S.I.R.E.N.3 ‐次世代新生物統合研究特区‐ (富士見ファンタジア文庫)

【S.I.R.E.N. 次世代新生物統合研究特区 3】 細音啓/ 蒼崎律 富士見ファンタジア文庫

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SIREN第三衛星都市に特別警報が鳴り響く。幾人もの理装執行者を打ち破った最強のΩ指定種バイオテスタ―コードネーム“赤色標識”が侵入し、都市が恐怖に包まれる。中央統合樹すら捕獲を断念した史上最悪の放浪個体。その正体は、人間が手を出すことの許されない特異なる“伝説の竜人”だった。「人間…お前らは、何度、私の逆鱗に触れれば気がすむ!」バイオテスタと人間との、ほんの僅かな誤解から“彼女”は暴走する。その圧倒的な暴虐の前に、ミソラの大切な友人たちもまた次々と傷ついていく。ミソラは友人のため、そして孤独な“彼女”自身のため、勝機の見えない戦いに臨む―。
伝説の竜人が伝説すぎる! 主に異世界で!
このSIRENの世界と繋がった異世界って、黄昏の世界と見せかけて微妙に違うっぽいとは思ってたけれど、実際どうなってるんだろう!?
いや、竜人キリシェって……もろに【世界の終わりの世界録】のメインヒロインさんじゃないですか。って、もしかしてフィアも、あっちの肉食系エロ天使先輩のフィアとシンクロしてるんですか? キャラが全然違いすぎて、対応していることにさっぱり気が付かなかったですよっ。ということは、今後【世界の終わりの世界録】のもう一人のヒロインであるエリーゼに対応するキャラクターも登場するんでしょうか。エリーゼさんって、魔王様なんですけれど。
そういえば、キリシェの妹となるカルラも、黄昏色の詠使いの世界に同じ名前の真精が登場してるんですよね。

と、同じ作者の作品の相関関係はまた置いておいて、この世界におけるバイオテスタの境遇に纏わるお話。これまで出てきた主なバイオテスタは、獣寄りで人間と意思疎通が出来るタイプではなかったのですけれど、一方でフィアのような天使型やウンディーネ型のように普通に人間と同格のパーソナリティを持つバイオテスタも居るわけで、一応はちゃんと人権は保証されている、のだろうか。どうも、保護者というか所有者みたいな形でその身柄を預かり責任を負う立場の人間がいないと、はぐれ扱いされるっぽいんですよね。その意味では、バイオテスタが独立して人間に頼らず一人で生きていく事は許されていない、というのは完全に人権が認められているわけではないようですし、今のところ人間とバイオテスタの関係はどう繕ったところで、創造者にして使用者と、その被造物であるところからは脱却してないんだなあ、きっと。
ミソラや奈々は、彼らバイオテスタを友人として接しようとして体も張っているけれど、さて果たしてどこまで本当の意味で「同じ生物として対等な存在」としてバイオテスタと付きあおうとしているか。
キリシェ側が抱いている人間に対する不信感というのも、深刻ではあっても難儀ではないんですね。愛情を期待して裏切られる事によって生まれた不信に対しては、信義を貫くことで修復は叶う。これが社会を構成するシステムそのものへの不信だったりすると一気に難しくなるんだけれど、この作品は人間とバイオテスタの関係を社会的に捉える話ではなく、あくまで個人の範囲で心結ぶ話なので、関係はないのか。

しかし、キリシェの「竜の息吹」って、話を聞く限り人間がまともに食らったら原型も残りそうにないんだけれど、それを食らって火傷程度で済んだあの先輩って、頑丈にもホドがあるんじゃなかろうか。ゴーレムか、あんたは。

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