的な人って、あらゆるゲームで古来からかなりの数存在してますし。というか、日本人的には最速攻略よりも、むしろこういう重箱の隅をつついてひっくり返して暴き尽くす方が廃プレイヤーとして尊ばれてる気がするよ。そんな廃人だか賢者だかわからん変態的な連中が集まった検証ギルドとか、普通に作られてそうなんだけれどなあ。

しかしこれ、妹としては大好きなお兄ちゃんがゲームではおねえちゃんになってるって、妹的にどうなんだろう。OKなのか? むしろありなのか? おねえちゃんのほうが自由にイチャイチャできるからいいんだろうか。妹のミュウが、平気で兄のことをお姉ちゃん♪と呼んで憚らないのを見て、思わず締まらない表情になってしまった。もっとも、現実世界でもどうも普段の振る舞いからしてお兄ちゃんというよりも、無精な妹の面倒を甲斐甲斐しくみてるお姉ちゃん、というふうにしか見えないので、実は女でした、でもいいんじゃない、これ? 機械の方が正しかったんだよ、きっと!
元々ウェブ小説だった構成の問題か、もう一人いる本当のお姉ちゃんの方が殆ど登場していないので、お預け状態。彼女も妹に優るとも劣らずの廃人のようなんだが、なかなか引っ張るなあ。