夜姫と亡国の六姫士IV (ファミ通文庫)

【夜姫と亡国の六姫士 4】 舞阪洸/こ~ちゃ ファミ通文庫

Amazon

「勝利は、未来は、吾らのもの。吾は、運命すら変えてやる」

来るべく大戦に向けて、復興軍とバイデリュウヘン軍の動きは活発さを増していた。決戦の地では剣姫士アイオリスが胸を弾ませ、真相を知った忍姫士カオルゥは沈痛な面持ちで顔を伏せる。
そして夜姫は、持てる力のすべてを投入して、リーザとの最終決戦に赴く。バイオレッタ王女の悲願、祖国の完全なる復興を目指して――。
果たして新エルゲン王国は勝利を掴むことが出来るのか? そして夜姫が辿り着いた未来とは!?
戦いと裏切りのハイ・ファンタジー、堂々終幕!
てっきり最初から短くまとめるつもりなのかと思っていたら、実質の打ち切りだったのか。短めのシリーズの予定だと思っていたので、この巻で夜姫の戦いは悲劇的な結末を迎えてしまう、という展開で締めると思っていたので、むしろリーザとの最終決戦は予想外の流れでした。
リーザが勝つと思ってたもんなあ。そこから、夜姫の正体も露見して復興軍内で内紛が始まって……みたいな、崩壊エンドが頭のなかにあったので、ちょいと夜姫の切れ味が想像以上だった。これ、アイオリスなんかも絶句してるけれど、本物よりも作戦家として上回ってるんじゃないのか。予想外の事態になったら脆さでも見せるかと思ったのに。
ちなみに、夜姫の正体については思ってたのとはちょっと違ってたなあ。いや、スナイデルッラにしても暗示系の魔法かなんかで成りきりを補助しているかなんかはしていると思ったので、まさか何にもしてなかったとは。よくこれで、作戦面なんかも丸投げ出来たもんだ。普段の立ち居振る舞いなんかは、いつも一緒にいたら特徴や仕草なんかを似せて上手いこと真似る事は出来るかもしれないけれど、戦略眼や作戦立案能力、戦術指揮能力というのはいつも見てたら真似できたようなものでもなかろうに。幸か不幸か、当人に本物以上の能力が眠っていたようだから良いものを。
これだけ不安要素を抱えていながら、アイオリスが親友であるスナイデルッラ以外に相談せずにこの「夜姫」を実行に移してしまったのって、実はバイオレッタ姫の側近である六姫士って仲悪かったんだろうか。そんな素振りは見えなかったけれど、少なくとも大事な秘密を打ち明けて共有して一緒に背負えるような信頼は、お互いに持ってなかったとしか思えない。
コルネリアゥスなんか、あれ自分に真相を打ち明けないまま「夜姫」をでっち上げた事が気に入らないとしか見えないもんなあ。姫様を勝手に名乗りやがって、と怒っているようだけれど、もし彼女がその場に居てこの案を打ち明けられてたら、とても反対したとは思えないし。
まあ、リーザを追討した後の夜姫は、何やら暴走を開始したようなので、王家の為に敵対する理由は漏れ無くついてくるわけですけれど。
あ、女医さんについてはあれはどう見ても自業自得としか思えない。一番大事な時期にこそこそと身辺嗅ぎ回られたら、怪しいなんてもんじゃないし。

展開そのものは面白かっただけに、ほぼ舞台を整える序章の段階で終わってしまったのはドロドロの内紛劇や破滅劇もお目にかかれないままだったので、残念といえば残念か。肝心の六姫士が、半分近くろくに出番もないままだったしなあ。

1巻 2巻感想