デスニードラウンド ラウンド3 (オーバーラップ文庫)

【デスニードラウンド ラウンド3】 アサウラ/赤井てら オーバーラップ文庫

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悪夢と絶望の国DNRで壮絶なサバイバルゲームが始まる!

ある日、組合から松倉チームに妙な依頼が入る。
尋常ではない高額なギャラの仕事とは『デスニードラウンド(DNR)』というテーマパークで夜な夜な行われている『何か』の調査だった。
一般客に紛れてDNRへ来たユリ達は招待を受けたとある園内のレストランへと足を運ぶ。
そこはDNRの真のゲストだけが訪れることを許された、秘密の会員制クラブだった。
そこでユリ達は知る。DNRの真実と仕組まれた狂気のシステム、そして閉園後の禁断のイベントを。
迫り来る、楽しげな音楽と笑顔に包まれた電飾で彩られたパレード、DNRの人気マスコットキャラクター達……。 「悪夢と絶望の国へようこそ! 幸福な死を君に――ハピデス! ! 」
悪夢に占められた夜に、未来を求めて足掻く者達のサバイバルゲームが始まる!
この作品を著してのち、アサウラ氏は浦安の路上で、衆人環視の中、名を記すのも憚られる怪物に貪り食われて果てたと伝えられる……なんて風にして消息不明になりそうですね!!
これが絶筆とならないことを祈るばかりです。もしくは、これ以降のアサウラさん名義の作品はもう中身が入れ替わった別人の作品として覚悟して捉えるべきか。
まあ、飯食う描写を見れば別人か否かは一目瞭然なんですけどね。こればっかりは真似できめえ。

というわけで、真打ち『デスニードラウンド(DNR)』である。悪夢と絶望の国へようこそ。これ、裏のコンセプトかと思ったら、堂々とこの悪夢と絶望の国で売り出してるのか! ハピデスの由来と言い、悪趣味の度合いが色々とぶっちぎり過ぎてて、読んでるこっちまで戦々恐々Deathよ。むしろ、マンハントを観覧している上流階級の連中は悪徳としてはわかりやすい分、怒りや嫌悪は感じても怖いとか気持ち悪いとかは感じないのですけれど、このデスニードラウンドの在り方、根底にはびこる悪意には理解できない邪悪さへのおぞましさ、吐き気のするような気色の悪さをねじ込まれるようで、ちょっとたまらんかった。これに比べたら、1巻や2巻の怪物たちはまだよっぽどマシだったのが知れる。というよりも、そもそもアレらの元凶がこのデスニードラウンドだったわけですから、当然の話なのか。でも、遊びに来るゲストを愚弄しきった、この人間そのものを蔑むかのような遊園地の在リようは、ゲスの極みもいいところでした。
だからこそ、ユリと美鳳の女の子同士の友情や、松倉さんたちの思いやりが余計に身に染みるんですよね。特に松倉さんたちは、ユリの扱い変わりましたよね。ユリがそれだけひたむきに頑張り、松倉さんたちに認めさせたのもあるんだろうけれど、最初のラウンドで心身ともに疲弊しきったユリを、ちゃんと精神面から庇護してくれたことといい、最後まで見捨てずに仲間として戦ってくれたことといい、なんかすごく嬉しかったです。松倉さんたち、何だかんだと怖い人たちだし、非情に酷薄に徹する事もできる人たちなんだろうけれど、自分の作った料理を美味しそうに食べてもらうと嬉しそうにしたり、信義を守り、プライドを掲げ、懐いてくるものを無視しない優しさがあり、怒りを共有してくれる。それはとても人間らしい在りようで、この狂って壊れて人間として破綻した思想がはびこる世界では、すごく安心させてくれるんですよ。何より、美味しそうに飯を食う様は、他の何よりも人間味に溢れている、その意味ではこの一連の物語の最大の鍵は、最初から最後まで「ごはんを食べるシーン」だったのかもしれません。
この第三巻でも、なんとユリの作ったお味噌汁がまた、美味しそうなんだ! それぞれがユリの出したそのままではなく、アレンジして食べるんだけれど、あのガッツリとしたおかず感と来たら、もう読んでるだけでよだれが垂れてくる。思い出しただけでも垂れてくる。あれにおにぎりつけて食べたら、どんなに幸せになれるだろう。
うんうん、何がハピデスだ。幸せってのはそんな戯けたもんじゃないんですよ。飯を食え! 飯を食え!!

ユリは、この地獄を乗り越える過程で、ついに精神的な一線を越えてしまったようで、名実ともに松倉一味と同等になってしまいましたが、あれだけ美味しそうに飯を食えている間は何の心配もなさそうです。私も、松倉さんの作った豚の角煮食べたい! 角煮って最近食べてないけど、あれって至宝ですよね。角煮食いたい、角煮食いたい。角煮食いたい……角煮……。

ラストラウンドは、とにかく一から十、頭の天辺から足の先まで悪が詰まった邪悪にしておぞましいゴミクズばかりが敵だったものですから、それをぶっ飛ばす展開は痛快のヒトコトでした。特に、いつもの四人組だけじゃなく、松倉さんの知り合いや美鳳の家族まで集まっての総力戦ですからね。それも悲愴な復讐戦ではなく、お祭り騒ぎのどんちゃん騒ぎ。この人ら、揃いも揃って不死身すぎるw
その中でも特に、なんで死なないんだ? という不死身っぷりを見せつけていたのが大野でしたけれど。このポンコツ、なんであれだけ巻き込まれてて死なないどころかろくに怪我もしないんだ?
このDTくんって、わりと頭の中が【ベン・トー】の佐藤みたいですよね。あの訳の分からない不死身っぷりもそうですけれど、突然キメ顔で何の感銘も与えないセリフを語りだして、自分ではイケてると思い込んでるあたりとか。ナチュラルに変態のところとか。うん、キャラのパターンがやっぱり佐藤タイプだ、この人。多分、この人の一人称だと分けのわからないくらい長々と地の文で色々と垂れ流してるんだろうなあ。
残念ながら、こちらでは致命的にモテなさそうだけれど。

ともあれ、作者の人生そのものを紐なしバンジージャンプさせるかのような、際どいところを攻めきったシリーズもこれにて完結。なんちゅうか、読んでるこっちも精神が磨り減りつつ高揚させられた挙句に空きっ腹を抱えさせられるという、いろいろな意味で難儀で面白い名作でした。これでもかというくらいやりきった!!

1巻 2巻感想