俺の教室にハルヒはいない (3) (角川スニーカー文庫)

【俺の教室にハルヒはいない 3】 新井輝/こじこじ 角川スニーカー文庫

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「前日、ユウの家に泊まっていいかとか…」
マナミさんは登校するにあたって、俺に意外な提案をしてきた。それは、恋愛禁止のアイドル声優にはあるまじき行動かもしれない。でも、俺はマナミさんの気持ちを大事にしようと、お互いの家族を説得することを選ぶ。一方、カスガは一緒に海に行こうと俺を誘う。忙しいマナミさんも来てくれることになったのに当日、呼んでなかった人たちも現れて!?あなたの夢を応援する青春ストーリー第3弾!
見たい! 見たいんですけど! 見せてくれるんだったらぜひ見たいんですけど!!
なんという天然小悪魔。おぱーいを、言ってくれたら見せてあげるのに、と影でボソボソ呟いているだけの振りだけヒロインはこれまで幾らでも見てきましたけれど、見たいの? と聞かれて、そりゃ見たいさ、と素直に答えたら
「じゃあ、今から家に来る?」
と素の調子で、家にあなたが読みたい漫画があるんで見せてあげるよ、というくらいの調子で言っちゃう娘は初めてみましたよ!
これで、変に色気だして、その気になってたり、誘うような気配出してたらまた違うんだけれど、この娘……カスガは本当に見たがってるから見せてあげよう、というくらいのつもりっぽいのが、逆にエロい。
勿論、ユウに好意あってこその無防備さなのだけれど、この本人の無自覚さが本当にエロい。
しかも、この場限りのお話じゃなくて、ちゃんと覚えていて、後々ユウの部屋に来た時に、あ、そういえば前に見たいって言ってたよね、というくらいの思い出したから見せようか、みたいなノリで見せてくれようとしてくれるのです。
見せてもらえよ!!

……見せてもらえよ!!

これ、下に妹とマナミさんが居なかったらどうなってたんだろう。いやそれはそれとして、見せてもらうだけ見せてもらえよ!! 
あるまじき展開である。
しかもこの娘、水着はToHeart2のタマ姉のあの黒ビキニぽいのを着こなす程のスタイルなんだぜ。見たいよ、絶対見たいよ。タマ姉おぱーいだぞ、どないすんねん!!
この娘のこれがわざとだったら、凄まじい使い手と呼んで過言ではないでしょう。これが天然だったとしたら、もはや太刀打ちできないナチュラルボーンエロスです。なんてこったい!

と、彼女のこれが攻勢なのかそうでないのかは定かではありませんが、他のヒロイン衆は明らかにアプローチを仕掛けてきてるんですよね。しかし、その方法というのがまた何というか独特というか、いきなりトドメを刺しに来ているようなストレンジなのが、この作者さんの摩訶なところであります。いきなり「今度から家に泊まらせて」とか、マナミさんそれはもうなんかアレですよ、変ですよ、発想からして友達としても恋愛観としても、どこから生まれたものなのか。いや、これは真実「友達」という関係だからこそ出来るお願いなのか。
むしろこれだと、清澄とか神楽坂先輩のほうが態度としてはわかりやすいんですよね。マナミさんとカスガのあのフラットすぎる姿勢と、ユウに対する距離感のなさはちょっと凄まじさすら感じる。
カスガなんて、未だにマナミさんの素性について気づいていないとか、本気で天然っぽいしなあ。いや、直前に一緒に遊んでいながら、収録で一緒になって気づかないとか、それでマナミさん当人に汐留アスカの素晴らしさについて力説するとか、天然極まってるもんなあ。そんな彼女が、はたして恋愛について小細工を弄することが出来るのか、ちょっと裏で色々思惑をこねまわしている姿が想像できない。と、同時に実はやっていてもおかしくはない、というのが女の子の実情なわけで。
マナミさんも含めて、本当にどこまで考えているのか、分からないや。きっと、当人たちもわかっていないのだと思いたい。もはや、考える必要がないほど、支えとしてユウの存在が根付いてしまっている可能性すらあるのだから。いや、支えという意味ではもう可能性のありなしですらない厳然とした事実でしかないのか、これ。
このカスガとマナミさんの意味不明なくらいの泰然さって、いわばのっぴきならないところまで来ちゃってるってことなのかなあ。
人間、意外とそこに直面しないと、本気で考えたりしないんだよね。事前に想像している、なんてのは本当に上っ面でしか無い。そして、いつの間にか事態というものは着々と進行してしまっていて、それは止まることがないのである。心のありようにしても、人間関係の距離感にしても、現実の状況にしても。
場合によっては、直面してなお考えられない時すらある。そうして、流れのままにフワフワと流されていくのだ。別にそれが悪いわけでもない。意外と流されてるとそのまま悪くない結末にたどり着いてしまうことだってある。まあ流され方にも色々あるわけなのだけれど。
とりあえず、手遅れにならない今のうちに見せてもらっておこうぜ!

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