機巧少女は傷つかない14 Facing

【機巧少女は傷つかない 14.Facing "Violet Silver"】 海冬レイジ/るろお MF文庫J

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機巧魔術―それは魔術回路を内蔵する自動人形と、人形使いにより用いられる魔術。夜会終了まで、あと二日。約束通り要石を得た雷真は更なる賭けに打って出る。「魔女二人を倒す。それであいつらを救ってやれる」許嫁の日輪とブリュー姉妹を結社の支配から解放すべく、危険な反攻作戦が始まった。だが、魔女の策略は雷真の予測を超え、アリスさえ想定しない大誤算が待ち受けていたのだ…。かくて“予見の子”候補を欠いた学院に、“精霊女王”アンリと最強最大の“神話級”自動人形リヴァイアサンの暴威が襲いかかる―。シンフォニック学園バトルアクション!
これは……後々振り返ってみても致命的、とすら言える大誤算だったんだよなあ。これさえなければ、雷真とアリスの最強コンビによって魔女の戦列はズタズタに切り裂かれていた可能性がかなり高い。それだけ、雷真の定める方針の激烈さとそれを現実のものとして叶えるアリスの作戦立案実行能力の組み合わせが尋常ならざるものなのだけれど、それをあの想定外の一事が根こそぎ潰してしまったのだから。
お陰で、前衛切り込みにして真打ちたる雷真と雪月花と、後衛軍師たるアリスとその手足である執事のシン、そして切り札の中の切り札である魔王グリゼルダが、まとめて非戦力化されてしまうという事態に。
いや、ガチで主人公抜きですよ。この主人公含めたメンバー抜きで魔女と真正面からやりあう羽目に。
この作品の構造が主人公を頂点としたピラミッド型の人間関係でもって構成されていたのなら、こんな無茶は出来ないでしょうね。しかし、この機巧少女は傷つかないは仲間という関係を明確な組織やチームという枠組みで括らず、個々を自由な立場に置きながら、その場その場の個々の判断で好き勝手に動くに任せる、という独立した単位で放置しており、だからこそ場合によっては容易に敵に回ったり、居てほしい時に居なかったり、とまとまりに欠けるのだけれど、逆に言うと誰かが抜けても致命的にはならない、とも言えるんですよね。
更に言うと、こうした独立単位として動く連中をいざという時一つにまとめる事のできる求心力の持ち主が、最近雷真以外にもう一人、急成長で生まれつつあったわけで。
今回の後半の対銀薔薇グローリア戦は、まさにシャルロット・ブリューが主人公であり皆の中心である集団決戦でありました。あの【暴竜】と恐れられ、友達居なくて出来なくて半泣きだったボッチ少女が、生徒たち皆に認められ、信頼を寄せられ、親愛を向けられ、皆の中心となり妹アンリを傀儡として襲い来る銀薔薇の暴虐に立ち向かう。雷真が居ない中で、見事に主人公してましたよ。結果的に、雷真たち抜きで魔女の一角を打ち倒したわけですし。
そうして独り立ちしてしまった分、結構マメにヒロインしているアリスやグリゼルダ先生にもヒロインとして若干置き去りにされてるような気もしてきましたが。
雷真のナチュラル口説きが酷いのもあるのですけれど、アリスのデレっぷりは彼女闇に潜るケースが多くて中々出番少ない分、かなり強烈なんですよねえ。

さて、ついにマグナスもその仮面を脱いで最初から全く隠していなかった正体を明らかにし、シリーズも残り2巻との予告。しかし、まだまだ黒幕たちの真意も細かいところまで明らかにならず、日輪の意図も不明のまま。果たして後2巻で片がつくのか。後書きであと2巻と言いつつ、自分で終わるのかと疑問形が混じっているあたり、こりゃあ片付かんだろうなあ、きっと。

シリーズ感想