白銀のソードブレイカー (2) ―不死身の剣聖― (電撃文庫)

【白銀のソードブレイカー 2.不死身の剣聖】 松山剛/ファルまろ 電撃文庫

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ソードブレイカーの、刃が折れしとき。聖剣を巡る戦いは大きな転機を迎える……!!

《世界の敵》となり、逃亡生活を送る《剣聖殺し》エリザと傭兵レベンス。しかしそのさなか、不意に現れた新手の剣聖・デュランダルの襲撃により、剣聖に対する切り札であったエリザの魔剣はいとも簡単に折られてしまった……!
茫然自失となるエリザ、驚愕するばかりのレベンス。絶体絶命となった二人の前に現れたのは、エリザがかつて刃を交え、倒した剣聖の一人であるヴァリエガータだった。果たして彼女は、敵か味方か。そして魔剣を失ったエリザは……!?
血と剣(つるぎ)の絆の物語、第2幕。
うん、ヴァリエガータはもう一度出てくると思ってた。さすがにあれだけ色々と裏情報を知っていそうで、更にコチラに好意的に見えた相手をぶっ殺してそのまま終わり、とは思えなかったし。逆に言うと、あそこで本当にぶっ殺したまま終わっていたら、それはそれですごい話だ、と思えたのかもしれないけれど。
あれだけ前回では問答無用で剣聖たちを殺害して回っていたエリザが、今回彼女自身の魔剣が折られてしまい剣聖と戦えなくなった、という理由はあったとはいえ、そこでヴァリエガータの支援を受け入れ、剣魔化しかかっていたエリオットを見逃す事が叶うのだったら、ドラセナは手遅れだったとしてもハヅキとルドベキアに関しては話し合える余地があったんじゃないかと思えてならない。まあ当時たった一人だったエリザには、それをするだけの余裕がなかったとも言えるのだけれど、将来剣魔になってしまうとはいえ現状ではまだ人間であり、また自身の変質を知らない相手を、有無をいわさず殺してしまうというのは、どんな理由があっても気分悪かったからなあ。
その方針を最後まで一貫出来るなら、剣聖殺しとはそういうもの、として飲み込めるのだけれど、親しくなってしまった相手には別の対応、特別扱いとなるとそれはどうよ、と思ってしまう。これは、レベンスが得てしまったものをエルザが知ってしまった時にどうするかが肝になりそう。1巻までの彼女の方針がそのままなら、即斬が基本なのだが。ハッキリ言ってメンタルが鋼どころか小娘でしかないエルザが、修羅道に耐えれるとはとても思えないので、剣が直っても早晩心がぶっ壊れかねかいんですよね。もっとも、ヴァーちゃんの考察からすると、エルザはただの小娘ではなく、むしろ世界装置的存在に分類されてしまうのだけれど。
いずれにしろ、彼女ごとふっ飛ばしかねない爆弾を抱えてしまったとは言え、傍観者に過ぎなかったレベンスがようやく舞台の上に上がってきたのは主人公として遅まきながら役割を果たし始めたのではないかと。何しろ、復讐者にも関わらずこの男と来たら事の次第を傍観しているだけで、剣聖殺しに関しては全く関与するつもりがなく、エルザに丸投げしっぱなしだったからなあ。無力である、というのは仕方ないんだけれど、何より気持ちの方が他人ごとというか、エルザがやってくれるから、という気分で居ましたからね。エルザを身を挺して庇ったりしながらも、根っこがそれだったのでどうもこのレベンスという男には不信感があったのですが、今回エルザが剣を折ってしまい完全に無力化されてしまったの機に、ようやく自身の後ろ向きでエルザに任せきりだった無責任さを自覚して、なりふり構わなくなってくれたので……良かった、というのはアレなんだけれど、ようやく信が置けるようになったんじゃなかろうか、と。
しかし、ヴァーちゃんのあのチョロ師匠っぷりは何なんでしょうね。これまで誰も弟子になってくれなかったんだろうか。レベンスを弟子にしてやろうとか胸を張りながら、実際はお願いします弟子になってください、師匠とかやってみたいんでお願いしますっ、な勢いでしたし。お師匠として敬われた時の舞い上がりっぷりといい、どんだけ飢えてたんだかw

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