メサイア・クライベイビィ 2 それは銃弾より尊く強い (集英社スーパーダッシュ文庫)

【メサイア・クライベイビィ 2.それは銃弾より尊く強い】 八針来夏/黒銀 スーパーダッシュ文庫

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惑星サデュアルで支配侯を退けたセレスは、リューン達と共に次なる目的地「惑星アンダーツリー」を目指す。旅の途中で出会った学士・ソフィーヤと親交を深めるセレス達だが、そこに帝国要人暗殺部隊「ハービンジャーズ」が襲いかかる!!惑星ごと巻き込む理不尽な暴力を前に、セレスの絶大な異能が煌めき始める…!!泣き虫な救世主と巨乳姫君が贈る超ド級重力バトル、新たな巨乳も登場してスケールアップの第二巻!!
表紙は機械生命体のレイコと、ミカ・ヴァレナス。読み終えた今となっては納得の看板二人である。新たな巨乳の登場とか何とか謳っているけれど、実際の主役は間違いなくレイコですからね。
1巻では主人公のセレスを始めとして、主だった登場人物が流す様々な意味の、想いの込められた涙の熱さに、物語そのものの熱さを転写したような描き方をされていたこの作品ですけれど、この二巻ではもっとダイレクトに、今度は読んでいるこっちに涙を流させるような、魂を震わせるような熱い熱い展開の連続で、もう参った。泣くよ、泣いちゃうよ。もう、物凄い感情移入しちゃったよっ!
そう、本作って今どきでは珍しいぐらい、胸ぐらを掴んで揺さぶるみたいに登場人物たちの激しい感情の揺さぶりに共感させられるんですよ、感情移入させられるんですよ。特に、今回は機械生命体たちです。支配侯によって造物主たる人間たちを裏切るはめになった機械生命体たちの無念、憎悪、憤激、絶望。機械に過ぎなかった彼らに心が、感情が生まれてしまうほどの、悔しさ!! 感情が生まれてしまったが故に、造物主である人間たちから蛇蝎のように嫌われ、悪魔のように恐れられるようになってしまった哀しさを抱えながら、それでも人類の為に陰ながら奉仕し、支配侯と戦い続けた悠久の日々。
理解を得られることなどもう期待もせずに居た果てに、ついに真実に辿り着いた人間たちから捧げられる感謝の気持ち、セレスに抱く機械の分を超えた家族としての愛情、そして機械と人間という主従の関係を越えて育まれた友情という名の愛を手渡され、堪え切れないほどのあふれだすほどの歓喜に、打ち震える瞬間。
もう、レイコが持て余す感情の一つ一つに、切なくて、苦しくて、胸を打ち、良かったねともらい泣きして、泣けてきてしまう。
彼女たち機械生命体たちだけじゃない。この宇宙に蔓延る理不尽の中で足掻き藻掻いている人たちはどこにでもいる。それは、セレスたちと対立する帝国軍の人間も同様だ。帝国要人暗殺部隊「ハービンジャーズ」の面々も、敵役として登場するものの、彼らもまた「理解」されぬ理不尽の中で戦っている。誰も彼もが、無念を飲み下し、涙をこらえながら理不尽に打ちのめされつつ戦っているのだ。その彼らの悔しさが、無念がひしひしと伝わってきて、泣けてくる。
だからこそ、その無念が理解され、共感され、手を差し伸べられ、理不尽が打ち破られる瞬間が、この上なく輝かしいのだ。誰かに、自分のことを理解して貰えた時ほど嬉しい事はない。たとえそれが敵対する相手だろうと関係ない、愛する人とならば尚更だ。胸が一杯になって、爆発するように歓喜が湧き出し、嬉しさのあまり泣けてくる。
やっぱり、泣いてしまうのだ。
その力、破壊のためではなく、理解しあうために振るう者。理不尽を打ち破るために戦う者。人が、悔しさや哀しさに泣くのではなく、嬉しさに泣くことが出来るように、わがままを貫く者。卑劣で邪悪で呪わしいものに、涙の報いを与える者。これこそ、勧善懲悪の極みじゃあないですか。
メサイア・クライベイビィ―泣き虫の救世主ヒノ・セレス。その伝説の始まりが第一巻だとしたら、彼が自分の生き方を見出し、その戦う姿を目撃した多くの人々が共感を、勇気を、高揚を得た……宇宙に住まう善き心持つ人々の心に、炎が灯った転換点こそが、この二巻なのでしょう。その滾るような熱さにも、なんだか泣けてくる。
これこそ、熱い熱い、炎のように燃えたぎる愛の讃歌である。素朴な善の英雄譚である。人と人が分かり合う喜びの物語である。
心震わせる感動に、涙せよ。笑って泣けて痛快さに体の芯から熱くなれる、最高の一作でした。
うん、最高、ほんと最高ッ!

1巻感想