ザ・ブレイカー (2) 断罪の処刑人は唄う (電撃文庫)

【ザ・ブレイカー 2.断罪の処刑人は唄う】 兎月山羊/ニリツ 電撃文庫

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ネットで公開処刑を続ける殺人犯に史上最悪の天才と呼ばれる悪魔が挑む!

医療ミスを認めない病院の院長、車で子供をひき殺した女優……罪に問われず、ぬくぬくと生きている人間たち。
そんな「世間から反感を買っている」人々を殺してまわる連続殺人鬼が現れる。
その名は「公共の敵(パブリック・エネミー)」。
残虐な処刑の様子をネット上でライブ放送するという異様な手口で、多くの一般市民から熱狂的な喝采を浴びていく。
「公共の敵に死を」とうそぶく彼の真の狙いとは――?
リセちーの立てこもり事件への巻き込まれ率が半端ないのですがw
と言っても、まだ2巻なので二回中二回というだけの話なのですけれど、ただでさえリセは自身の理由から狙われる可能性が高い身の上なのに、全くの偶然からこんな風に巻き込まれもするのでしたら、そりゃお兄さん過保護にもなるわなあ。それでなくても、責任感が強くて自分から危険に飛び込む事も厭わない娘なのに。
まあリセみたいな頑固な娘は、どれだけ冷たい仕打ちや言動を向けても、傷つくくせに退かないのでカナタがいつまでも強行な姿勢を貫いていても意味はない、とは思っていたのですけれど、思いの外早く諦めたというか、胸襟を開いてみせたなあ、という印象。悪魔と呼ばれる男、というくらいだからもう少し徹底してリセとの間に壁を作り続けるのか、とも思ったんだけれど、やっぱりカナタはダークヒーローではあるものの、リセに対しては相当に甘いんですよね。
それに、悪を倒すのに悪を用いる、みたいな感じで使われる事になるカナタですけれど、彼のやり口というのは実のところそう悪魔めいているわけじゃないんですよね。悪辣でも下衆でも卑劣でもない。まあ外道は結構入っているかもしれないですけれど、どちらかというと公権力・秩序を守る側が出来ないような手段を用いて事件を解決に導いていく、という手法に寄るというべきか。うん、その意味では確かに「悪」と言って過言ではないのかもしれない。どう言い繕っても正義には程遠いやり口ではあったし。とはいえ、嫌悪感をもたらすような手管ではないですし、筋は通っているんだよなあ。まあ、あの犠牲者を少なくする提案については、他に手段がなかったとはいえ、ちょっと生き残った人への心の傷が大きすぎるような気もしますけれど。
前巻は、全く味方の居ない中での孤高の戦い、というイメージのカナタでしたけれど、今回はCIROに所属した事で組織のメンバーとも協力する形となり、主にカナタが牽引しているとはいえ一癖も二癖もあるメンバーがそれぞれ特色を活かした、チームによる犯罪事件への挑戦、という様相を呈してきて、作品のスタイルみたいなものが整ってきたんじゃないでしょうか。
その中で、まだリセがいささか未熟さを垣間見せている気がしますが。今回は彼女の能力を活かして役に立ってはいましたけれど、ちょっと心もとないんだよなあ。ある種カナタと同類の怪物的メンタリティーの持ち主が多いCIROのメンバーの中で、リセだけが余りにも普通の女の子で、必死にカナタのためにも役に立ちたい、と頑張っているのが、どこか一生懸命背伸びしているように見えて、どこか危うい。彼女自身、修羅場くぐってますし弱い子ではないのですが、その真っ直ぐさがCIROという場合によっては容易に非情な手段、決断を下しかねない組織の中で果たして揺らがずに居られるものなのか。カナタが早々に彼女に寄り添う事になったのは、お互い支えあう必要があるからなのか。いずれにしても……この兄妹、次から平然とイチャイチャしはじめそうで、うん、まあそれはそれで。

1巻感想