浮遊学園のアリス&シャーリー4 (オーバーラップ文庫)

【浮遊学園のアリス&シャーリー 4】 むらさきゆきや/しらび オーバーラップ文庫

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規律委員会(ブレイカー)支援隊(サポーター)の氷梨は、管理塔(アドミニストレイター)のなかで治療を受けている――そう柾貴たちは聞かされていた。見舞いすら許されないことに違和感を覚えつつも、この浮遊学園都市《楽園(カナン)》の中枢機関による情報を信じるしかなかった。しかし、ある夜、氷梨から届いた連絡はSOS信号だった。放ってはおくわけにはいかない!
柾貴とアリスとシャーリーは、須旺たちと共に管理塔に向かう。不自然に扉を閉ざす管理塔の前で、方策を練る柾貴たち。そのとき、《楽園》全体に、まったく予想外の出来事が起きる。
《お助け猫(ヘルプキャット)》の最後の戦いがはじまる! 紅茶(アリス)とお菓子(シャーリー)の異能学園バトル、最終幕!!
だから、人の・話を・聞けぇ!!
前巻の白石先生みたいに、どんなに言葉を尽くしても自分の思い込みに沿った形でしか解釈してくれない人もたまったもんじゃないけれど、このカナン教育委員長みたいに相手の言い分や思想に理解を示し賞賛すらもしてくれていながら、実際は自分の信念・思想から外れたものについては一顧だにするつもりもなく、受け入れるつもりも一切ないという人は、なまじ話が通じるように見える分質が悪い。
自分の狭量さや考えの狭さを、聞き分けの良い振りをして器が大きいように見せかけているだけなんですよね。周りへのアピールというよりも、自分はそういう器が大きく、それでいて正しい道を貫ける人間なのだ、と思い込みたいから、という性質にも見えますが。その実、全く聞く耳持たず、言葉を尽くしてもウンウンと頷いてみせるだけで、その意見に反駁するにしても論破するでもなく自分の考えと合致しないからダメだ、と否定するばかり。何が違うのか、何がいけないのか、自分の考えと擦り合わせる余地があるのか、など一切言及せず、頭から否定するばかり。果たして、本当に相手の言葉の内容を理解しようとしているのか、何が食い違っているのか考えてすらいないのじゃないか。そう思えてしまうほど、暖簾に腕押しの対応なんですよね。
これは、端から話を聞かなかった白石先生よりも気持ち悪い、嫌悪感を感じます。
まず結論ありきで、その結論に合わない意見や考え、情報や分析結果、事実も現実も最初から受け入れるつもりが全くない、という人種って居るんですよね。自分が信じている結論と違う、だからそれは間違いだ! と。
果たして、そういう人の考えをどうやって変えたらいいのか。結局、この瀬戸路教育委員長も最初から最後まで人の話を聞かないまま自分の結論を自信満々に抱え込んだまま終わってしまいましたし。無念な話です。
その意味では、同じく話を聞かないし受け入れない、という孤高のトランプの女王様だったアリスを餌付けという成分が多いとはいえ、受け入れる余地をこじ開けた柾貴とシャーリーは大したものなんでしょうね。
結局、アリスがああいう尊大な人間になった背景というのは詳しく語られないままで、単にそういう人だったから、という事なのかもしれませんけれど、個人的にはアリスの事情と心を解きほぐしていった上で心を許してくれる展開を想像していただけに、殆ど餌付けと親身なコミュニケーションだけで落としてしまったのは若干拍子抜けではあったんですけれど。アリス、わりとチョロイよ?
まあそれだけシャーリーのあっけらかんとした押しの強さと、柾貴の柔軟なアプローチが強力であったとも言えるのですけれど。
シャーリーの最強な明るさはホント、清涼剤でした。彼女が居るからこそ、柾貴とアリスとシャーリーの三人が一緒に居るのが一番自然に思えましたしね。三人一緒が何より一番というハッピーエンド、笑顔の大団円でございました。イラストのしらびさんも、カラフルで可愛い絵柄、素晴らしかったです。

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