甘城ブリリアントパーク (4) (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 4】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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東京西部の遊園地「甘城ブリリアントパーク」で、高校生にもかかわらず支配人代行をしている可児江西也は悩んでいた。以前よりも集客は伸びてきたが、目標としている人数には全く足りない。ダメダメ遊園地を建て直すには、ゲストが喜ぶアトラクションの改装が今すぐ必要なのだっ!『お菓子ハウス』はメルヘンテイストからアクションに!『フラワー・アドベンチャー』はお花畑から血まみれに、…って、血まみれ!?なんでホラーになってるの!!待てよ、流血沙汰といえば、まさか面接の時に大量出血していた、あの女が原因か―!?遊園地を救うだけじゃなく、こんな難題あんまりだぁぁぁ!!
これ、1巻に一人のペースでアルバイトで雇った三人の女の子のエピソード、というか人生のリハビリ?をやるんですか? あの歌唱力の高い高校生の女の子も自分の話が終わったら全面に出てくるのかと思ったら、また引っ込んじゃって居るんだか居ないんだかわからない立ち位置になっちゃったからなあ。これ、当番回しか目立たないんじゃないだろうか。この流血担当の娘も、背負っていた問題が解決された段階で、目立つ要素そのものがなくなっちゃったので、今後空気化してしまいそうで怖いです。4大元素の精霊たちの娘も、カラー口絵になっているわりに存在感無いし……そもそも、姫様からして出番無いし。
実はこのシリーズってヒロインとしては、いすずが殆ど出番独占してるんじゃないですか、これ?
そもそも主人公という観点からしても、遊園地の改善策が停滞している分、西也の動きがないので、先のアルバイトの娘たちの話に、わりとどうでもいいドタバタ劇という展開の中で、いすずが西也の人となりを深く知っていき、彼を意識していくというナガレが続いていて、どちらかというといすずの内面描写と変化が中心になってるんですよね。お陰でいすずがデレていく過程をじっくり堪能出来ているという意味では美味しいんだけれど、物語としては2巻からこっち実は殆ど動いていないんだよなあ。
まあ、自分の場合は1巻の頃からいすずが非常に好みだったので、ひたすらいすず推しのこの流れはむしろありがとうございます、なんだけどね。1巻の段階だと姫様の方がメインっぽかったし。まさか、これだけいすずがデレるとはなあ。デレるといってもこっそりですけれど。でも、最初の頃の態度からすると彼女の女の子らしい反応を見せるようになった変化は顕著ですよ。名前呼びのシーンは思わずニマニマしてしまいました。あのちょっと照れ隠し混じりの強引さは、可愛らしいじゃないですか。
変化といえば西也の方も、立場が人を作るというのとはちょっと違うのかもしれないのだけれど、今までと違う世界を体験したことで、これまで感じていた事を違う視点、違う距離感で見つめ直せるようになった、というのは成長という名の変化なのでしょう。これまで深刻に、悲壮感をすら抱いて睨みつけていたものが、フッとなんでこんな程度の事に深刻になっていたんだろう、と思うようになることはあるもんですしね。でも、そういうのって簡単に意識を変える事が出来るようになるわけでもないんですよね。余計視野が狭まることだってあるだろうし。
その意味では、西也は良い経験をしている……のだろうか。ブラックな環境で自分をすり減らしてるようにみえることもしばしばなんだが(苦笑

シリーズ感想