グラウスタンディア皇国物語3 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 3】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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大国随一の知将VS皇国最強の軍師、激突!!

陸路と海路の両面から、30万という未曾有の軍勢で皇都陥落を狙う大国リジア。
その目論見を早々に看破した皇国の軍師クロムは、あらゆる策を講じて相手の兵力を着実に削っていく。
一方、皇女ユースティナは皇族が背負いし精霊神シオンを契機に世界の秘密の一端に触れてしまい!?
大国随一の智将と皇国最強の軍師が刃を交える皇都防衛戦、最高潮!!

ヒィーッ、これはたまらん。どれだけ相手の能力を信頼していても、その相手が敵であり、その敵が此方の策を見抜いてくれる事を前提に作戦を立てるとか、怖くて出来んよ。博打的要素を限りなく排し、状況を整える事で相手の意思決定まで必然に近い形で誘引誘導して望んだ形を作り出すという軍師冥利につきる名采配。さらに、相手に意図を読み取られることすら作戦に組み込み、敵将の能力を分析しきった上で肝心要の一手を起死回生の局面に持ってくる。突飛な奇作ではなく、意外と堅実でもあり、同時に非情で容赦のない作戦は説得力を伴っていて、リジア軍の主力を担う貴族たちは決して無能でも短慮でもないにも関わらず、クロムの作戦に絡め取られていく姿にも不自然さはなく、これはもうクロム凄い、としか言えないんですよね。
尤も、クロム一人が孤軍奮闘しているわけではなく、絶体絶命な状況に追い込まれながら精神論に逃げずに最後まで諦める事をしなかったグラウスタンディアの官僚たちといい、名将の名に相応しい攻防のそれぞれに長けたシドとシェルシュ、精強なるラング騎兵隊、若き次世代の逸材として見事に成長しつつ在るフィフニスなど、救国七聖と呼ばれる英雄たち以外にも人材がキッチリ揃えられていたからこそ、クロムが十全に采配を振る整っていたのでしょう。いかな名軍師とはいえ、味方の足並みが不揃いだったり、内部に問題があったりしたら、その能力を活かしきる事など出来ませんからね。
その意味では、むしろ全く無手の状況から着々と足場を築いていっているラトルグ国のコウソンの方が強敵っぽいなあ。今回、読み合いに完全敗北し、手酷い惨敗を負ってしまったナターシア女史も、むしろ叩かれて伸びるタイプっぽいですし。
とまあ、表向きの国同士の鬩ぎ合いの裏では、ファンタジーらしい神と呼ばれる高位存在の干渉が垣間見え、国盗り合戦の一方で、人と神との地上における主権を争う戦いらしきものの存在が提示されたことで、敵味方の構図がガラっとひっくり返る要素も見えてきてるんですよね。
さて、どの段階で物語がひっくり返るのか、楽しみ楽しみ。
絵師さんが今回から交代してますけれど、自分はむしろこっちの野崎さんの方が好きだなあ。


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