絶対城先輩の妖怪学講座 五 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 五】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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古い知り合いに年始の挨拶をするという絶対城に、荷物持ち要員として豪奢な屋敷へ連れてこられた礼音。二人を出迎えたのは、清楚な和風美女・櫻城紫だった。
研究の同志である絶対城と紫は、妖怪談義に華を咲かせる。疎外感を覚えた礼音は、近所の河原へと飛び出してしまうのだった。
そんな礼音の前に、朝霧シアンと名乗る不思議な雰囲気の少年が現れる。シアンは大学に戻ってからも、たびたび礼音の周囲をうろつくように。
その頃、礼音がシアンと出会った川に再開発の計画が持ち上がり、紫の周囲にも不審な噂が出始めるのだった――。
うん、これはもう絶対城さんが悪いね。親しき仲にこそ配慮あり、てなもんですよ。幾ら気心の知れた礼音だからと言って、いや気心の知れた礼音だからこそあんなふうにぞんざいに扱われてしまっては傷つくというもの。多少礼音も過敏になっていたものの、あんな風に扱われて何も感じないと言うことはむしろその相手に対して無関心と言っていいくらい何も感じていないという事になってしまう。好きだからこそ、大事に思っている人だからこそ、そんな相手から配慮を欠いた扱いを受ければ、痛いですよ。
まあ絶対城先輩が傲岸不遜で横暴な人物でありながら、嫌な人間ではないのは、悪いと思ったらキチンと謝れる事なのでしょう。この人、あれだけ偉そうにしながら、決して肝心な所では意固地にならず素直に頭を下げられるんだよなあ。本当の意味で誠意を込めて心から謝れる人って、案外少ないですからね。要らんところで凄まじく大人気なかったりもするのですけれど、それも愛嬌というもの。むしろそこが可愛らしかったりするのであります。
一方の礼音も、この娘も女性としては尋常じゃないくらいサッパリしてますよね。普通、あんな酷い言われようをしたら、根に持つ、とまではいかない間でもしばらくは引きずりますよ。でも、この娘の場合は一回泣いたらそこでキッチリと気持ちを切り替えられるんですよね。絶対城先輩があれだけ素直に謝れるのも、礼音の方にそれを引っ張りだす下地があるからなのかもしれません。性格的にも相性ピッタリなのよねえ。今となっては、何やら普通に絶対城先輩が礼音の部屋までご飯作りに言ったりする機会もあるみたいだし、場合によっては泊まってくケースも無きにしもあらずみたいだし。それで全く色っぽい話がないというのも、いい歳した男女でありながら変な話なんですが。ってか、礼音に危機感とか警戒心が全くないもんなあ。こいつ、本当に女か?
今回なんて、弱っていたとはいえ逃げ出した大型の野生動物を素手で押さえこんで捕獲してたりしましたし。あの、それってもう女性には無理というレベルじゃなくて、人類には不可能なレベルの所業にみえるんですけどw
合気道って確か人間相手の武術だったと思うんですけれど。

さて、今回も一連の展開は最初は勘違いが原因の妖怪話から、本物の怪異が相手となる真怪を巡る話となっていくのですが、一連の様々なエピソードがどんどん繋がっていって、本筋に束ねられていくミステリー小説みたいな展開はやっぱり面白かったなあ。
ある意味、今回もオチは古代から生き残っていた巨大生物、という範囲内なんでしょうか。河童だもんねえ。
さて、主題となる妖怪は最初から比べると段々メジャーなものになってきているのですが、知名度が高く有名な妖怪の方が、実は踏み込めば踏み込むほど奈落のように深くて広い奥底が広がっているもののようで、どうやら物語の核心となる妖怪は、おそらく日本において最も有名なあの存在……これはワクワクしてきましたよ。
何だかんだと、絶対城先輩と礼音の関係も熟しだしたようで、突拍子もない娘ですけれど、礼音もちゃんと女の子し出してる気がします……気がします! もうちと女子力! 女子力あっぷ!!

シリーズ感想