世界の終わりの世界録<アンコール>2 極光の竜帝 (MF文庫J)

【世界の終わりの世界録<アンコール> 2.極光の竜帝】 細音啓/ふゆの春秋 MF文庫J

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伝説の英勇エルラインが遺した、世界の終焉と再来とを記した至宝「世界録」。その在り処を世界中の国や旅団が探し求める世界緑大争奪時代―炎の将魔討伐を果たし、レンたち「再来の騎士」は一躍世界中にその名を轟かせた。周囲からの注目を浴びつつ、一行は世界録の手がかりを求め竜姫キリシェの故郷である秘境リ・インファリエルへ向かうことに。道中で「カナン巡礼聖教船」、新たな始原精霊との邂逅を経て、辿りついた秘境。待ち受けていたのは、キリシェの妹である竜帝カルラだった。「人間、あなたはキリシェ姉様にとっての害悪です」。竜の長との激戦の調べの中、偽英勇は、覚醒の咆哮を上げる―いま、最も王道を行くファンタジー、反響の第2弾!

うん、わかってた。キリシェに妹が居て、その名前がカルラだというのは。キャラクターについては、殆どSIRENと互換関係になってるのね。まあ、SIRENに限ってはいないみたいですけれど。レンを除けば人類唯一の精霊使いだという聖女エリエスのフルネームが、エリエス・シア・凛・ケールということで、氷結鏡界のエデンの紗沙こと聖女サラと同じ凛・ケールなんですよね。さらに、氷結鏡界のエデンの春蕾と同じ傾向であろう名前の「夏蕾」なんて娘も居るし。
尤も、性格とかは全然違うみたいだけれど。例えば、こっちのカルラは思いっきり委員長気質みたいですし。
しかし、レンに力を貸してくれる始原精霊のサラマンダーとかノームとかというと、精霊魔術なんかでは最もポピュラーな名前なんですが、だからこそ精霊としては初級の存在、みたいな思い込みがあるので、竜や悪魔や天使ですら一目置くような強大な存在、と言われると何となくふわっとなるんですよねえ。サラマンダーよりも炎の将魔の方が一見して強そう、みたいなw
さて、竜の頂点である竜姫に、天界最凶の鉄腕天使、冥界の支配者であった先代魔王という世界最強のパーティーメンバーに恵まれたレンですけれど、この物語は最強のパーティーの力でサクサクっと強敵を倒していくようなイージーモードなどでは勿論ありえず、むしろこの最強パーティーに見合うだけの力を身につけるために、身の丈を超えた伝説的な存在と次々戦う事になるスーパールナティックモードなお話なんですよね。
ちなみに、肝心のボス戦では三姫さんたちは戦闘不参加、という凶悪さw 事実上たった一人で人類とは隔絶した存在と戦わなくてはならないという恐ろしい話なのである。何より恐ろしいのは、この試練に対してレンが怖気づくどころかむしろ意欲的に挑戦していくところか。彼の非凡さは、明らかに手に負えない相手に対して、手持ちのカードだけで勝ち負けに持ち込める勝負勘にあるのかもしれない。彼の、精霊使いとしての能力は、あくまで要素の一つでしか無く、それほど大きなアドバンテージではないんですよね。勿論、数少ない強力な手札ではあるんですけれど、必殺とか決定的な要素とは別に成り得ないわけですし。
相手に本気の殺意がなく、相応の手加減がなされているというのは無論あるんですけれど、だからと言ってレンにとって甘い展開などでは全くないので、ただの人間の少年に対するには三姫の過剰すぎる期待にレンは十分以上に応えているんじゃないでしょうか。比較対象がエルラインという一人天外魔境な人間なせいでどうしても小器用という印象になってしまうレンですけれど、現状で既に人類という括りの中では歴史に名を残す逸材なのだと思います。でも、彼の目指すところは、そして三姫が彼に望む高みは、まだまだ今の段階では山の麓がいいところなのでしょう。よくまあレンくんは、三姫からの期待という名のプレッシャーを受け切れるものです。向上心が尋常じゃないんだよなあ。

さて、三姫が復活しレンを中心に再来の騎士と呼ばれる旅団として活動を開始するのと時を同じくするようにして、著名な旅団も動向をみせはじめる。それは、かつて三姫が英勇との旅を終える事となった謎の敵との最後の戦いの再来が近づいているからなのか。世界各地で要となる旅団が動き始めることで、世界そのものが蠢動を始めてるような雰囲気が、なんぞたまりませんなあ。この何事かが始まりつつある、という空気感はやっぱりワクワクしてきます。

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