Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! (5) (カドカワコミックス・エース)

【Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! 5】 ひろやまひろし カドカワコミックスA 

Amazon

『世界の救済』それこそがエインズワースの真の目的。聖杯『美遊』の運命を知ったイリヤは迷いの末の決断を下す――。「美遊も世界も両方救う! 」 喜怒哀楽が詰まった魔法の一冊「プリズマ☆イリヤ」ここにあり!
一瞬、柳洞一成かと思ったんだが違うんだね! 腐的な意味で、これは図らずも敵味方に別れてしまった美遊の兄ちゃんとのバッテンが映えるぜ、と一瞬思ったんだぜ。
というわけで、今回は最初から最後まで仰天しっぱなしの第五巻だった。大盛り上がりどころの話じゃないですぜ、親方。





いやあ、美遊の兄ちゃんが士郎というのはかなり早い段階で明らかにされていた、と言っていいくらい露骨に匂わされてましたし、美遊こそが本当の意味で士郎の実妹なんじゃないか、という話はまことしやかに流れていたものでした。
私も美遊が実妹的な話には前のめりだっただけに、美遊の兄の士郎はあくまで一般人であって、囚えられていたのも美遊に対する人質という意味合い以上のものがあるとは思ってなかったんですよね。それが、あれですからねえ。まさかこちらでも「衛宮」だったとは。更にいうと「エミヤ」ですらあったのは仰天ですよ。美遊の世界は一体どういう経緯を辿っているのか。愉悦神父はなぜか愉悦中華飯店店長と化していて、第四次聖杯戦争があったかどうかも怪しいですしね。いったいどうして士郎が「衛宮」に入る事になったのか。
でも、それを疑問に思ってしまうと、そもそもイリヤの義兄の士郎だって、何がどうして切嗣とアイリの養子になっているのか経緯がさっぱり、というところもありますしね。

ともあれ、いったいどういう経緯があったのかはさておき、美遊の兄たる士郎は、Fateにおける「Heaven's Feel」ルートと同じように、正義の味方ではなくただ一人の少女の味方として、正義に背を向ける存在として立脚しようとしている。これは、桜ルートであるHeaven's Feelが、幻のイリヤスフィールルートの側面を持つことを考えると、なかなか感慨深い形でもあるんですよね。
本来のイリヤであるクロが、ただ一人の少女の味方として立つ士郎の事を「お兄ちゃん」と呼んで、弓兵の姿をとって並び立つ、という構図は、こうして見ると凄いモノがあるなあ。

ダリウスの正体も驚きっちゃあ驚きでしたけれど、本当に畳み掛けてきたのはまさにラストシーン。いやもう、それってありなの?? 本当にこの世界、何がどうしてこうなってるの?
あまりにも色々ありすぎて、保健室で休んでいる田中さんは、今巻では忘れ去られた存在となっていましたけれど、ついに彼女の正体も核心に至りそうですし、ってかまだ田中さん何者!?という最大の謎が放置されぱなしだったのよね。

と、怒涛の展開を迎えるストーリーですけれど、その中でやはり燦然と輝きを魅せるのは、主人公のイリヤなのでしょう。たった一人の少女を選んだエミヤシロウが登場したからこそ、このウチ崩れた世界の中で美遊も世界もぜんぶ救ってみせると叫んでみせたイリヤの理想が羽ばたいて見える。何かを切り捨てたどり着く正義でもなく、自分を切り捨てて掴みとる正義でもなく、友達を助ける正義も世界を救う正義も正しいと認めた上で、両方掴み取ろうとする正義。
それを、ただ当たり前のことをするだけ、と言ってのけたイリヤは、きっとキリツグやシロウが本当の意味で思い描きたかったセイギのミカタの体現者なのでしょう。
アイリは良い子を育てたなあ。

シリーズ感想