Let's パーティー! 3 -パーティなんてもういらない- (GA文庫)

【Let's パーティー! 3.パーティなんてもういらない】 小金井ゴル/鍋島テツヒロ GA文庫

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「ちょ……何すかあんたたち?」
セルジュ=ホークウッド、誘拐される! 犯人はかつてユークを裏切ったトレイダ帝国元側近、ゲイン姉妹!
セルジュを取り戻すべく、ユーク・コンスタンス・シャン・カシィ、ばらばらなパーティが遂に団結!?
「「「「ユークは私たちのモノ!!」」」」
目指すは囚われ先の氷刃山脈だ!! 迎え撃つは荒れ狂う二体の魔超獣、疑惑を呼ぶユークの母・ソフィ、 そして全てを裏で操る――「黒幕」。様々な因果と思惑が集う北の大地で仲間たちの最終決戦が幕を開ける!

小金井ゴルと鍋島テツヒロが贈る、残念系パーティファンタジー第3弾。
なんか、ヒロインにあんまり魅力がないにも関わらず、物語としては結構しっかりしていて面白かったんだよなあ、これ。主人公がセクハラ体質とエロいことをすると充填される特別な力を持っているお陰で人間のクズ扱いされているものの、実際はかなり真面目な性格で人間関係も気配りの人、というのがそれなりに大きかったんだろうけれど。
彼にちゃんとした仲間が出来なかったのは、巡り合わせの悪さという部分が非常に大きかったわけですし。まあ、単にそれだけではないちゃんとした理由、というか謀のたぐいが張り巡らされていたのが、この巻で明らかになるのですが。
この作品、ヒロインも主人公もコミュ力残念すぎてちゃんとパーティーを組めない、というのを売り文句にしていたわけですけれど、単に表面上だけの掴みとしてのネタとして扱うのではなくて、パーティーや仲間というキッチリとした枠組みに囚われない人間関係、というテーマへとちゃんと話の筋を掘り下げていってるんですよ、これ。その点だけでも非常にまじめに物語の構築と充実という点に取り組んでいるのが伝わってくるんですよね。
個人的に、「仲間」という区分に対しては時々妙に居心地の悪さを感じる事があったんですよ。漫画とかライトノベルとかで、「そいつは俺の大事な『仲間』だ!」などと宣言するシーンなんかで、「え?」と思うことがしばしばある。「え? 仲間なの? 友達とかじゃないの?」という風に。
仲間、というのは国語辞典なんかの解説を見ても、同じ枠組みの中に所属する者同士という意味合いが強くて、そこでの当事者間の人間関係はまた別のモノであるわけです。だから、その人個人との人間関係を強く主張する場面で、枠組みである「仲間」である事の方を強く主張されてしまうと、すごく違和感を感じてしまうことがあるわけです。日本人というやつは同じ集団に属するという事に強く安心感を抱いてしまいがちな人種なので、同じ枠組みに属するという事と個人的な関係を深めることを混同してしまいがちな事がある気がするんですよね。
本作は、そうした点をなかなか際どく突いて、元々みんな残念すぎてちゃんとしたパーティを作れない、パーティーに入れない、という話を、同じ枠組みに入る事と個人個人で人間関係を深め信頼し合い醸成していく事は全く別の事なんだ、という話にまとめ上げていたのは、素直に面白かった。

この完結編となる三巻では、かなり話を詰め込んでめまぐるしく転がっていくのですが、忙しない一方で勢いは十分でしたし、かなり意表を突かれる展開が待ち受けていて、思いの外物語としてもドライブ感のある乗り心地の良いお話でしたし、結構読み終えたあとに満腹感を感じられる読み応えがある作品でした。
こうして振り返ってみると、やっぱり良作だと思うんだけれどなあ。登場人物のキャラ立ちはしていて面白くとも、ヒロインとしてはさっぱり魅力が感じられない面々ばかりだったのが、ちとアレだったのか。ユークとか、メインにも関わらず……、リノの方がストレートに可愛かったもんな、うん。個人的にはヒューゴーの手の平返しが大ウケでした。いけ好かない奴とは思ってたけれど、あそこまで面の皮が厚くて機を見るに敏で悪びれないと、むしろ好きになってしまいましたわw