猫耳天使と恋するリンゴ2 (MF文庫J)

【猫耳天使と恋するリンゴ 2】 花間燈/榎本ひな MF文庫J

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「誰かをどうしようもなく好きになってしまったら、先輩ならどうしますか?」
七つに散らばってしまった『天界の林檎』の欠片。残りの六つを集めることになった花神一樹は、偶然出会った高校の後輩、桐谷茉奈の喉元に欠片の所有者の目印である林檎の模様を見つける。常に長袖のカーディガンを着ていて、不思議な雰囲気を持つ茉奈。彼女に翻弄されながらも、放課後のやり取りやデートで徐々に距離を縮めようとする一樹だったが、なかなか本心を探ることができず……。恋するリンゴ達と猫耳天使が織り成すラブコメディ第2弾。ちぐはぐ甘い、極上の恋模様をあなただけに。
そら無理やわ!
1巻で幼なじみの雪姫と、それはもう爪先も入る隙間もないくらいピッタリピッチリと相思相愛っぷりを知らしめておきながら、これから更に他の女の子に宿ってしまうだろうリンゴの欠片。それを回収するためには、林檎の持ち主に幸せの記憶を与えなければならない、ということで必然的に林檎の持ち主と仲良くなって幸せな時間を演出することが必要になるわけだけれど、その娘に構う分どうしても雪姫が割を食うはめになってしまうのは容易に想像できていたわけで、いや雪姫をほったらかしにして他の女の子と仲良くするとかムリだろう!? とか思ってたら、案の定無理でした!
そらそうよ!
そもそも、雪姫からだけじゃなくて、一樹の方からだって雪姫の事が好きすぎて頭がおかしいくらいなのに、そんな男の子に構われた挙句に雪姫の存在を突きつけられることになる女の子の方からしたらたまったもんじゃないですよ。その辺りの危惧を、一樹くんと来たらまるで持っていなくて、ホイホイと桐谷ちゃんにちょっかいかけていくものだから、こちとら胸が痛いやら胃がキリキリ締め付けられるやら、一樹と桐谷の甘酸っぱいやりとりにニヤニヤするどころか脂汗が滲んでくる始末。
これで桐谷が幸せな記憶なんか溜められるはずないじゃない。絶対、最後に悲しい記憶に反転してしまう、と思ってたら、案の定でした。雪姫は泣くわ、桐谷ちゃんは傷つくわ。
林檎に恋愛感情を奪われている一樹には、そのあたりの危機感が持ち得なかったのか。だとしたらしゃあないといえば仕方ないのですが、もうちょっと慎重になるべきだったかも。いや、そもそも無理ゲーなんですよね。根本的に設定が行き詰まっているというか、これどうやったって女の子が泣く仕様になっている構造になってしまっている。だからこそ、もう潔くこの巻ですっぱりと話を終わらせたのではないでしょうか。毎回林檎の欠片が黒く反転しかねなかったですし。桐谷なんか、相当にイージーモードで自分から線引いてくれて、身を引いてくれる聞き分けの良い安牌だったにも関わらず、この修羅場でしたからね。
これで一樹がもうちょっと優柔不断で結論が出ないタイプの本命のないタイプなら、まだ綱渡りできたかもしれませんけれど、こいつってば雪姫にゾッコン惚れまくってて、他の女の子は妹は別枠として異性としてまるで眼中にない状態だったもんなあ。だからこそ、眼中になかったからこそ、ずいぶんと不用意に桐谷に絡んでしまったとも言えるのですけれど。
しゃあないよな。雪姫、反則級に可愛いもんな! 
これはもう、最初に敷設した状況設定が失敗していたとしか言い様がない。そのストーリーを広げられない行き詰まりはさておいて、それ以外のヒロインたちの可愛らしさ、主人公のぽややんとした性格とふわふわとした物語の語り口、甘酸っぱくてテンポのよいラブコメは、文句なしに一級品だったと思います。
ここまで糖分過多の甘々でツヤツヤなラブラブは、なかなか書けないですよ。この路線は変えずに、もう一度仕切りなおしで新しいシリーズを期待したいですね。またぞろ、トロトロに蕩けきった甘いお話を堪能したいです。
1巻感想