王道楽土の聖堂騎士団 (一迅社文庫)

【王道楽土の聖堂騎士団(ダンブリエ)】 不動准/TwinBox 一迅社文庫

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“魔道鎧甲”をまとって戦う“神衛騎士”を育成する神衛騎士学院に、ある日ふらりと現れた転入生・早雲壮馬。不幸な事故(?)により“不敗の聖堂騎士”の異名をもつ美少女騎士・アンジェに決闘を挑まれる壮馬。ところが、壮馬は“魔道鎧甲”をもたない「鎧なき騎士」だった。にもかかわらず、アンジェの剣戟の前にも余裕をみせる壮馬に、とうとうアンジェは必殺の“焦天劫火”を発動させて―。壮馬と“王道楽土の聖堂騎士団”の美少女騎士たちとの過激な学園生活がはじまった!学園騎士ファンタジー!
うん、なかなか引き締まった良い主人公である。巫山戯ておちゃらけすぎず、かと言って真面目すぎず軽妙にして快活。愛嬌があって人好きし、なおかつ一本芯の通った信念の持ち主ときた。ストーリーラインそのものは、基本に忠実な王道路線なのだけれど、それを描く筆致には変に肩に力が入っていない柔らかさがあって、テンポのよい緩急によって彩られている。コメディタッチの場面はリズム良く、気合の入った燃えるシーンは迫真に。掛け合いの軽妙さは手放しで楽しいし、ゲスな敵役をぶっちめるシーンは実に盛り上がるための種と肥料の塩梅を心得ていて、掴みはばっちり。ヒロイン衆もそれぞれ小粒ながらも相応のツボを備えていて、シンプルに可愛い。
こうしてみると、オーソドックスな作りながらも高いレベルでまとまっている、テンプレだからツマラナイではなく、王道だから面白い作品へと仕上がっているのがよく分かる。
欲を言えば、後なにか足りないひと匙を加えれば、間違いなく一線級に駆け上がれるような感触なのだけれど、さて何が足りないかというと、これは何とも感覚の問題なんですよねえ。もしかしたら、これ第一巻はプロローグ的に作品の雰囲気やキャラの紹介、世界観を掴ませるためのもので、敵も逆恨み混じりの典型的なやられ役だったので、本番本筋に入る二巻以降になればトントンとステージ上がる気もしないでもないです。
感想書いてて、全体大まかについてばかり語ってしまい、細かい部分に筆が乗らない、というあたりがその「何となく」の部分なのかなあ。
というわけで、個々にキャラに目を向けると、個人的にはブーパンこと、鎮西ちゃんが案の定ストライク。こういう颯爽として堅物な女侍キャラは、可もなく不可もなくという位置なんだけれど、彼女については幼馴染要素に加えて、自分でスカートめくってみせるあのシーンで色々と撃墜されました。あれは反則、いきなり何をしでかすやら。参りました。
ともあれ、本筋である、誰が壮馬を殺したのか、なぜあの事件が起こったのか、というストーリーに踏み込むだろう次回以降が本番なのでしょう、と言うことで楽しみ楽しみ。