彼女がフラグをおられたら この船旅が終わったら、私、お姫様になるの (講談社ラノベ文庫)

【彼女がフラグをおられたら この船旅が終わったら、私、お姫様になるの】 竹井10日/CUTEG 講談社ラノベ文庫

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世界の存亡を懸けた“天使”との戦いを、自らの“死亡フラグ”をもって勝利に導き、旗立颯太は“現実世界”に帰還した―クエスト寮のみんなと過ごした日々の記憶を携え、舞い戻った世界でも旗ヶ谷学園に入学した颯太。茜や菊乃に恵達、懐かしい人々と再び同じクラスになり、学園生活を再開して間もなく、突然あの『ブレードフィールド公国』から招請が届く!
仮初めの“婚約者”として茜を伴い旅立つ颯太。彼の地で再会した菜波、行方不明の幼馴染みに生き写しの少女・眞奈花との出会いが、王子たる旗立颯太・ブレードフィールドにもたらす運命とは?そしてフラグ可視操作能力を喪った颯太は新たな試練をどう戦い抜くのか?激動の第2部ここに開幕!!

激動すぎるよ! 超激動すぎるよ!! 仮想世界から現実世界に戻ってきたら、そこはファンタジーが幅を利かせている世界でした、てなもんじゃないですかっ!
仮想世界という箱庭から出たら、そこは竹井ワールド真っ盛りでした、ということなのね。
ともかく、初っ端から件の謎の人物だった颯太の実の姉の正体が、アニメの通りに菜波だったというのが発覚。いやいや、なんであんな外国人然とした菜波がお姉ちゃんやねん、と思ったら、二人の父親はブレードフィールド公国の公太子であるエリヤ殿下。って、それだと颯太も公国の王子様って事じゃんか!!
現実世界では、エリヤ殿下は国内情勢の悪化に伴い菜波の母親を連れて日本に隠れ住んでいて、そこで菜波と颯太を一般家庭の子息として育てていた、と。なんと、現実世界の菜波はお姫様喋りじゃなく、普通の女の子喋りだったのだ! まさに、アイデンティティの崩壊ッ、というとお姫様喋りだけがキャラの特徴みたいになってしまうのでそんなことは言わないけど……実際、あんまり気にならなかったし。
んでも、本当に菜波と颯太に血の繋がりがあるのか、についてはまだ微妙な段階なんですよね。エリヤ殿下は颯太についてまだ話す事が残っていたみたいだし。プリ・カグの事故とその後の天界侵攻によって有耶無耶になってしまうのですが。でも、菜波もその辺昔から疑ってたみたいだしなあ。
それに、菜波は昔から、颯太も仮想世界での菜波の告白をこっちまで引きずって、お互いかなり意識してしまってるし。姉弟なのに、意識しちゃってるし!!
クエスト寮の颯太くん応援同盟が、現実世界ではなし崩しに崩れてしまった以上、譲り合い逆修羅場が発生する余地がなくなってしまった今、茜が壮絶に捲くりをかけてトントンと婚約者(仮)の立場まで手に入れてしまったのだけれど、関係としてはむしろ重点は菜波とのそれの方に置かれてるんですよね、これ。茜のあれは、どうしても抜け駆け、という印象を拭い切れないしなあ、これ。
だいたいね、竹井10日作品において「姉」というのはそれだけで「勝利フラグ」であり「正統フラグ」なのですよ。むしろ、菜波はこれまで欠けていた「メインヒロイン」としての資格を実姉となることで手に入れたと言ってもいい。
まあ逆に言うと、そのくらいの強化を得ないといけないくらい強力な新キャラ「真・幼なじみ」が登場してしまったのですから。登場した途端に退場して、装いも新たに新登場してしまったのですが。新登場してさらに新登場とはこれいかに。巫女神さんとシャーマンズさんは、別人扱いではあるんですけれど。
しかしそうか、あの瑠璃の中の人こそ、この巫女神愛菜だったのか。そして、眞奈花の圧倒的雪絵臭(笑
当面は、プリンセス・カグヤ号の沈没事故で行方不明になった愛菜の行方を探すことが目的となるのか、と思ってたらそれどころじゃない展開が待っていたわけですけれど。

しかし、クエスト寮の面々もだいたいバラバラになってしまい、再会した娘たちもあの仮想世界の出来事は覚えていないので、以前と同様の笑顔を見せてくれてはいても、やっぱり寂しい思いを隠せなかった中で、仮想世界そのままの記憶を持った月麦婆さまとの再会は嬉しかったなあ。あのクエスト寮の日々が幻ではなかった事が実感できて。
ただ、鳴の存在がこの現実世界では確認できなかった、というのが思いの外衝撃だったわけですけれど。そうか、七徳院の上位ランカーは全員そのまま仮想世界にダイブしているのかと思っていたのだけれど、そういうわけでもなかったのか。仮想世界では、七徳院ランカーの最盛期の姿が顕現していた、と婆様は言っていたけれど。
それに、現実世界で登場した瑠璃の存在であります。こちらの瑠璃はロボットではなく、ちゃんとした人間の瑠璃という女の子。しかも、なんだかかつての颯太と同じような絶望に似た鬱屈を抱えているようで、どうしたんじゃ瑠璃っぺ!!


第一部の最大の謎だった誰も覚えていない謎の颯太の姉、の正体については「菜波」である事がわかったのだけれど、No.0の話だと何故菜波と颯太がどの仮想世界でも引き剥がせなかったのか。何故、菜波にだけフラグ処理が働かなかったのか。など、二人の関係についての謎は引き継がれたままなんですよね。
さらに、颯太を学園に導き、裏で様々な画策をしていたっぽい聖帝小路隆守の存在は引き続き謎のまま。
聖帝小路家については、母親である聖帝小路久美子の正体がサンジェルマン伯爵であり、どうも仮想世界ではなく現実世界からダイブしていたっぽい人である上に、大魔王の親友という怪しいポディション。
それに、隆守が接触していた魔法少女ジークリート・キンダーハイムのキンダーハイム家ってキンダーハイムインダストリアル社らしいんですよね。あの東京皇帝シリーズで散々名前を聞くことになった「エニグマ」作ってた。
忍者林瑠璃って「エニグマ」シリーズなんじゃね。中に「魔導石」入ってたし。という話を耳にした時にはさすがに愕然としましたけれど。

つーわけで、第一部のクライマックスで天使たちの量子コンピュータ群ネットワークへの電子侵攻、なんてのに驚いてたら、それどころじゃない、天界そのものの地上介入である。
いや、既に大魔王であるシャルロット・ホーリィこと天后まおんが率いるところの魔術師シンジケート「魔法少女福祉機構」のエージェントが出張ってたり、「運命狩り」エデン・リ・プライが堂々と大手を振って活動していた時点で、この手の存在はもう居て当然と思うべきだったんだろうけれど、ここまでガンガン前に出てくるとまでは思わなかった。竹井節全開じゃないですか。
しかし、どういうことだ? 前回の神界による天使の電子侵攻を促したのも、今回の天界によるブレードフィールド公国侵攻を促したも、思いっきり「デルタ聖騎士団」の人じゃないですか。え? 今回、デルタ聖王国って敵なの? それにしては、聖騎士王さま関係周辺の動きが食い違ってる気がするんだけれど。
あと、天界の先代天帝のルシェ・アンチスペルって……これって東京皇帝の東雲十狼佐さんですよね。そういえば、前に天界の天帝やってたみたいな話あったけど……。
それと、天界の騎士団長の一人のタリアス卿がなんかものすごく怪しいんですけれど。再来じゃなくて、当人じゃないのか、これw

ともあれ、第二部スタートから怒涛すぎる展開を迎えて、もはやこれ最後まで止まる気なしですよね? まだ再登場していないメンツも含めて、まだまだこれで序の段のはずなので、いったいどこまで駆け上がっていくのやら。テンションの落とし所が見つからないよ!

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