狼と香辛料 (11) (電撃コミックス)

【狼と香辛料 11】 小梅けいと/支倉凍砂 電撃コミックス

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賢狼ホロと行商人ロレンスの旅は続く――港町ケルーベ編クライマックス!
ホロとロレンスは、海獣イッカクをめぐり町の南北で対立する港町ケルーベに滞在していた。ロレンスは、軟禁されてしまった女商人エーヴを救うため、イッカク購入を企てるレイノルズの悪巧みを暴こうとする――!
いやもう、これは素晴らしいとしか言えない。キーマンのあの眼の描き方を見ましたか。あの眼一つだけで、キーマンという商人がこの場面においてどれほど追い詰められていたのか。刻々と状況が進展するにつれて鋭さを通り越して荒んでいくキーマンの眼差し。笑顔自体は崩さないものだから、余計に余裕が失われていく様子が彼の顔つきでわかるんですよね。正直、ここまでキーマンが追い詰められていたとは、原作を読んだ時にはそこまで思ってませんでしたね。原作だと、玄妙なセリフ回しのお陰でどの登場人物もなかなかその本心は読めませんでしたからね。それを行間やセリフの意味や各人の反応から読み取るのがまた面白い作品でもあったのですが。同じ場面でありながら、小梅さんの漫画は別の意味で非常に雄弁でありまして、いや実に楽しい。
これはエーブに関してもおんなじで、彼女が果たしてロレンスという男に対してどのような想いを抱いていたのか、については色々と想像をめぐらしたものでしたが、この漫画においてはこれまたとても雄弁に彼女の表情が物語っていたのではないか、と。
あの最後の手紙を手渡すときの、ロレンスの手に自分の手を重ねながら、寂しそうに切なそうに微笑むその面差しが、そしてあのキスシーンの直前の何かを残そうとしているかのような薄っすらとした笑みが、エーブ・ボランというヒトが、恋する女性であった事を、恋を喪った女性であったことをこれ以上無く明瞭に示していたのではないでしょうか。
トビっきりにイイ女だったよなあ。この2つのシーンでのエーブには、本当に見惚れてしまった。
でも、一番キュンキュンさせられるのはやっぱりホロなんですけどね。

対立の街、の話も終わり、いくつか原作のエピソードを飛ばす事になったようですけれど、こればっかりは仕方ないかなあ。さすがに、全部やってるとこのコミックもいつ終わるか分かったもんじゃないですしね。既に長いこと続いてますし。
それでも、何気に人気高いであろうある酒場の看板娘さんをしっかり登場させる当たりはさすがであります。あの娘、確か原作では名無しだったんじゃなかったでしたっけ。ここではヘレーネという名前付きで、凄まじい魅力を振りまいております。いや、このグラマラスな身体つきに色っぽいし仕草ときたら、なんちゅうエロ可愛さでありましょうか。たまらんなあ。

シリーズ感想