俺、ツインテールになります。7 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。 7】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

Amazon

頼もしい新戦士・テイルブラックを仲間に迎えたツインテイルズ。自分もレッドと同じく人気者になってみせると、自信満々のブラックだったが……? そして、ついに総二たちの世界へとやってきたフェニックスギルディは、圧倒的な力を振るいながらツインテイルズに戦う意味を問いかける。その時、心の隙を突かれてしまったイエローは、再びテイルギアを制御できなくなってしまう。慧理那のツインテールが、イエローのテイルギアが、暗黒に染まってゆく……! 果たして総二は慧理那の心を、ツインテールを救うことができるのか……!?
出撃を決意するスワンギルディ! 背水の陣の美の四心! そして、いよいよ全力となったポニーテールの戦士!! 物語は、さらに熱く燃えさかる――――!!
うおぉぉ! 今回はまたジャケットがメチャクチャ格好いいじゃないですか。テイルギアを装着したフェニックスギルティ・人間ヴァージョン。ある意味、イースナ様よりも真っ当にライバルヒーローしてるじゃないですか。ってか、ある意味じゃなくてあらゆる意味で、か。
それに、彼女のアルティメギルへの反逆には首領への反発やポニーテイルへの拘りといった個人的な理由以上に、親友との友情があった、というのには胸を打たれた。さすがは、元アルティメギルの怪人といったところか。たとえ、女性人格であってもその侠気はいささかも見劣りするところ無く、ポニーテイルへの愛、ポニーテイルを愛でる者同士の友情にあふれているじゃないですか。
それを踏まえて、世界にかつてポニーテイルと、それを纏った少女を愛したエレメリアンが居たのだと世界に刻みつけるように、彼女が己の名前を名乗るシーンは、しびれたなあ。
 フェニックスギルディは親指で自分の胸を示し、
「ユノだ!!」
 自信たっぷりに名乗った。
「この姿の俺様の名前さ。そう名乗ろうって決めてた! ……難しい字で書くらしいぜ、結翼唯乃、てな」

いかん、まじもんのヒーロー属性だ、こいつ。
そのユノに、真っ向からヒーローのごっこ遊びだと指摘されてしまったのが、今回の主役となる慧理那。トリガーハッピーの露出狂というだけでは、いまいち存在感を示せず、エレメリアンたちからも注視されず、世間的にもモザイクされ、いささか迷いを得ていた所にユノからの鋭い指摘を受け、本格的に迷走を始めてしまう慧理那。そこに、トドメとばかりに自分だけのものだと思っていた矜持が、母親の明かしてしまった真実によって新堂家の血族に脈々と受け継がれていたものだと知り、何一つ己のものを持たぬ自分がヒーロー足りえるのか、とアイデンティティの危機を迎えてしまう。
と、これぞまさに変身ヒーローものの、パワーアップイベントの王道を行くような話の筋立てなのです、なのですけれど、そのヒーローとしての存在意義の拠り所が根本的におかしいから! そもそも、あれだけの露出狂、脱衣に情熱を揺らす変質者が、地味と切って捨てられるこの環境がおかしいんですけどね!
シリーズ当初と違って、もう愛香も一切常識的観点から突っ込まなくなって久しいので、誰も突っ込まないまま最初から最後まで暴走しているよね、これ! 常識ってなに? って、そろそろ価値観が曖昧になってきた。
ツインテール、そうツインテールなのだ。すべてはツインテールであり、ツインテールこそが心であり、ツインテールこそが宇宙の真理! もう、すべてツインテールで物事も人の心も語り尽くせるのではないかと思えるようになってきた。さすがはツインテール。だから、ツインテールさえ揺るぎ無ければ、首輪を拠り所にすべての衣服を脱ぎ捨てることも何も難しくはないのである。痴女皆伝!! 
何を言っているのかさっぱりわからないかもしれないが、実際概ねさっぱりわからない!!
だが、何を言っているのかさっぱりわからなくても、想いは伝わるのである。何を言っているのかわけが分からなくても、言葉は伝わるのである。
伝わられても、困るんだけどね!!
「心配なく! もうわたくしは、独りよがりな脱衣はいたしません!」
「……そうか、誰かを守るために脱ぐ……それがお前の正義なのじゃな、イエロー!!」
あとになって冷静になって振り返ってみると、イエロー復活強化イベント関連の語りは、何言ってるか本気でさっぱりわからないんですよね。でも、ノリノリで夢中になって読んでいるときは、うおおおその通りだぜ凄いぞイエローッ! と、熱く胸を滾らせ。拳を震わせて燃えあがり盛り上がり尽くしているという謎空間が創生されてしまっているわけで……。
ツッコミ不在って、本気で凄いよね……。

一方で、エレメリアンたちの漢度もまたとどまるところをしらず。もはや、エレメリアンたちの言動を追っているだけで、漢という道を究められるのではないかという錯覚すら覚えてしまう。
ビートルギルディと、その一党である「美の四心」の最後はこれ以上無く熱かった! そもそも、ダークグラスパーことテイルブラックの裏切りとツインテイルズ加入に対して、元部下である彼らの反応がまたしびれるんだ。
憎んで当然、罵って当然にも関わらず、むしろ自分たちの彼女への対応を悔やみ、反逆者としてではなく新たに現れた敬すべき敵の戦士として、正々堂々と戦おうと語り合う姿のなんと眩しいことか。
ついにエレメリアンの中にも、くだらない傲慢で相手を見下すような輩が出てきたと思ったラストシーンでも……。
あかん、思わずもらい泣きしそうになった。ラストの、ティラノギルディの高笑いしながらの最後の台詞は、この名言の多いシリーズの中でも屈指の名台詞ですよ、あれは。

シリーズ感想