引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている3 (一迅社文庫)

【引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている 3】 棺悠介/のん 一迅社文庫

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重度の引きこもりだったため、高校生らしい夏を過ごしたことがない紫羽のために、春哉は『引きこもり対策部』としての合宿の開催を提案!合宿当日、行動するペアを逐一くじで決めることに。紫羽と一緒に過ごしたい春哉なのに、ことごとく違うペアになり、徐々に二人はすれ違って―!?大人気引きこもり学園ラブコメ、ついにクライマックス!!
前半は新たな引きこもり(?)の登場があったにも関わらず、後半で一気に纏めちゃった流れには相当な巻きを感じたので、実質打ち切りになるのかなあ。うーん残念。
前半は、あれ?このシリーズってオカルトもありだったっけ?と真剣に悩んでしまったくらいの迫真の怪奇ミステリーでした。ってか、新ヒロインの名前からして誰も突っ込まないもんな。幾らなんでも妖子はないんじゃね?と思って、誰か指摘しないものかとキョロキョロしてたのに先生含めて誰も何も言わないから、そこらへんからアレアレアレ?と認識があやふやになってきた感がある。冷静に考えると、異能だとオカルトだのが実在する世界だったら、中二病田中があんな風に抉らせてるはずなかったわけなんだけれど、それを思い出させないぐらいに上手いことあのオカルト部に誘導させてしまったしまった。いや、春哉があんまりにも疑わないもんだから、それに引っ張られたというのもあるんだけどさ、ちょっとは春哉も超常現象疑えよ。最初からある事前提みたいな感じで突っ走るからついついこっちまでその気になっちゃったじゃないか。
とまあ、前半は新たな引きこもり生徒の登場もあって、メンバーも増えてさあこれから、という雰囲気だったのに、後半からは新加入のオカルト研究部の連中はハズレてもらって、今までのメンバーで総括的に夏休み合宿という顛末に。それも、かねてから怪しげな雰囲気をまとわせていた真紅の魔女の正体と真相、そして恋愛模様の決着編、とかなり巻の入った急ぎ足で片付けちゃった感じなんですよね。
本作の一番の魅力は、紫羽という強烈な個性を持ったヒロインと主人公の関係性でした。幼少時は、まさにヒーロー、或いはモンスターとも言うべき存在感を示していた彼女が、高校生になって再会した時には挫折し引きこもりの状態でえらくひん曲がった存在になっていて、主人公との関係も過去と現在の立ち位置の違いから凄く変な具合に絡まりあった状態になっていた、その特殊性が魅力だったと思うんですよね。二人の関係については第一巻の記事に詳しく書いたつもりなのですけれど、紫羽ほどの強烈なヒロインが落ちぶれて春哉に依存しているというほどぞっこん寄りかかっている、というどこか背徳的な関係は背筋がゾクゾクするような魅惑的なものだったんですけれど、この締めに入ったこの巻、特に最後のエピソードらへんでは、そういう二人の特殊な恋愛関係が、尖って歪んだ部分が殆ど削り取られて、ごくごく普通のラブコメみたいになっちゃってたんですよね。
勿論、紫羽と春哉は歪だった関係をいずれは矯正してまともに向き合い支え合える健全なお付き合いに発展させられれば、それが最良だったんでしょうけれど、なんか有耶無耶のうちになんとなく普通になってました、という雰囲気で、一巻を読んだ時にビリビリと感じたこれはどこまで突っ走るのか、という期待感はあえなくしぼんでしまった気がします。その意味では残念な結末だったかなあ。折角なのですから、もうちょっと無茶しても手綱はとれるくらいのポテンシャルは感じてたんですが。
次こそは変に纏まらずに、とことんやって欲しいです。
1巻 2巻感想