ロクでなし魔術講師と禁忌教典 (2) (富士見ファンタジア文庫)

【ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード) 2】 羊太郎/三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫

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正式に魔術講師となったグレンは、アルザーノ魔術学院で例年行われる魔術競技祭に向け、生徒たちに指示を飛ばしていた。
「先生がやる気出してるんだし、私たちも頑張らなきゃね!」
システィーナたちもグレンのやる気に応えるべく、優勝を目指していたのだが―当のグレンは優勝で得られる特別賞与を使った、借金返済を目論んでいただけで…!?
そして訪れる競技祭。学院が熱気に包まれる中、女王を守る親衛隊に異変が…。女王を取り押さえた挙げ句、なぜかルミアを狙ってきて!?「処刑!?そんな勅命聞くか!馬鹿」拒絶された生徒を守るため、グレンの魔術が秩序を正す!
おおおっ、なにこれ凄い面白くなってるんですけど!? 一巻も新人作品としては標準を超えた高いレベルの良作だったんですが、この2巻はそれにもまして、これが二作目とは思えない完成度なんですよね。物語性、エンタテインメント性、キャラの魅力が抜群に輝いていて、その上で語り口が軽快で笑えるところは笑わせて、ワクワクさせてくれるところは盛り上げて、緊迫感を必要とするシーンでは引き締めて、と読んでいる間、夢中になって読んでました。
楽しかった!
うん、これに尽きる。
一巻ではまだ主人公のグレン先生がヒネちゃってて心象悪かった分、それを取り戻すのに一杯一杯だった部分があるのでしょう。その分、この2巻では最初から先生らしい所を……あれ、あんまり見せてないかな。まあ給料日よりもだいぶ前にギャンブルでお給金殆どスッちゃったり、おっちょこちょいで調子の乗ってポカやったりと、うん、そういう失敗談も親しみやすいんじゃないかな。一方で、ちゃんと生徒たちの事を考えて、一緒になってお祭りを楽しんでいるあたりは、すごくイイ先生してるんですよ。誰か特定の、少数の生徒の為の教官じゃなくて、一クラス二十人近い子供たちをしっかりと見てるあたりは、特に、ね。
それに合わせて、システィーナとルミア以外の同じクラスの面々もどんどん前に出てきて、わんさと作品上を動き回るキャラたちが増えたのは、作品そのものを賑やかにしてくれて、お陰で狭い範囲じゃなくこのクラスメイトの子たちみんな、ひいてはこの魔術学院、そして世界観そのものが好きになってきているように思えるのです。
読んでて、純粋に、ああこの「作品」大好きだなあ、とニコニコ笑いながら思えるようになってきた♪
一方で、裏では前回のテロにも通じる陰謀が進行しているのですが、前回の感想で危惧していた、一教師という立場で今後、どういう形で不自然ではなく国家規模の陰謀やテロリズムへのカウンターに首を突っ込む事になるのか、というのに見事に一つの応えを出してくれたのではないかと。勿論、これは今回限りではあるんでしょうけれど、ルミアの抱えていた事情と合わせて、本当に成り行きのまま上手いこと、クラスのお祭りでの優勝も含めて、表と裏の事情を話の本筋に収束させてくれたからなあ。このあたりの構成も文句なしでした。
グレン先生、軍隊時代はあんまりいい思い出ないみたいですけれど、任務があったとはいえあんな風に屈託なく力を貸してくれる仲間、同僚が居たのなら、決して悪いことばかりじゃなかったんでしょうか。ルミアを救い、約束を交わした時のように、何もかもが無駄で酷い事だけではなかったのでしょうし。過去を全否定するのではなく、ルミアとの約束のように、仲間たちとの出会いがあったように、そこに確かな光があったのなら、これからの教師生活にも、知識や経験だけではない糧としてグレン先生を成長させてくれるのではないでしょうか。
その意味では、教師と生徒たち、一緒になって成長していける物語なのかなあ、これは。そして、グレン先生の少年の頃からの夢と情熱を、一緒に共有していけるようになるのだろうか。
今回の黒幕は、国家の中枢にまで入り込んでいて、どうやら根っこは相当に根深いものであることが発覚したけれど、そこにはあの空飛ぶ幻影の城も関わってくるみたいですし、これからの話の展開が非常に楽しみ。
ともかく、これは先々の飛躍を非常に期待させてくれるシリーズになっていました。今後の注目株ですよ。

1巻感想