艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆 (3) (富士見ファンタジア文庫)

【艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆 3】 内田弘樹/魔太郎 富士見ファンタジア文庫

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海上封鎖を受けている友軍救援のために立案された「AL/MI作戦」。艦隊の総力を結集したこの二正面作戦は、想定外の出来事により、過酷な状況を招くことになる。次々と倒れていく仲間たちに刻一刻と悪化していく戦況。未曾有の苦境は艦娘たちの心的外傷を刺激し、紡がれたはずの絆を綻ばせていく。艦娘たちの心が闇に沈みかける中、瑞鶴は絶望的な戦況を覆すために奔走するのだが―。

この世界でも行われることになったミッドウェー作戦。ただ、史実において泥縄的に行われてしまったそれとは違って、この世界のそれはハワイ諸島に取り残された人々を救出するための打通作戦という意味合いを持つため、艦娘たちも意気新たに作戦に挑むことになる。
ここで、深海棲艦が現れた事で人類圏にどんな被害が出ていたのかの一旦がわかるわけですが……これ、ハワイ諸島ことKA諸島って今回のSOSが受け取られるまでどれだけ酷いことになってたんだろう。十年近く海上交通を遮断されて孤立していたって、想像を絶する状態になってたんじゃないだろうか。
しかし、ここから深海棲艦がどれほど領域を広げているのか、いくらか予想も出来るんですよね。ホッポちゃんこと北方棲姫が座しているアリューシャン列島のダッチハーバーはアラスカ州のアメリカ海軍における北太平洋最大の根拠地。さらにハワイ諸島の西にはめぼしい根拠地になりえる島は存在していないにも関わらず、西側からハワイ住民への救援が行われていない事からも、アメリカ大陸の西海岸は深海棲艦に抑えられている可能性が伺える。果たして設定がどこまで公式に寄り添っているかわからないけれど。もし海外艦のうちアメリカ艦艇の参加があるとすれば、ハワイ作戦の後になるかと思ってたけれど、もしかしたらパナマ運河打通作戦くらいまでやらないと、アメリカ艦娘との合流は無いかもしれないなあ。
さて、肝心のミッドウェー作戦ですけれど、戦局の転換点になると共に一気に正規空母4隻が失われるという尋常でない被害が出た作戦ということから、当事者である第一航空戦隊・第二航空戦隊の意気込みたるや……むしろ悲壮感の塊というのが見ていて辛い。確かに慢心良くない、というのは当然なのですが、それ以上に気が張り詰めすぎているのもキツいんですよねえ。そして、唯一反撃に成功した飛龍との意識の差が、薄っすらと他の三隻、特にほぼ同型艦である蒼龍との錯誤とすれ違いとなって、過酷な戦場の中で浮き彫りになっていくのです。さて、敵側から強烈な一撃を喰らい、赤城・加賀に深刻な被害が出たあとの果敢に攻撃を主張する飛龍に対する蒼龍の掣肘は、果たして史実における飛龍の執拗な反撃への疑問なのか否か。
なんか、蒼龍が飛龍に比べて地味っこみたいな扱いされてるけれど、個人的には蒼龍の柳本艦長が有名な電探教徒だった事から、蒼龍イコール電探というイメージが強くあるんで自分は飛龍よりも蒼龍の方が印象強いんですよね……。だから、蒼龍の改ニ改装では強力な対空電探の装備を期待してたんだけれどなあ。
ミッドウェーというと、実際に沈んだ四空母ばかりが目立ちますけれど、艦娘という魂持つ存在という立場から顧みると、むしろ沈んだ当人たちよりも彼女らに随伴しながら、空襲から守りきれず、炎上する空母を消火しようとして救えず、手ずから解釈せざるを得なかった駆逐艦たちの無念と後悔もまた、スポットが当たるんですね。
油断も慢心もなかったとはいえ、今回の作戦は相手が待ち受けている中に自ら飛び込んでいく、言わば覚悟の強襲作戦。案の定、どころか予想以上の激烈な敵の空襲を前に次々と増えていく被害。攻勢を手控えひたすら防衛に徹する蒼龍の姿勢に、反撃を主張する飛龍との間に不和が生じ、不穏な空気が流れる。利根たち先発隊の連絡途絶、圧倒的な敵航空戦力、次々戦闘不能になっていく艦娘たち、とハラハラドキドキを通り越して胃が痛くなるような悲壮な展開に、息も絶え絶えである。さすがにこれだけの大作戦を扱うためか、前後半の二冊構成になっているのは、良かったのか悪かったのか。少なくとも、押し詰まった雰囲気のまま次回へと続くのだ!

2巻感想
それにしても、潜水艦群のブラック化が酷い(笑
しかも、イクを除いてみんなそのブラックな環境に馴染んでしまって、どんどん自ら悪化の方へと突き進んでいくあたりが、非常にヤバい(笑