神武不殺の剣戟士2 アイノススメ (ファミ通文庫)

【神武不殺の剣戟士 2.アイノススメ】 高瀬ききゆ/有坂あこ ファミ通文庫

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貴方の不殺は、『人を殺せない』弱さからきてはいないですよね?

赤マント事件の罰で帝剣は謹慎した。
被害者の星村千歳も戻り、平穏になると思ったその時、清水龍人が、初めての敗北を喫した! 相手は千歳と犬猿の仲の浅木春芽。龍人は春芽の従僕にされ、千歳の眼前から連れ去られる! そして、帝都の路地裏を荒らす『九頭龍教団』撃滅の手伝いを嫌々させられるのだが、その教団が、不殺による錬武と並び求める最強への術、延年益寿と関わりあると知り――。
蒸気煙る帝都で学徒剣士が刃交える剣戟浪漫アクション第2弾!!
さ、さすがに2巻で打ち切りは慮外よのぅ。というか、あんまり覚えがないんだが。だいたい、3巻まで様子を見るか、いっそ1巻だけで後腐れなくすか、なんだけれど。ああ、でもファミ通文庫はたまに容赦なくやることがあったか。いずれにせよ、容赦ないなあ。
龍人が志しているという「延年益寿」って、なんか不老不死と絡めて話しているもんだから、胡乱な概念なのかと思ってしまうけれど、要は寿命を伸ばして長生きしましょう、という事であって、この寿命を伸ばすという点を怪しげな術に頼るのではなく、単に健やかに過ごしましょう、という風に捉えると、ごくごく健全な四字熟語なんですよね。
さて、龍人は不老不死の怪しげな術も「延年益寿」に至る手段だと興味津々の様子ですけれど、実のところ不殺の縛りにしても、悪を標榜しているのも、彼にとってのメンタル的な健康法「延年益寿」にも思えるんだよなあ。武を練り上げる為、というのも間違いないけれど、不殺も悪として好きに振る舞うのも、心の負担を負わせず健やかに伸び伸びと過ごすため、と考えるなら、彼はすでに「延年益寿」を体現しているわけだ。
剣を捨て危険から遠ざかればなおよし、なんだろうけれど、武の研鑽が人生の目的ならば、そうも行くまいか。
それでも、何事も儘ならない世の中でそうやって自由に生きるというのは、何とも羨ましい限りである……もっとも、この作品、そのあたりの生き方の自由さについてはフリーダムな人が大半な気がするんだけれど。今回敵として現れた大人の人が、独りでそのあたりの理不尽を被っちゃってる気がする。
まあ、春芽は自分の努力と才能と運を武器にして足掻いた末に、儘ならなさから脱却してマイ・ロードに乗ったわけだし、千歳も自縄自縛に陥ってばかりだけれど、龍人に引っ掛けられたり自己完結したりして、色々躓きながら浮上してきているわけで、それなりに苦労しているのだから、ごちゃごちゃ言われたくないだろうなあ。
問題は三年生だよ。あの、どいつもこいつも片っ端から狂人の類というのはどうなってるんだw 完全に人外魔境じゃないですか。なんで、一年学年が違うだけで、あそこまで破綻するんだろう。不思議である。会長を見ても分かるように、狂人には狂人のしがらみと惑いがあるようだけれど、あんまり悩んでいなさそうなところは、フリーダムフリーダム♪
結局、帝剣って抑えこんでも自由にしても危険という意味では変わらないんじゃ……。今回だって、結局殆どマッチポンプだったし!
ちょいと残念だったのが、1巻ほど各剣術流派の合理理合、「剣戟とは、武具と五体を用いた論理戦なのだ。」と1巻で語られた部分が引き立ってなかったところか。あんまりドタバタ派手に動きまわっていたけれど、論理戦的な展開はかなり少なくなってた気がする。
主人公の龍人の、現在の思想に至るまでの過去の因果の伏線となるところが散りばめられてたり、春芽のちょっかいによってついに千歳がヒロインとして動き出したり、と次回以降にも期待できる動きが見えてきたところでもあり、戦闘シーンの挽回も含めて楽しみに待ちたいところだったのに、結構打ち切りはショックだったなあ。マジで次回作は幕末ガンバトルで行ったらいいんじゃないかと……。

1巻感想